リーグ予選
久しぶりの投稿です!
あまりアイデアが出てこなくて遅くなってしまいました!
心配になった方もいらっしゃると思います、ですが、この作品は完結するまで続けるので、それまでの間の応援よろしくお願いします!
「……へぇ。アリシアも腕をあげたな。」
先程の試合を観た感想としては些か平凡な感想だが、普段からの実力を知っている身としては他に感想が出てこないのだ。
「ふむ。……アリシアは確かAランクじゃったの?」
「俺と一緒に最近昇格したんだよ。」
「……それなのじゃが、主とアリシアの実力は、とてもランクに相応しいとは思わぬがな……。まるで実力を隠させているかのようじゃ。」
「……確かに、イブの言う事も一理あるな。」
今考えれば、俺達の実力がどの位かは分からないが少なくとも、Aや、Bではない筈だ。まず、この国のA、Bランクの冒険者が全てこのレベルなら間違い無くヴァーリア王国が世界を統一しているだろう。
という事は、フォルの街の冒険者ギルドマスターが何か画策する為に、わざとランクを上げなかったのかもしれない。
まず、考えれるのは俺達の存在を隠す為だ。
だが、この場合は俺達に戦争への参加の是非を問い掛けてきた事で矛盾が生じている。
存在を隠すつもりなら、戦争など目立つ行為は避けるのが定石だろう。それに、なぜ存在を隠す必要があるのか、という事も重要になってくる。
帝国との戦争が近いという事は、俺達の様な戦力は、公にしてから軍へ編成した方が王国の為になるのにも関わらず、それをしないのは叛逆と捉えられてもおかしくない行為だ。
だか、フェリスさんは王国を裏切ろうとしている訳ではなさそうだった。それが更に謎を深めているのだが。
2つ目の可能性としては、上記の内容とは別のレベルの非常事態。いわば、王国だけではなく、人類全体の危機などを俺達の存在から見破った場合だ。
だが、現在の国家情勢では人類全体の危機となる様な問題は起きてない様に思える。……魔王が誕生したりすればその限りではないが。
魔王が誕生などは、1つ目の可能性より更に低い確率だが。
3つ目は、魔王誕生と、俺達の存在が密に絡んでいた場合だ。
更に確率は低下するが、無いとは言い切れない事だ。それに、魔王が誕生すると異界から転生した俺などは勇者として祭り上げられる可能性が非常に高い。
勇者として活動しても、討伐後は戦争の道具として使われそうだから、この場合の時は隠蔽しておいて欲しいが。
「……う〜ん。さっぱり分からんな。」
俺1人で考えても分からないから、この件は全員揃ってから話そう。
「……2人に何があったとしても妾は、主やアリシアの味方なのじゃ。」
「…ありがと、イブ。」
幼女に慰められる男。
という何ともシュールな光景になっているが、俺にはアブノーマルな趣味は無いからな。……ほ、ほんとうだぞ!?
「ただいま〜!……ユウ。……なな何してるの!?」
「……アリシア、誤解だ。……なに、話せば解るさ。」
「どうしたのじゃ2人とも。」
イブは心底、不思議そうな表情で修羅場を眺めている。
(……天然って恐ろしいな。)
暫くの間、アリシアへ説得ーー正確には謝罪ーーをしていると、拡声器の様な魔道具からアナウンスが流れてきた。
『それでは予選リーグ【8】の総当たり戦を始めますので、参加選手の皆様は指定の場所へ集まって下さい。』
「–––––ふう、許してあげるから絶対に勝ってきてね!!」
「ワ、ワカリマシタ!!」
駆け足でアリシアから一心不乱に遠ざかっていく。
俺にとっては駆け足でも強化されているからか、恐ろしい程にスピードが出ている。階段を最上段から、一気に飛び降りて一階へ降り立つ。そのままトップスピードで集合場所へ向け駆ける。
続々と集まる参加選手の間を縫う様に走り抜け、集合場所へ到着する。
試合前の準備運動としては、妥当なものだろう。
