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状態異常使い、敵を溶かす。~状態異常ビルドのVRMMO~  作者: MeはCat
【第六章】厄災と動乱、その奔流

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コケェェェェ!!!

『グルグル密林』


 空を覆うほどに絡み合った巨大な蔓は、まるで何かの意思を持つように幾重にもねじれ、木々の幹をぐるぐると巻き込んでいる。

 見上げても葉の隙間から溢れる光は僅かで、森の中は昼間でも薄暗く、緑と影がゆらゆらと揺れていた。


「ここのエリアの先に『ルナ街』がある」


 地面には湿った落ち葉が厚く積もり、その下では名も知らぬ虫たちが微かな音を立てている。

 何処から聞こえてくるのかも分からない、何の鳴き声かすら判別付かない声が反響しているようだった。


「妙に音やら声やら響くな」


「ここら周辺はモンスターが多いからな」


 このエリア全体から、多くのモンスターの気配が蠢いているように思えた。

 先程の『ぽかぽか大草原』とは異なり、穏やかさは余り感じられない。

 むしろ、かつての『ムシムシ密林』のような雰囲気さえ感じる。


「『グルグル密林』とは言うが、本当に植物グルグルしてるんだな」


 この密林で特に異様なのは、木々の形だった。

 幹は真っ直ぐ伸びず、渦を描くように捻じれながら天へ向かい、枝先までもが螺旋を描いて広がっている。

 現実でもこういう植物は余り見かけない。


「ガゥ!ガゥ!ガゥ!」

「ガゥ!ガゥ!」

「ガゥ!ガゥ!ガゥ!」


 ふと目の前には狼型のモンスターが草むらから現れ、駆け抜けるように俺達の隣を横切った。


「不自然だな。『狩猟狼』があそこまで怯えるとは」


「何者から逃げてるのか?」


「……あ〜多分あいつからだな」


 ドスン。

 ドスン。

 ドスン。


 密林の奥から、巨大な影が近付いて来る。

 そのモンスターの頭には象徴とも言える赤い鶏冠があり、これでもかと言う程に主張しているようだった。


 あれを形容するなら――――


「コケェェェェ!!!」


[エリアボスが出現しました]

[炎冠鳥王 ガロ=スター【狂乱】]


「でけぇ鶏だな」


「感心してる場合か? あれも狂乱化してるぞ」


 首元の羽毛は金色に輝き、鳴き声を上げる度、炎が強く噴き上がっていた。

 身体からは他の狂乱化モンスターのように、青い水晶がこびりついている。


「【鷹ノ目】【光矢】」


 狩人は光の矢を生成する。

 そして『流星光弓』を引き絞り――――


「コケッ?!」


 ガロ=スターの眼球を貫通させた。

 大きく怯んだ隙を狙って『割れやすい腐食ポーション』を投げ入れる。


「コケェェェェ!!!」


 怒りを見せたガロ=スターは俺に向かって嘴を突いた。


 バゴン!

 バゴン!


「威力高ぇな」


 俺が躱した後の地形を見ると、そこには大きな()が空けられた地面と樹木があった。

 その嘴は黒曜石のように硬く、先端は赤熱している。

 突き立てるだけで、地面も木の幹も関係なく焦がすのだ。


「コケェェェェ!!!」


 ガロ=スターが両翼を広げると、燃え盛る火の粉が渦を巻き、周囲の空気を歪める。


「【天下無双】【破竹ノ勢】――――【覚醒解放】!」


 ボガァァァァァンッッッ!!!


 突然、前方が燃え盛る。

 ばら撒かれた火の粉が火柱を生み、灼熱に包まれたのだ。

 その辺のプレイヤーを一瞬にして灰燼と――――


「ふんっ!」


 マヨ船長は炎の中から飛び出し、迷わず『解放の錨』を振り下ろした。


「コケッ?!」


「どうした鶏野郎、その程度じゃ痛くも痒くもないね!」


 バキュン!

 バキュン!

 バキュン!

 バキュン!

 バキュン!


