【別視点】菌王の逆襲
スカーフ視点です
「こいつ……強い!」
僕と飴雨、永年労働者は苦戦を強いられていた。
相対するは茸で覆われた『のこ丘』の主――――
マイセラ=ファガス。
たった数分戦っただけで分かる。
明らかに通常の個体ではない。
前に戦っていた時よりも遥かに強大になっている。
普段の様子とは異なり、身体には青い水晶らしき物体が生えている。
一体どうなっているんだ……!
「グガァァァァァ!!!」
マイセラ=ファガスは雄叫びを上げる。
すると地面から青紫色の茸が大量に生成された。
「それ本当ウザイんだけど! 【反響跳弾】!」
飴雨は指に挟んだ複数の『跳界核』を一斉に投擲した。
『跳界核』はスーパーボールのように跳ね回り、あちこちを跳弾する。
ドゴンッッッ!!! ドゴンッッッ!!!
ドゴンッッッ!!! ドゴンッッッ!!!
ドゴンッッッ!!! ドゴンッッッ!!!
『跳界核』が青紫色の茸に触れると、大爆発が起こる。
それも1回や2回だけではなく、連鎖的に『のこ丘』が破壊されていった。
青紫色の茸は地雷のようなものだ。
あんな風に、一瞬でも触れると大爆発が起こる。
それが地面一帯に設置されているとなれば、ここら全てが地雷原と見立てた方が良さそうだな。
「こっちだ!」
永年労働者は『採掘鶴嘴』をフルスイングで振り上げる。
マイセラ=ファガスの身体を抉るも、負けじとその身体から触手を伸ばして攻撃する。
「【重撃採掘】!」
軽々と振り回し続けて触手の攻撃を捌いた後、先程の軽さを感じさせない程の強烈な一撃を振り下ろす。
「グガァァァァァ!!!」
余りの衝撃にマイセラ=ファガスは少し怯むも、即座に復帰して触手を振り回す。
「くっ……!」
永年労働者は遠くに吹き飛ばされ――――
いつの間にか糸でグルグル巻きになっていた。
「【旋風】!」
僕は突風を飛ばし、その糸ごと永年労働者を吹き飛ばす。
「助かった」
「気を付けろ。油断1つが敗北に繋がるぞ」
触手攻撃に地雷原、そして糸での拘束――――
明らかに前よりも攻撃パターンも増えているな。
迂闊に攻撃すら出来ない。
「うぅ……この毒なんとかなんないの?」
それに加えて、周囲には常に毒胞子が降り注いでいる。
戦闘中は強制的に毒状態になるようだ。
これじゃ、相手の攻撃を避ける避けない以前の問題じゃないか。
「このままじゃジリ貧だな……今の所は体力回復ポーションで何とかするしかないか」
この毒のせいでリソースの消費を強制されている。
長引けば長引く程、戦況は不利になる。
「グガァァァァァ!!!」
「【反響跳弾】!」
ドゴンッッッ!!! ドゴンッッッ!!!
ドゴンッッッ!!! ドゴンッッッ!!!
ドゴンッッッ!!! ドゴンッッッ!!!
再度、マイセラ=ファガスは毒茸の地雷原を生成する。
その瞬間、飴雨は【反響跳弾】で取り除いた。
「グガァァァァァ!!!」
「っ! 【旋――――」
爆発の中をマイセラ=ファガスは駆け抜ける。
僕は【旋風】で相殺しようとするも、間に合わず触手攻撃をモロに喰らってしまった。
「部長!」
「がはっ……!」
受け身すら取れず、巨大な茸に叩きつけられてしまう。
体力も残り僅か。
毒で死ぬか、触手でトドメを刺されるかの極限状態。
僕は立ち上がろうとするも、マイセラ=ファガスの追撃の方が速い。
「グガァァァァァ!!!」
万事休すか……。
尖らせた触手が僕に向かって――――
ピカッッッ!!!
「――――ったく、助けに入る前にデスポーンされたら困るぜ?」
気が付くと、僕は赤月に担がれていた。




