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状態異常使い、敵を溶かす。~状態異常ビルドのVRMMO~  作者: MEはCat
【第五章】新大陸より

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【別視点】狂乱

スカーフ視点と???視点です。

「――――それで、ここに『瘴気茸』の群生地がある」


 スカーフは飴雨と永年労働者に採集場所を教えていた。

 こういう採集場所はランダムに生えるものではなく、固有の場所に一定時間後また生えてくるシステムである。


「ここら辺、本当に茸多いよね〜」


「お陰で資源も豊富だな」


「そうだね、僕もここは茸系の穴場だと思うよ」


 新大陸中の茸が集まっていると思うくらいには、『のこ丘』で採れる茸は多い。

 『光茸』や『瘴気茸』は勿論、『火炎茸』に『冷茸』、そして『毒茸』『麻痺茸』『紅茸』『蒼茸』――――

 採集出来る茸も多岐に渡り、採集量も多い。

 少なくとも、調薬素材が不足する事は無い。


「ここの群生地一帯の『瘴気茸』は大体18個くらいかな」


「18個も採れるの?!」


「それは凄いな……ずっとここでファームしていたい気分になる」


「今の在庫と合わせると……これで500行ったかな?」


「ごひゃっ?!」


 在庫数500はあくまで『瘴気茸』の話。

 他の茸も合わせた総量は4桁を優に超える。

 これまでコツコツ採集を続けたスカーフの採集者の熟練度は脅威の8。

 スカーフが新大陸一の採集者と呼び声高くなるのは、また別の話である。


「さっき連れてきた所を含めて、ここまでが()()()1()だね」


「……待って、これでルート1? その口振りだとルート2やルート3とかありそうなんだけど……」


「うん、勿論」


「勿論?!」


 採集のルートは全部で8個存在しており、東西南北は勿論の事、北東、南東、南西、北西のルートも存在する。


「ちなみに、僕はこれを日課でやってるよ。君達はルートを覚える所からだし……まずは週課かな?」


「あわわわ……この人ヤバいよ永年労働者!」


「ここまで採集を極めてるのか……!」


「そんなビビる?」


 2人はスカーフのヤバさを察知するのと同時に、将来彼と同じ事をしなければならないという事実が、彼らを震撼させていた。


「慣れたら脳死だよ脳死」


「採集ガチ勢舐めてた……これを脳死……そうなんだ……」


「俺達も部長と同じ事をやれば、採集者の熟練度相当上がりそうだな」


「あっ私も付いていきます部長!」


「……よく分からないけど、やる気がある事は良い事だね」


 スカーフは感覚のズレに困惑しながらも、次のルートの場所向かう為に歩き出した。

 2人には長く大変なルートでも、彼にとっては通勤と然程変わらない作業なのだ。


 ――――そのはずだった。


「……何だ?」


「どうしたの?」


 それはここ『のこ丘』のエリアボス、胞子菌王マイセラ=ファガスのように見えた。

 スカーフの歩いたルートは、エリアボスとの戦闘を避けるように出来ていた。

 戦闘を行うロスを限りなく減らす事で、効率良く採集を行えるように考えられている。


 だが、そのルート上にエリアボスが居る。


 本来それだけでも異質であるのに、マイセラ=ファガスの身体から青色の()()のような物質が生えていた。


 明らかに、普通のボスじゃない。


「グガァァァァァ!!!」


[エリアボスを発見しました]

[胞子菌王 マイセラ=ファガス【狂乱】]


「2人共、時間稼ぎに注力して。赤月を呼ぶ」


「わ、分かった!」


「了解」


 マイセラ=ファガス【狂乱】は、その獰猛な牙をこちらに向けていた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 一方その頃、あるプレイヤーが『そよかぜ山』を練り歩いていた。


「ふふん、この僕様にかかれば、財宝の在処など余裕で暴けるのだよ!」


 プレイヤー“まおう”は『宝の地図』を読み進めながら、遂に財宝の場所を判明したと息巻いていた。


 他にプレイヤーは居ない。

 たった1人で抜け駆けしようとしているのだ。


「くっくっく……この下だな?」


 まおうは『採掘スコップ』片手に地面を掘る。


 ザク、ザク、ザク――――

 カンッ!