 俺は『魂縫双銃』を連射した。

 毒と吸収の状態異常を与える度に、俺の弾丸は威力を底上げされていく。


「【光矢】」


 更に一発。

 狩人はガロ=スターの足を穿つ。


「コケェェェェ!!!」


 ガロ=スターは悲鳴を上げながら、周囲に火の粉をばら撒き続ける。

 その火の粉により、多くの火柱が立ち昇る。

 もし当たれば、マヨ船長以外は一瞬にして消し飛ぶ程の威力を誇る。


 当たればな。


「【身軽ノ極意】【光矢】【光矢】【光矢】――――」


 狩人は目にも留まらぬ速さで動き回り、無数の光の矢によってガロ=スターの身体を次々と貫いていく。


 バキュン!

 バキュン!

 バキュン!

 バキュン!

 バキュン!


 俺も負けじと弾丸を放ち、正確に火柱を避けながら引き金を引き続ける。


「それっ!」


「コケェェェェ!!!」


 それに加え、ガロ=スターの動きはマヨ船長のお陰で封じ込められていた。

 『解放の錨』の攻撃力も相当なものであり、ガロ=スターを怯ませるだけの威力を持っている。


「狂乱化など恐るるに足らず!」


 一瞬でも油断してしまえば、俺達の方が倒されてしまう。

 その前に倒す。

 殺られる前に殺る。

 圧倒的な火力と理不尽で仕留めるんだ。


「コケェェェェ!!!」


 絶叫と共に、ガロ=スターの全身から噴き上がっていた炎が一際大きく膨れ上がった。


 次の瞬間――――


 ボゴォォォォォッ!!!


 爆ぜるような轟音と共に、周囲一帯へ灼熱の衝撃波が撒き散らされる。

 火柱すら呑み込む熱風が渦となって広がり、俺達は咄嗟に後方へ飛び退いた。


「来たな、第二形態……!」


 ガロ=スターの身体に突き刺さっていた青い水晶が、ミシミシと不気味な音を立て始める。


 そこから、灼けつくような蒼炎が湧き出た。


「コケェ……コォォォォォォッ!!!」


 低く唸るような鳴き声が、やがて森全体を震わせる咆哮へと変わる。

 その声に呼応するように、周囲の捻じれた木々の表面が一斉に赤熱した。

  湿っていたはずの落ち葉は一瞬で乾いてゆく。


 次の瞬間には、自然発火した。


「密林そのものが……燃えているのか?」


 砕け散った青い水晶が火の粉のように宙を舞い、ガロ=スターの巨体へ吸い込まれていく。

 赤黒かった羽毛は、根元からじわじわと色を変え、黒鉄のような光沢を帯び始めた。

 首元の金色の羽毛は、今や溶鉱炉の中で熱せられた金属のように白熱している。


 そして何より異様だったのは、頭上の鶏冠だ。

 王冠のように燃え盛っていた真紅の鶏冠は、さらに巨大化し、青白い炎を纏って天へ伸びていた。

 その炎はただ燃えているのではない。 揺らめく度に空間そのものを歪め、視界を捻じ曲げているように思えた。


[第二形態へ移行]


 ドスン。


 ガロ=スターが1歩踏み出しただけで、大地が陥没し、ヒビ割れる。


「不味いな……嫌な予感がする」


 ガロ=スターが翼を広げた瞬間、熱波が奔流となって押し寄せているようだった。

 周囲の火柱がまるで臣下のように一斉に頭を垂れ、その火の粉はもう()とは呼べず、粒一粒が小さな隕石のような質量を持っている。

 それが地面へ落ちる度に小規模な爆発を起こしていた。


「散れっ!」


 マヨ船長の掛け声と同時に、俺達は後方へ飛び退く。

 その直後、ガロ=スターの姿が掻き消えた。


 ゴバァァァァァンッ!!!


