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きっと、そばに  作者: ミソラ


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ルノヴァン宮殿⑤

エピローグまで二話更新しています。

「なんとかこの謁見の間は見えるようになったな。」


 ローランドを退位に追い詰めた日から二週間経った。国の体制は見直されている途中で、一か月後にはイーヴ・リオネル・ジスラールの戴冠が迫っている。

 闘いを経たルノヴァン宮殿内は傷跡を多く残しているが、戴冠式をする大聖堂と使者を迎える謁見の間は修繕が終わった。あとは晩餐会と舞踏会を催す大広間二つと庭園だ。

 修繕にあたってジョスランの人脈が大いに生かされ、クリフとコームは忙しく動き回っている。

「またお前が儲けるのか。」とリオンに言われたが『夜の城』の者も多く働かせている。それに新宮殿の造営の話もなくなった。かなり節約できているはずである。


 玉座に座ったリオンは広間を見渡した。

「景色はどうだ?」

「まあまあだな。」


 無表情で言葉を交わすジョスランとリオンを見てラウリーヌは思わず笑った。


 リオンは内心ため息をつく。

 完敗だ。


「で、これからどうするんだ?」

「アーチー陛下に報告のため、一度はヴィドルバン帝国に戻らないといけない。」

「ベルジュラック公爵の冤罪は私の名の下に晴らし、復権させる。それを条件に南部は独立しないとサージェスの義父と契約を交わした。

 ベルジュラック公爵にはこの国を立て直すために力になってほしい。」


 苦々しい顔をしながらも頭を下げるリオンに、ジョスランは隣に立つラウリーヌを見た。ラウリーヌもジョスランを見上げる。

 

「復権できるとするならば、ラウリーヌとの婚姻許可証と証明書にサインをしてほしいのだが。」


 リオンは苦虫を潰したような顔をした後、ふんとそっぽを向いた。

「いいだろう。」

「リオン、ごめんね、ありがとう。」

「……謝るな。」

 

「大丈夫だラウリーヌ。彼にはちゃんと相手を紹介する。アーチー皇帝陛下とキャレル前王妃の妹君だ。」

「なっ? 知らんぞ、私は!」

「これでヴィドルバン帝国との関係も安泰だ。戴冠式の折に皇女をお連れしよう。

 ああ、それから私たちが不在の間クリフを置いていく。この国のことをよく知っている有能な男だ。その間に側近を育てておけ。」

「わかっている。サージェスの父上も手伝ってくれるそうだ。あと、ゴーチェ子爵を伯爵に陞爵してキーファーを側近として取り立てるつもりだ。」

「えー、兄さまを? 大丈夫かしら。」


 *


「海!」

「ラウリーヌは海は初めてか?」

「うちの領地は内陸部だったから。潮の香りも船に乗るのも初めてよ。わあ、みんなが上に登っているわ。」

 三本のマストの上にロープで作られたシュラウドを男たちが次々と登っていき、ヤードの上に並んだ。

 あんな高いところに、とラウリーヌはヒヤヒヤとしているとジョスランが囁いた。

「よく見ているといい。」


 そう言ってジョスランは張りのあるよく通る声で叫んだ。

「出航だ! 帆を張れ!」


 合図を受けた男たちが大きな声を上げながら帆を下ろす。すると青い空に白い帆が広がり風を受けて膨らんだ。


「うわあ、やってみたい。ジョスラン!」

「それはだめ。」


 二人は遠ざかるジスラール王国を見ながらヴィドルバン帝国へと旅立った。

「今回、南部に帰る時間がなかったけれど、ベルジュラックに早く帰りたいわ。」

「そうだね。……ラウリーヌ、この船はかつてディアボルス(悪魔)という船だった。新しい名をつけてくれないか?」

「えー、難しいわ。」


 ラウリーヌはううむと眉間に皺を寄せた。

ヴィアノーヴァ(新しい道)……とか?」

「ふふ、いいんじゃないか? これからいくつもの新しい道が現れるだろう。一緒に歩んで行こう、ラウリーヌ。」

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