「何か当たったぞ!」


 まおうは宝箱か何かだと思い掘り返した。

 埋まっていたそれは、立方体の金庫だった。


「宝箱……というより金庫だな! 思ってたんと違うが、まぁ良し!」


 表面は黒ずんだ金属で出来ているようにも見える。

 日光を当てても全く輝かず、更には所々に滲んだような染みがある。

 まるで何かを拒み続けているような感覚が背筋を伝う。


 そして中央には鍵穴がある。


「ふっふっふ……この僕様を舐めるでないわ! ちゃんとキーアイテムらしき鍵を持っているぞ!」


 そう呟きながら、懐から既に見つけていた鍵を取り出す。 

 土埃を払ったその鍵は、金庫と同じく不吉な鈍い光を宿していた。


「待たせたな、我が財宝よ……!」


 鍵先が鍵穴へ近づくにつれ、まおうは周囲の空気が一瞬冷えた気がした。

 不自然にも風が止み、無音が辺りを支配する。


 そして――――


 カチリ!


 まおうは鍵を、その不気味な鍵穴へと差し込んだ。

 まるで最初からそれ以外ありえなかったかのように、鍵は寸分違わず、ぴたりと収まった。


「何だ……?」


 金庫の中に収められていたのは、壮大な財宝でも強大な遺物でもなかった。


 それは、一通の手紙。


 長い年月を経ても尚破れていない紙。

 そこに記された筆圧から、()()を伝えようとする意思が感じ取れる。


「手紙……なんだ、また何かのヒントか〜もう良いってこのパターン」


 まおうがため息を吐きながらそれを開く。

 すると、そこに記されていたのは――――


『後続の発見者へ』


この記録を読んでいる者が居るなら、我々は既に失敗したのだろう。

読者の諸君、どうかこれを、ただの遭難記録として片づけないで欲しい。

我々宇宙調査隊は、この星を未開の地として調査していた。


だが実際には違った。

ここは一度、文明が滅びた後の世界だ。


この星の旧文明は、我々の想像を遥かに超えていた。

彼らは魔力を使って獣や異形を生み出し、従えて労働力や兵器として使役されていた。

きっと、我々の惑星で言うクローンや人工知能に近いものだったのだろう。


だが、魔力は本来この星の人類のものではなかった。


魔力の源泉は、魔神と呼ばれる存在にあった。

旧文明の人類はその力を流用した。

奪ったのか、借りたのか、あるいは触れてはならないものに手を伸ばしたのか、そこまでは分からない。


ただ1つ確かな事実として、その行いが破滅を招いたという事だ。

怒れる魔神は、この星の文明そのものを滅ぼした。

人類の築いた都市は崩れ、制御されていたはずのモンスター達は狂い出し、世界を蹂躙した。

多くは死に絶えたが、それでも全てが終わった訳ではない。

一部の人類は星外へ脱出し、また一部はこの地に潜み、細々と生き延びた。


そして長い年月が流れる。

星を脱出した者達の末裔は、再び文明を築いた。

あまりにも長い時を経たせいで、自らがこの星から逃れた歴史すら、神話か伝承のように薄れていたのだろう。

我々宇宙調査隊もまた、そんな忘却の時代にこの地へ降り立ったのだ。


愚かだった。

我々は遺跡を調べ、痕跡を辿り、眠ったままの災厄へ近づきすぎた。


魔神は、完全には死んでいなかった。


眠っていたのだ。

そして我々の調査によって、その意識に触れてしまった。

それから異変が始まった。


この地に棲むモンスター達が突如として凶暴化し、猛獣のように暴れ始めたのだ。


狂乱した個体には共通点があった。

肉体の各所に、青色の水晶のような物質が生えていた。

骨を突き破り、皮膚を裂き、なお結晶は輝き続けていた。


あれは間違いなく侵食だ。

魔力が、モンスターを媒介にして現実へ滲み出している。


我々は襲撃を受け、部隊は分断された。

通信は途絶え、避難経路は潰され、仲間は一人、また一人と消えた。

生き残った者も、合流は叶わなかった。

この記録を残している今も、誰がまだ生きているのか分からない。

もし後続が来るなら、覚えておいてほしい。

この星の脅威は、モンスターだけではない。

奥底には、文明を一度終わらせた青の災厄が眠っている。

青い結晶を宿した個体を見たなら、それは前兆だ。

既に何かが目を覚ましつつある証拠だと思え。


どうか深入りするな。

調べるな。

起こすな。


我々の失敗を、繰り返してはならない。


宇宙調査隊 生存者記録より


これにて、第五章終了でございます!

ここまでご覧下さった読者様、本当にありがとうございました!


ここからは幕間に入ります〜

幕間は基本的に他プレイヤー視点となります

宜しくお願いします!

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