検証とギルド
誰も居ない森の中で、1人の男が佇んでいた。
男は黒革のノートを見ながら、何やら呟いており、暫くするとノートを手放し魔力を練り上げていく。
よし、先ずは、核となる大地魔法の因子、大地を抽出する。
やってみて分かったのだが、因子を抽出しても、レベルが下がるだけで無くならないようだ。これは俺にとってありがたい事だ。
次に、業火魔法を抽出して、業火にする。大地の上に、業火を被せて、混ぜ合わせるように創生していく。
重力魔法と、次元魔法も因子を取り出し、さらに混ぜ合わせていく。
暫く混ぜる続けると、魔力が収束していき光り輝く球体になった。それは、ゆっくりと悠の胸元辺りに沈んでいく。
悠はコレが、新しい魔法だと直感する。すかさず、鑑定をかけてみる。
●隕石魔法・・・創生魔術により、創られた魔法。威力、射程、有効範囲などが優れていて、大規模殲滅に向いている魔法。込める魔力の量に比例して、威力や、範囲なども操作出来る。
「……これだ!! 早速試してみるか。」
周囲30メートル四方は、誰も居ない事を、領域で、確認済みだ。
悠は、直径10センチ程の隕石をイメージして、魔力を込めていく。昔見たテレビ番組の中の隕石をイメージしておいたからなのか、ゴツゴツした隕石らしきものが形成されていく。
隕石を、上空10メートル程に創ると、誰も居ない地面に向け、最高速度で放つ。なお、着弾地点を次元結界で覆う事も忘れない。
–––––––––ドゴォォォ!!–––
凄まじい音が鳴り響き、少しだけだが、地面が揺れた。着弾地点は、土煙が舞っていて、見透しが悪く結果を見る事が出来ない。
暫く経つと、土煙も収まり視界が晴れてくる。
そこには、半径5メートル程のクレーターが出来ていた。
「………。」
(……直径10センチで、この威力とは…。俺は何と闘おうとしてたんだよ!)
心の中で、自分にツッコミを入れながら、クレーターを大地魔法で修復していく。
その後も、色々と実験をしてから帰路についた。帰る時には、外は薄暗くなっていてモンスターが度々出現したが、全て、剣のサビになってもらった。
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次の日の朝。
いつも通り鍛錬を終え、朝食を済ませた悠は、冒険者ギルドに向かう。
昇格の事で話があるのだそうだ。
待ち合わせをしていた場所に着き、暫くしてからアリシアが姿を見せる。今日は、ダンジョンには赴かない事を前もって言ってあるからなのか、私服を着ていた。
純白のワンピースは丈が短く、アリシアのシミ1つない足が、大胆に露わになっていて、大人の魅力を醸し出している。
また、胸元には、小さなリボンがあしらわれていて、少女の可憐な可愛らしさも演出している。
「ユウ!待たせちゃったかな?」
「…全然待ってないよ、今来たところ!」
「そっか、なら、行こっ!」
手を引かれながら、後ろ姿に見惚れていると、何時の間にか冒険者ギルドに着いていた。
ギルドに入り、受付に向かう。酒場の前を通った時に、厭らしい視線を幾つか感じたので、殺気を込めた魔力を放っておいた。今頃は、魔力酔いで倒れている事だろう。
「昨日ダンジョン攻略を報告した、Dランク冒険者の一条 悠です。」
「同じく、Bランク冒険者のアリシアよ!」
「今日には、攻略の確認がとれると聞いたので来たのですが」
「はい、確認がとれましたので、詳しい話はギルドマスターから説明があります」
「それでは、案内致しますので着いてきて下さい」
受付嬢は、無表情にそれだけ伝えると立ち上がり、階段へ向けて歩き始める。
この街のギルドは、二階建てだが、ボアのギルドと比べると、段違いの広さだ。また、それに付随して人も多く、冒険者の質も高いと思える。その分、質の低い冒険者も多いのだろうが。
そのまま、二階に進み、他の扉より、多少華美な扉の前に着く。
「此処が、ギルドマスター室となります。ノックをしてから入室下さい」
それだけを告げると、スタスタと受付に戻っていく。
(……無愛想な人だな。)
「…アリシア、行くか。」
「うん!」
2人は頷き、悠がノックをする。
–––––コン、コン。
こ気味良い音が数度響く。
「どうぞ」
部屋の中から、女性のものと思われる声が返ってくる。
悠は扉を開き、中に足を踏み入れた。




