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状態異常使い、敵を溶かす。~状態異常ビルドのVRMMO~  作者: MeはCat
【幕間】過去の栄華【別視点】

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ムービー劇場

 その姿を一言で表すのなら、「異形頭の巨人」であった。

 身体は人間のような制服を着こなしているが、その内から異質な機械音が響いて来る。


 そして何より特徴的なのは、テレビの頭。


 そのテレビの画面は単眼の目が映し出されている。

 かと思えば、こちらを発見したように「(ビックリ)」のマークが映し出された。


「Oh, an intruder?(おや、侵入者ですか?)」


 そのテレビから発せられるのは、間違いなく()()であった。

 日本語に慣れきった耳では全てを聞き取れはしなかったが、ニュアンス的には侵入者に対する冷静な反応のように感じる。


「えっと……英語分かる?」


「何真面目に聞き取ろうとしておる。所詮はモンスターの戯言よ」


「でも、明らかに今までの奴とは違うな……【飛来天斬】」


 俺は小手調べとして【飛来天斬】を放つ。

 ヴァル=ムービーへと飛ぶ斬撃が飛来するが、そのテレビの画面から()が飛び出して打ち消した。


「Violence won't do. Shall we have you calm down?(乱暴なのはいけませんね。少し大人しくして貰いましょうか)」


「クマ?!」


 ヴァル=ムービーは剣を収納して、代わりに画面からガトリングを飛び出させた。


 ババババババババババババ!!!


「させないっ! 【岩人召喚】!」


 わたあめ大将軍は『創造魔導杖』を構え、目の前に魔方陣を展開する。

 その中から強靭な肉体を持つゴーレムを複数体召喚し、自身と3人の目の前に立ちはだかった。


「なんて威力なの……!」


 無数の弾丸がゴーレムの身体に撃ち込まれる。

 その衝撃は凄まじく、思わず後退してしまう程の威力を誇っていた。


「一切合切、その身諸共灰燼に帰すが良い」


 ゴーレムが崩壊した直後、グリムは天高く飛び上がった。

 グリムの周囲に浮かぶ『火滅却の龍玉』は口元へと運ばれていく。


「【灼熱滅却】」


 瞬間、前方には灼熱が広がった。

 これは比喩表現では無く、現実として極太の火炎ビームが放たれたのだ。


「Well, this is troubling.(これは不味いですね)」


 ヴァル=ムービーは自身の周囲にドーム状のバリアを展開する。

 その周囲は溶け落ちる程の高温を秘めているにも関わらず、テレビに映る単眼だけがこちらを見つめていた。


「……これは驚いた。我の攻撃を防ぐとは」


「I'll finish you off first.(まず貴方から仕留めましょう)」


 ヴァル=ムービーは再度画面から剣を取り出し――――

 天高く跳躍した。


「【気孔掌底】!」


 ボンッ!


 無害なクマは掌を虚空に押し当て、空気砲の如く飛ばす。

 ヴァル=ムービーは突然の空気砲で撃ち落とされながらも、冷静に瞳をグリムの方へと向ける。


「Do you really think that was enough to stop me?(これで防いだと思いですか?)」


 ヴァル=ムービーはそのまま落下するのと同時に、画面からマシンガンの銃口を覗かせた。


 ババババババババババババ!!!


「舐めるな!」


 グリムは翼を大きく広げ、空を飛び回る。

 数発程の弾丸を掠めるも、致命傷には至らない。


「【飛来天斬】」


 ヴァル=ムービーが着地する寸前、飛ぶ斬撃を放つ。

 だが、難無く剣で打ち消された。


「【灼熱滅却】!」


 グリムは再度【灼熱滅却】を放つ。

 この地は魔力で満たされており、基本的に魔力切れを起こす事は無い。

 これにより、膨大な魔力が必要な大技の連発を可能としていた。


「That won't work on me anymore(それは既に見切りました)――――」


「【気孔掌底】」


 ヴァル=ムービーが再度バリアを展開する直前、無害なクマは空気砲を放ち攻撃を当てる。

 その衝撃で大きく仰け反り、大きな隙を晒した。

 前方が灼熱へと染め上げ、ヴァル=ムービーはその奔流に呑み込まれてしまう。


「クマ……!」


「分かってる」


 こいつは『夢の跡地』のエリアボスだ。

 第二形態を出せ、ヴァル=ムービー。

 どんな攻撃を繰り出そうが、俺達には叶わない。


「You're even stronger than I expected. In that case, let's change things up a little.(予想以上にお強いですね。では、少々趣向を変えましょう)」


 ヴァル=ムービーの画面が怪しく光る――――


 目が覚めると、俺達は見知らぬ街に居た。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


[第二形態へ移行]