 俺がさっきまで立っていた場所には、青白い炎を纏った嘴が突き刺さっていた。

 地面が抉れ、爆発し、遅れて衝撃が全身を殴りつけた。


「瞬間移動かよ!」


 それ程までに速かった。

 先程とは比にならない程の高速攻撃。


 ――――まるで、ヴァル=カリバーみたいじゃねぇか。


「コケェェェェ!!!」


 更にガロ=スターは嘴を引き抜くと、そのまま首を大きく仰け反らせた。

 一瞬、奴の嘴の奥で蒼炎が圧縮されていくのが見えた。


「【身軽ノ極意】」

「【疾風迅雷】」


 吐き出されたのは炎の奔流だった。

 薙ぎ払うように横へ振られた蒼炎の濁流が、木々も地面も火柱もまとめて呑み込みながら迫ってくる。


「……っぶねぇ!」


 背後で巨木が数本まとめて蒸発した。

 少しでも回避が遅れれば、あの巨木のように消し飛んでいただろうと、本能が告げている。


 だが蒼炎を吐き終えた一瞬、ガロ=スターの喉元――――

 白熱した羽毛の隙間に、金色の核が垣間見えていた。


 もしや、あれが弱点か?


 バキュン!

 バキュン!

 バキュン!


 俺は即座に『魂縫双銃』を叩き込む。


「コケェッ?!」


 明確にガロ=スターが少し怯むも、その後に怒り狂ったように翼を打ち鳴らした。


 ボゴッ!

 ボゴゴゴゴゴッ!!!


 舞い上がった無数の蒼い羽根が、空中で無数の火矢のように変質した。

 飛来した瞬間、それは意思を持つように軌道を変えながら俺達を追尾してきていた。


「追尾弾か!」


「任せろ。【光矢】【光矢】【光矢】!」


「ふんっ!」


 狩人が光矢で数本を撃ち落とし、マヨ船長が鎖を振るってまとめて薙ぎ払う。


 だが撃ち漏らした一本が俺の肩を掠めた瞬間、耳元で肉の焼ける音がした。


「ちっ……!」


[火傷の状態になりました]


 久々に見る火傷の状態異常のログに、思わず懐かしさを感じていた。

 ヴァル=カリバーとの戦闘も、こんな圧迫感を感じていたものだ。


「赤月、大丈夫かい?」


「無問題!」


「上々!」


 マヨ船長は真正面から突っ込んだ。

 燃え盛る熱波をものともせず、『解放の錨』を全力で叩き付ける。


 ガギィィィンッ!!!


 ガロ=スターの胸元に直撃した一撃が、白熱した羽毛を僅かに砕く。


「今だ!」


「――――【流星ノ一矢】ッ!」


 1本の矢が砕けた胸元の一点へ飛来した。

 それはまさしく流れ星のように、ただ1つの綻びを貫く。


「コケェェェェェェェッ!!!」


 怒号、絶叫、そして、密林全体を揺るがすほどの熱量がフィールド中を轟かせ――――


 灰燼と化した。


[エリアボスを撃破しました]

[炎冠鳥王 ガロ=スター【狂乱】を倒しました]

[『蒼冠鳥王の灼鎧』を入手しました]

[『蒼炎冠環』を入手しました]

[『魔水晶』を入手しました]

[20000HGを入手しました]

[ランク36になりました]


コケェェェェ!!!


◆◆◆◆◆◆◆◆◆


名前 『赤月の夜』赤月

階級 ランク36

所持金 95800HG(1700BP)

武器 魂縫双銃【魂吸収弾】

武器 魂縫双銃【魂吸収弾】

防具 冥灯魂衣【魂灯再臨】(紅砂のガンマン)

装飾 腐王鴉の眼核【死肉の王眼】

装飾 毒蜜女王の毒腺輪【紫蜜ノ血】

装飾 青魂冥灯環【吸魂循環】


奥義

【狂暴走】


ステータス

体力 200

魔力 400

攻撃力 100

素早さ 250

吸収効力 1毎2

毒効力 1毎3(+1)

自動魔力回復 1毎1

状態異常命中 +180%

状態異常耐性 +60%


職業

遺物調薬師 熟練度5

【遺物調薬図鑑】【脆弱化】【遺物調薬観察眼】【高純化】【調薬合成】


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


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