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第7話 vsサキュバス⑤ 夏の夜の夢

「う…ん、ここは?」

チヒロが目を覚ました場所は見覚えのある場所だった。


「保健室のベッド?」

そこは昨日の朝に見た風景だった。

腕や脚を見て服装を確認すると、学生服を着ている。


「とりあえず起きなきゃ」

そう思い、体を起こそうとするが、思うように動かない。


「あれ?」

不思議に思っていると、


「あ、目を覚ましましたか」

いつもの聞き覚えのある声がして横を向くと、ベッド脇に神様が立っていた。

その姿は白衣をまとっていて、それも一昨日の朝見た光景だった。


「二人きりになるこの時を、待ちわびていました」

神様はそう言うとベッドに上がると、寝ているチヒロに対して馬乗りになった。


「ちょ、ちょっと…、何を?」

あまりの突然の行動にチヒロは慌てた。


「何って決まっているじゃないですか。愛の営みですよ」

チヒロはその言葉を聞いて、一気に緊張が高まった。


(何か、おかしい)

そう思い始めたチヒロをよそに神様は、

「神と人が交わるのはいけないことなのですが、それって何だかドキドキしますねえ」

と言うと、チヒロの右手を掴んで左胸に押し当てた。


「ほら、ドキドキするのが聞こえませんか?」

神様の突然の行為にチヒロはただただ狼狽していた。


その様子を見て、

「あはっ、もしかして興奮しちゃいましたか?」

とからかうような笑みを浮かべながら、チヒロの股間を鷲掴みした。


「いっ!」

握られた瞬間の痛みに、思わずチヒロは声を漏らす。


「ほーら、ほーら、どうですかー?」

神様は握る強さを変えたり、手を左右に動かしたりする。


「ああっ」

チヒロの股間の感覚は痛みから快楽に変わった。

そんな攻めを神様が続けていく内に、チヒロはぐったりし始めた。


その様子を見て神様は、

「そろそろ良い頃合いですかねー」

とズボンのチャックを下ろし始めた。


神様はズボンの中をまさぐりつつ、もう片方の手でスカートをたくし上げる。

そして、腰をかがめて寝ているチヒロに接近する。


(違う!コイツは神様なんかじゃない!)

朦朧とした意識の中で、何かおかしいと思い始めた。

今までの経験上、神様は必ず外堀を埋めてくるのに対し、今回は行動が強引過ぎるのに違和感を感じた。


保健室そして神様というシチュエーションから昨日の朝のことを思い出す。

ここで導き出される答えから、

「止めろーっ!サキュバスッ!」

と叫んだ。


それを聞いて、神様に扮した女は

「あはっ、あはははは」

と高らかに笑い出した。


「そう、私はたしかにサキュバスと契約したわ」

と正体を告白すると、

「夢の中では私を拒否することはできないはずなのに、さずがは極上の精気を持つ男ね」

感心しつつも、余裕の表情を浮かべていた。


「それじゃあ精気を一滴残らず吸い尽くしてあげる」

(ダメだ。為す術が無い。このまま死んでしまうのか)

夢の中で悪魔に襲われて身動きできない状況にチヒロは絶望しかなかった。


「それじゃあ、いただきまー…」

とサキュバスが言いかけたところで、チヒロは観念したのか目を強くつぶった。


その時である。

「うっ」

といううめき声が聞こえ、目を開けると、サキュバスの左胸に光の剣が貫通していた。


その背後に人の気配はするが、はっきりとした姿は見えない。


だが光の剣でのサキュバスの消滅により、ベッドの上で膝立ちしている少女の姿を見ることができた。


まず目に入ったのは金色の髪だった。


続けて目を下に向けると、サキュバスを倒した右手は桜色のロンググローブをしていた。


特筆すべきは彼女の服で、グローブと同色のワンピースはかなりセクシーなものである。


短い袖により少し二の腕が見えているのに加え、大きくU字型を描いている首回りは胸の谷間がはっきりとわかるほどだ。


さらに下に目を向けると、下着が見えそうなくらいスカートが短く、白いストッキングを履いている。


チヒロの視線に気づいた少女は、両手でスカートの裾を下に引っ張って大腿の露出を隠そうとしていた。


顔は恥ずかしそうに下へうつむいていた。


そしてスカートを気にしながら立ち上がると、後ろを振り向くと窓の方向へと移動した。


今度はお尻を隠すように右手をスカートと裏腿に当てながら、桜色のショートブーツを履いた足を窓にかけた。


彼女の堂々とした格好に対しての滑稽な動作に呆然としていたチヒロは我に返る。


ここで帰ろうとするのに気付いて慌てて、

「待って」

と呼びかける。


その呼びかけに彼女の動きが止まったので、続けて

「君は?」

と質問をした。


その問いに対し、彼女は

「私は…」

と辛うじて聞き取れるくらいの、ぼそぼそとした小さな声で返した。


少しの沈黙の後、

「アリス…よ」

と同じ口調で言うと、そのまま窓から飛び去った。




「アリス…」

アリスと名乗る少女が立ち去った後、チヒロは彼女のことが気になった。

サキュバスの倒し方を見ても、神様に力を与えられていることは間違いない。


ただ、現時点でわかることはそこまでだった。

「彼女は、いったい…?」

こうしてアリスに対する疑問は残しつつも、チヒロは無事にサキュバスの魔の手から救われたのだった。


次回予告


アリス。一体彼女は何者なのか

神様がチヒロと別れた後、サキュバス退治を任命したのは…

「第7話 vsサキュバス⑥ アリス」

お楽しみに

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