菌王の狂乱
危ない状況だったから、思わず『割れやすい閃光ポーション』を投げたが……これ俺助けなかったら確実にスカーフ仕留められてたな。
「ふ、ふんだ! 赤月が来たからには、あんたなんて、けちょんけちょん何だからね!」
「そうだぞ! けちょんけちょんにしてやるぞ!」
――――さて、どう攻略してやろうか。
マイセラ=ファガスの様子がおかしいな。
身体中から飛び出してる青い水晶もそうだが、心無しか表情も凶悪顔になってる。
[毒の状態になりました]
それに加えて毒の状態異常か。
まだ一度も攻撃を喰らって無いはずだが――――
この降ってる胞子の影響だな?
「グガァァァァ………!」
マイセラ=ファガスは目眩の状態から復帰する。
そして、突然の乱入者である俺に向かって睨みを効かせていた。
「赤月、降ろして欲しいんだけど……」
「さっさと上級体力回復ポーション飲め。それまで護衛してやるよ」
「そうじゃなくて、この体勢ちょっと恥ずか――――」
「グガァァァァ!!!」
マイセラ=ファガスは多くの触手を伸ばして振り回す。
横払い、叩きつけ、横払い、叩き付け、叩き付け――――
攻撃モーション自体は分かり易く、分かってしまえば簡単に回避出来る。
ただ、速いな。
単純に攻撃速度が速い。
被弾によってボス自身の身体も巨大化してる影響で、1発1発が物量攻撃と化してるのか。
「……もう飲んだ! 飲んだから降ろしてって!」
「それ本気で言ってんのか? 今で良いんだな?」
「――――やっぱ降ろさなくて良い」
巨大化した触手の猛攻は続く。
例え単調な攻撃でも、デカいと速いが組み合わさると、それだけで脅威だな。
スカーフを抱えてるのもあるが、見た目より避けるのがムズい気がする。
「【重撃採掘】!」
「グガァァァァァ!!!」
こちらにヘイトが向けている最中、永年労働者が後ろから『採掘鶴嘴』を振り下ろす。
身体が抉られた衝撃でマイセラ=ファガスは大きく仰け反った。
「ほらよ」
「……ありがとう」
「どういたしまして」
さて、スカーフの護衛も済んだ。
ここからは攻めのターンだ。
「グガァァァァァ!!!」
マイセラ=ファガスは咆哮を上げた。
地面から大量の青紫色の茸が生成され、明らかに踏めば大怪我を負うと言わんばかりに生え並んでいる。
「【反響跳弾】!」
ドゴンッッッ!!! ドゴンッッッ!!!
ドゴンッッッ!!! ドゴンッッッ!!!
ドゴンッッッ!!! ドゴンッッッ!!!
飴雨は『跳界核』を一斉投擲する。
その球体に当たった青紫色の茸は即座に爆発を起こした。
「グガァァァァァ!!!」
「させるか! 【旋風】!」
その中をマイセラ=ファガスが駆け抜け接近しようとするも、スカーフの突風により阻まれる。
「こいつを喰らいな」
俺は高純度の『割れやすい機動弱化腐食ポーション』を投擲する。
マイセラ=ファガスの動きが目に見えて鈍くなり、突風に抵抗出来ず吹き飛ばされてしまった。
バキュン!
バキュン!
バキュン!
バキュン!
蒼白なる弾丸を連射する。
動きが鈍くなったお前なんざ、ただの動く的だぜ?
機動弱化、腐食、被ダメージ増、毒、麻痺、吸収――――
これだけデバフを重ねれば、相手がどんだけ強かろうと関係無い。
――――溶かし尽くしてやるよ!
バキュン!
バキュン!
バキュン!
バキュン!
「グガァァァァ………!」
「駄目押しの【反響跳弾】ッ!」
「動く前に仕留める! 【旋風】ッ!」
「……【螺旋投擲】」
飴雨、スカーフ、永年労働者も猛攻に参加し、マイセラ=ファガスの体力を大きく削る。
蒼白なる弾丸が、ボールが、突風が、ツルハシが、確実にかのボスにダメージを与えるだけの威力がある。
「中々硬いようだが……動けなくなっちまえば、サンドバッグと同義!」
バキュン!
バキュン!
バキュン!
バキュン!
「グガァァァァァァァァァァ!!!!!」
絶叫。
そう形容する他ない叫びが『のこ丘』中に響き渡る。
そして――――
ドクン!
地面が揺れる。
まるで心臓の鼓動のように、一定時間毎に訪れる揺れ。
同時に、マイセラ=ファガスの身体が巨大化していく。
「えっ……大きくなってない?!」
「そう簡単にやられる訳無いよな」
ドクン!
鼓動の度、身体が巨大化する。
巨大化は止まらない。
ドクン!
ドクン!