 いつの間にか、俺達は街の中央に立っていた。

 周囲は砂で覆われており、横薙ぎの風が吹いている。

 タンブルウィードが道を横切る光景は、どこからどう見ても西部劇のようだった。


「ここは一体……って、何これ!」


 右手には『神霊聖剣』の代わりにリボルバーが握られており、ガンマン衣装まで着させられていた。


「強制的な遺物変更か……違和感があるな」


「あれ、もしかして――――」


「……クマ?!」


 ふと、見知らぬ女性が立っていた。

 ――――いや、あれは無害なクマだ。

 ギミックの影響で、普段着ていたクマの着ぐるみ装備が剥がされていた。

 着ぐるみの中身は紫髪の可憐な女性であり、女性用のガンマン衣装を美しく着こなしている。


「これが無害なクマの真の姿か……初めてみたぞ」


「うぅ……恥ずかしい……!」


「マトモに喋ってるのも初めて見る!」


 無害なクマ――――

 声色から女性である事は分かっていたけど、まさかこんなに綺麗な女性だったなんて……。

 戦闘中にも関わらず見惚れてしまうな。


「So, you dared to forget me?(私を忘れるとは良い度胸ですね?)」 


 余りの衝撃に若干忘れられそうになっていたヴァル=ムービーの声が街中に響き渡った。

 心無しか少し不服そうな声色をしている。


「Three, two, one……action!(3、2、1……アクション!)」


 突然、街の窓が開かれる。

 なんと、そこからヴァル=ムービーが顔を覗かせていた。

 更に分身しているのか、複数のヴァル=ムービーがそれぞれ銃口をこちらに向けていた。


 バキュン!


 俺達は容赦なく、攻撃される前に手持ちのリボルバーの引き金を引いた。

 発射された弾丸は真っ直ぐ、そして寸分の狂いなくヴァル=ムービーの眉間を貫いた。


「偶には銃を扱うのも悪くない」


 バキュン!

 バキュン!


 普段は剣の遺物を使うからか、余り銃に慣れない。

 それでも、俺は一風変わった攻撃方法に胸を躍らせながら、次々と顔を覗かせるヴァル=ムービーを撃ち抜く。


「どうしたのグリム、さっきから全然弾当たって無いけど」


「どうも銃は慣れん……」


「グリムにも、苦手なものがあるんだな」


「やかましい。この銃がなまくらなだけだ」


 銃に「なまくら」なんてあるのかい?

 誰が使っても簡単に攻撃出来るのが銃の魅力だろうに。


「Transitioning to the next scene.(次のシーンに移行します)」


 ヴァル=ムービーは今までより不服そうな声色で呟く。

 すると、また視界が突然暗転した。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 目を覚ませば、俺達は大海原に居た。

 俺達を支えるイカダは揺れ動いており、足場が悪い。

 目の前には巨大な海賊船らしき物が俺達の居る場所をグルグルと進み続けている。


「西部劇の次は海賊?」


 先程まで持っていたリボルバーは、いつの間にかカットラスへと変えられていた。

 次々と変わる場面に困惑しながらも、ヴァル=ムービーはその手を止める事は無い。


「Three, two, one……action!(3、2、1……アクション!)」


 その瞬間――――

 海賊船の側面から()()が飛んできた。


「……っ!」


「あんな遠くから撃たれては的にされるぞ」


 装備している遺物も丸々変わっていて、動きがおぼつかない。

 そんな中の遠くから一方的に砲撃されては、確実に負けてしまう。


「あの……武器のスキル……見て下さい!」


 無害なクマはぎこちない声を張り上げた。

 俺達は言われた通りに武器遺物の詳細を見る。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆


海賊の湾曲剣(一時的)

※ステータスは未公開

かつて一部の海賊に使われていた湾曲剣。

飛来物を弾き飛ばす力が籠っている。


【飛来反射】

種類:アクティブ

飛来物を弾き飛ばすスキル。

飛来物をタイミング良く刃先に当てる事で弾き返す事が出来る。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「――――ありがとう、無害なクマ」


 それを聞いた無害なクマは凄く恥ずかしそうに顔を赤らめる。

 案外恥ずかしがり屋なんだな。


 俺は大きく跳躍する。

 そして、砲弾に向かって大きく『海賊の湾曲剣』を振りかぶる。


「【飛来反射】ッ!」


 その瞬間、砲弾の進行方向は真逆となる。

 砲弾は海賊船を貫き、爆発が起こった。


「Ghh... then how about this?(くっ……これならどうです?)」


 突然、海賊船の数が増える。

 先程まで1隻であったはずが、4隻もの海賊船がグルグルと回っている。

 その分砲撃の量も濃くなり、無数の砲撃があらゆる方向から飛来する。


「「「「【飛来反射】ッ!」」」」


 一斉に【飛来反射】によって砲弾を跳ね返す。

 そして――――


 ドッカァァァァァン!!! 


 全ての海賊船が沈没した。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「Intruder...!(侵入者め……!)」


 目が覚めると、元の場所へと戻っていた。

 ヴァル=ムービーは手傷を負っており、怯んでいるのか動きを止めている。


「【神霊顕現】ッ!」


 『神霊聖剣』に秘められた神霊を顕現させる。

 背後に聳え立つは金色の化身であり、8本の腕の1つ1つに剣が握られている。


「終わりだ!」


 俺はヴァル=ムービーへと駆け出し――――

 目にも留まらぬ速さで切り刻んだ。


[エリアボスを撃破しました]

[映画機兵 ヴァル=ムービーを倒しました]

[『超機構機関銃』を入手しました]

[『海賊の湾曲剣』を入手しました]

[10000HGを入手しました]

[ランク36になりました]


異形頭最高!

異形頭最高!

お前も異形頭最高と叫びなさい!

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