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白石 紬 10
カメラとレンズの入ったバッグを抱えて隣接したビルへ向かう。
移動しながら、みんなの会話に耳を傾けて、NICの人たちの名前を探った。
流地さんをドクターと呼んだ男性は〈長友〉というらしく、気難しい顔の割に言葉遣いは丁寧だった。動きが機敏なので見ていて気持ちがよく、なにかと周囲を気にかけている様子もあって、感心してしまうところが多い。
初対面時に宍戸捜査官へ不審の目を向けていたもうひとりの男性は、不機嫌顔を崩さず、重い口をたまに開いたかと思えば愚痴と舌打ちを交互に発した。
みんなから〈荒江くん〉と親しげに呼ばれているが、荒江さん自身はほかのスタッフの名前を未だ一度も口にしていないように思う。
正直、ちょっと苦手なタイプだ。近づいたときに強烈なタバコ臭がしたのも、印象よくなかった。
残るふたり――宍戸捜査官とビルへ入った黒縁眼鏡の男性は、推測したとおり兄弟だったらしい。両者とも〈竹山〉という苗字で呼ばれていたので、間違いないだろう。
背の高いほうが兄であり、ぼくと同じくらいの身長のほうが、弟であるようだ。
流地さん、長友さん、荒江さん、竹山兄弟。
みんなぼくより年上で、揃って、やや痩身だ。