『それでは、試合を始めます。ルールは当初、説明した通り、魔法のみを使用した試合になります。……カウントダウンを始めますので選手の皆様は、お好きな位置へ移動して下さい。』
俺が到着してから、今で約10分だ。
悠は一番離れた位置へ、ゆっくりと歩いていく。身体には程よく力が入り、緊張がうまく解れている。
これならば、十全なパフォーマンスが出せるだろう。
「俺はこの試合に勝って優勝して貴族になるんだーー!!!!」
「オイラは貴族様になってハーレム作るんだ。」
「私は貴族になって美酒美男に溺れるのですわ!!オーホッホッホー!」
「……くっ、右眼が疼きやがる。このままじゃ、封印されし我の『暗黒邪竜眼』が暴走しちまう。……最終戦争を前に邪竜の血が騒ぎやがる…。」
様々な声が聞こえてくる中、カウントダウンは始まっていく。
『3』
『2』
『1』
『始め!!』
予選リーグが始まると、割れんばかりの声援が送られてきて、闘技場内を凄まじい喧騒が支配する。
いきなり、暗黒邪竜眼の黒ローブが漆黒のマントを風魔法で靡かせながらポーズを決め、大仰に呪文を刻みだす。
「我は暗黒の支配者なり、終焉にして始源の深淵よ、我に邪竜の滅びを貸し与えよ。」
「冥獄牢!!」
黒ローブが魔法を告げると、世界が暗黒に染まる。
凄まじい速度で結界内を、暗く、冷湿な世界へと変貌させ干渉領域を広げていく。悠はすかさず次元魔法でバリアを張り、干渉を受けない様に守護する。
「……あの厨二病、口だけじゃなくて中々にやる様だな。」
暗黒に囚われた者たちは、全員が発狂しながら舌を噛み切って自決したり、魔法で自らの手首や体を吹き飛ばしたりしている。
この魔法を推察するに、精神干渉系の魔法だと思われる。
この手の魔法は、自分へ魔法的に接触しなければ問題は無いが、一度接触されると、押し返すのは難しくなる。
「ほう、我の魔法を防ぎきるとは。……最終戦争の前での肩慣らしには丁度良い。特別に我が相手をしてやろう。」
言い終わると黒ローブの魔力が高まっていく。悠もそれに呼応して魔力を高めていく。
黒ローブの魔力は全てを飲み込む暗黒、悠の魔力は全てを照らし出す神聖属性だ。
互いに魔力を収束・圧縮すると魔法を打ちあう。
悠は、バリアを張りながら攻撃魔法を放つ。対する黒ローブは範囲魔法を継続したまま、攻撃魔法を放っている。
純白の魔弾と、漆黒の魔槍が入り乱れ、結界内をモノクロに染め上げていく。
凄まじい轟音を立てて、向かい合う2人の中心が爆発を起こす。
「……やるではないか、名を聞こうか。」
マントを靡かせながら、名を訪ねてくる姿を見ていると此方まで恥ずかしくなってくる。
「……名を聞く時は自分から名乗るものじゃないか?」
「すまんな、心して聞くのだ。我の名はSランク冒険者、ジェノス・アンブラーだ。人呼んで、終焉の闇魔法使いと呼んでくれ。」
「……俺は一条悠だ。…続きをやろうか。」
「む?ノリの悪い奴だな。……興が削がれた、そろそろ終わりにしようか。」
ジェノスは先程よりも更に多くの魔力を収束・圧縮させていく、暗黒の纏わりつく様な魔力が可視化しているほどの密度だ。
悠は、セーブしておいたチカラを引き出すべく、自分の中に設けておいたリミッターを外す。
極光が迸り、純白の魔力が暗黒を押しのけていく。
バリアを解除して、空いたリソースを魔法構築へ回し、最強の一撃を準備していく。
先に完成したのはジェノスの魔法だった。暗黒の魔力が指先へ集まり、球体を形取る。
全てを飲み込む漆黒の闇は、悠へ向け高速で発射される。
「深淵!」
魔法名を唱えると、漆黒の球体は、複数に分裂して悠へ向け襲いかかってくる。その速さも相まって全てを避けきるのは不可能だと感じた。
この時、観客の誰もがジェノスの勝利を確信していたが、客席に座る2人の少女達は悠の勝利を疑っていなかった。
悠は、収束・圧縮した純白の魔力を解き放った。




