生物としての格
三人称視点です
「【灼熱滅却】ッ!」
「【水天昇撃】ッ!」
炎と水のビームが前方を消し飛ばす。
かつて脅威に思えた狂乱化ボスが見る影も無く、というより跡形も無く、ただ蹂躙されるのみ。
「かっかっか! まさか我の灼熱とタメを張る者が存在したとはな!」
「ふふん、おじちゃんには負けないよ!」
プレイヤー“グリム”と“バンダナ”は互いに龍人の姿を模しており、龍玉の遺物をもってボスを屠る。
ただ違うのは、それぞれの属性のみ。
グリムは烈火の如く炎を吐き出す紅き龍人として、相手を灰燼に帰す。
バンダナは壮麗な水を吐き出す蒼き龍人として、相手を抉り取る。
世にも珍しい龍人に成る遺物の持ち主が、惹かれ合い邂逅を果たしたのだ。
「何だか無双ゲームみたいだよね」
「「無双ゲーム」……言い得て妙だな。魔力も減らず、狂乱化ボスが跋扈する地。狩場としては、これ以上の無いエリアと言えよう」
単なる救済処置か、はたまた世界観に準じた結果か。
最早、彼らにとっては脅威となっていない。
むしろ『魔水晶』を大量に取れるエリアとして使えるくらいだった。
「期間限定なのが惜しいな……あの穴の先に住まう魔神を倒してしまえば、『夢の跡地』は消えてしまうのだろうか」
「どうなんだろう……今のうちに、いっぱい倒しとくべきなのかな」
「『魔水晶』が無ければ【狂暴走】は使えぬからな。取っておくに越した事は無い」
もしかすれば、バージョンが更新されれば定期的に『夢の跡地』が解放されるイベントが来るかもしれない。
フィールドの狂乱化も魔神の影響であるからして、もし倒してしまえば狂乱化の異変は収まるだろう。
そうなれば『魔水晶』は容易に取れなくなってしまう。
「【水天昇撃】ッ!」
突如現れる列車から、プレイヤーの複製体が現れても問題にはならない。
何故なら、出現した瞬間にビームを放ち消し飛ばせば良いからだ。
狂乱化ボスやプレイヤーの複製体でも彼らを止められず、作業と化していた。
「な、なんじゃこりゃ!」
ここで爆弾愛好家達が合流を果たす。
彼らは唖然としていた。
2人の龍人が狂乱化ボスでファームをしていたのだ。
当然周囲の廃ビルは瓦礫と化し、まさに広々とした空間が広がっていた。
「あれは偽物……じゃ無さそうだね」
「やっと他のプレイヤーと出会えたか」
2人は地上に舞い降りる。
優雅に、豪快に――――
まるで本物の龍のような威圧感を放ちながら、プレイヤー達の下へ向かう。
「やってるゲーム違くないか? お前らだけ」
強力な遺物は数多く存在するが、「規模が大きい」という点だけで見れば龍化する遺物は他遺物と一線を画す。
空を飛び回り、高火力のビームを放つ。
大抵の敵は、それだけで決着が着くのだ。
「当たり前だ。生物として格が違う」
「上位存在ムーブ?!」
「そうだそうだ! 格が違うんだよ!」
「上位存在の側近ムーブ?」
「何馬鹿な事言ってんだ。強ぇに越した事ねぇじゃねぇか」
爆弾愛好家のツッコミを夜露死苦が一喝する。
例え強大な力を持っていたとしても、味方となれば大いなる戦力と成り得る。
「グリムさん、バンダナさん。私達は大穴の底に向かう為に、人を集めている最中なんです。貴方達も私達のパーティに入ってくれませんか?」
「ふむ……バンダナ、『魔水晶』はどれ程集まった」
「えーっと……30個くらいはあるよ」
「我もそのくらいだ。そろそろ切り上げても良さそうだな」
「30……?」
あやとりが思わず呟いた。
彼らが多くの狂乱化ボスを鏖殺しているとは言え、1人30個も『魔水晶』を揃えてるとは思いも寄らなかったのだ。
「木こり、貴様の願いに応えようぞ!」
「応えようぞ!」
[プレイヤー グリムからパーティ申請を送られました]
[承認/拒否]
[プレイヤー バンダナからパーティ申請を送られました]
[承認/拒否]
木こりは苦笑いをしながら承認を押す。
一瞬意味の分からない数字が聞こえた気がしたが、ひとまずは気の所為だと思い込む事にした。
ドラゴンコンビ爆誕☆