ドクン!
「グガァァァァァァァァァァ!!!!!」
気が付けば、俺達を見下ろす程にマイセラ=ファガスの身体は大きくなっていた。
[第二形態へ移行]
嫌な予感が背筋を伝う。
俺は高純度の『機動強化ポーション』を飲み干した。
「グガァァァァァァァァァァ!!!!!」
マイセラ=ファガスは超巨大化した触手を振り降ろす。
「えっ――――」
ドゴンッ!
「……やっぱりそうじゃねぇか!」
「……赤月?!」
俺は飴雨を抱えて飛び出した。
先程、飴雨の居た場所に目を向けると、地面には大きな抉れた跡が広がっている。
「巨大化したら攻撃速度下がるとか無いのはズルだろ!」
そう、攻撃速度が変わっていない。
例えるなら、巨人が普通の人間と変わらない速度で徒手空拳を繰り出してくるレベルの暴挙だ。
巨大化するのと比例して本体の速度が下がるから、人間でも対処出来るのが創作の常だろうが。
「飴雨、これ飲め。じゃないと回避すら出来ないぞ」
「う、うん、分かった!」
俺は飴雨に高純度の『機動強化ポーション』を渡す。
あの一瞬、助けが間に合ったのはポーションのお陰だ。
これが無ければ飴雨は潰されて即ゲームオーバーだっただろう。
「お前らも受け取れ!」
「うぉっとと……!」
俺はスカーフと永年労働者にも高純度の『機動強化ポーション』を渡す。
これで攻撃を回避するくらいなら――――
「グガァァァァァァァァァァ!!!!!」
次の瞬間、マイセラ=ファガスが雄叫び上げる。
すると、フィールド中に大量の糸が出現した。
「赤月、この糸に触れるなよ。動けなくなる」
「……フィールド中に拘束トラップ展開? やってる事ヤバいな、あいつ」
何かしらの強化を受けてるんだろうが、だからと言って魔改造され過ぎだろ。
普段ならワクワクするが、ここまでの強化は逆にドン引きしてしまう。
「グガァァァァァァァァァァ!!!!!」
巨大触手の高速攻撃が俺達を襲う。
寸前で躱した俺は再度、高純度の『割れやすい機動弱化腐食ポーション』を投擲した。
マイセラ=ファガスの素早さが下がる。
それでも攻撃の面積が多いからか、避けるのがキツイのは変わらない。
バキュン!
バキュン!
バキュン!
バキュン!
攻撃を避けつつ、蒼白なる弾丸を放つ。
それでも全く怯む事無く、触手攻撃は続く。
「グガァァァァァァァァァァ!!!!!」
また糸トラップの設置か?
これ以上は流石にキツイぞ。
――――何だ?
マイセラ=ファガスの身体が淡く発光していた。
まるでそれは膨大な魔力を溜めているかのようで――――
「皆、一斉攻撃だ!」
こいつ……自爆するつもりだ!
ここで仕留めないと、『のこ丘』一帯が消し飛ぶぞ!
バキュン!
バキュン!
バキュン!
バキュン!
俺達はなりふり構わず猛攻を仕掛ける。
それでも、マイセラ=ファガスは不敵な笑みを浮かべているのみ。
「間に合わねぇ!」
「グガァァァァァァ――――
「【水天昇撃】ッ!」
次の瞬間、水のビームがマイセラ=ファガスの身体を貫通した。
[エリアボスを撃破しました]
[胞子菌王 マイセラ=ファガス【狂乱】を倒しました]
[『菌王の瘴面冠』を入手しました]
[『胞子の寄生核』を入手しました]
[『魔水晶』を入手しました]
[奥義スキル【狂暴走】を入手しました]
[20000HGを入手しました]
[ランク34になりました]
水のビームが発射された方へと顔を向ければ、そこには翼を大きく広げたバンダナが宙を浮かんでいた。
ハイドロポンプ!
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名前 『赤月の夜』赤月
階級 ランク34
所持金 55800HG(1700BP)
武器 魂縫双銃【魂吸収弾】
武器 魂縫双銃【魂吸収弾】
防具 縫魂礼装【魂枯渇転化】(紅砂のガンマン)
装飾 腐王鴉の眼核【死肉の王眼】
装飾 毒蜜女王の毒腺輪【紫蜜ノ血】
装飾 嵐角雷環【嵐角誘雷】
ステータス
体力 290
魔力 185
攻撃力 100
防御力 30
素早さ 50
毒効力 1毎3(+1)
吸収効力 1毎2
麻痺効力 10%
自動魔力回復 1秒毎4(+1)
状態異常命中 +140%
状態異常耐性 +30%
職業
遺物調薬師 熟練度5
【遺物調薬図鑑】【脆弱化】【遺物調薬観察眼】【高純化】【調薬合成】
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