暗躍
ブックマーク件数が60を突破していました!
これも偏に読者の皆様のお陰です!
何時も読んで頂いて本当にありがとうございます。
これからも暇潰しにでも読んで頂ければと思います。
月が上り陽が沈んだ頃。赤髪の壮年の男は、屋敷の中に居た。
赤髪の男はしっかりとした足取りで廊下を歩く。体は程よく引き締まり、些かも衰えていないように思える。また、鋭い眼光からは気品の高さも伺えた。
男は豪華絢爛と言い表すのが相応しい程の部屋に入り、椅子に深く腰掛ける。
暫くの間、男は眼を閉じていた。
やがて考えが纏まったのか、眼を開けると手元に置いてあったベルを鳴らす。
何時の間にか、男の前には黒装束に身を包んだ者が現れ、片膝を着き頭を垂れる。
「…お呼びに預かり参上致しました。…本日は如何様でございましょうか。」
「ふむ。まずは、素晴らしい隠密であった。大儀である。これからも精進せよ。」
「至上の悦びでございます。」
「…我が子の所在は掴めたのか?」
「…はい。掴むことが出来ました。」
「そうか。ならば明日より、我が娘の奪還に動くのだ。表立って行動はするな。分かったな?」
「御意。…失礼致します。」
黒装束は風景に溶けるかの如き隠密で姿、気配を消した。
赤髪の男は、満足そうに頷くと寝室に向かう。
「我が家にあの娘が来れば……。一族の悲願に一歩近づく…。」
男は厭らしい笑みを浮かべ呟くが、何事もなかったかの様に夜は更けていく。
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「アリシア。俺の相棒を紹介するよ。俺の召喚獣、セイントドラゴンだ。」
悠はセイントドラゴンを召喚しアリシアに見せる。
アリシアには初め、驚きや戸惑いも見えたが、やがてセイントドラゴンの可愛さに心を奪われたのか、今では真剣に名前を考えている。
「ユウ! この子の名前は私が決めても良いかしら?」
「全然大丈夫だよ! むしろ、名前が決まらなくて困ってたからありがたいよ!」
アリシアは、うーん。などと5分くらい考え込んでいる。
(…美女は考え込む姿も絵になるな。)
それから更に数分経った後、アリシアは名前を決めたのか顔を上げる。
「決めたわ。貴方の名前はソルスよ!」
ソルスは嬉しそうに鳴き、アリシアの頬をペロペロ舐める。アリシアはくすぐったそうにしているが、楽しいのだろう頬が緩みきっている。
「それと、もう一つ。俺には特殊なスキルがある。それは仲間を強化する物だ。」
「へぇ。凄いじゃない! 私にも使ってくれるの?」
「そうだけど、一応許可は取らないとダメだと思ってね。それに、このスキルは相手との親愛度が高い程、より効果を発揮するからね。」
悠は『金蘭之契』を発動させる。アリシアの親愛度は中々高かったのか3つのスキルを共有出来る。
(やっぱり、窮地を助けたのが響いたのかな。何を共有させれば良いだろう。)
[ステータス]
名前 一条 悠
種族 人族
年齢 17
レベル36
HP 1182/1182
MP 1364/1364
AT 1073+634
DF 938+68
AGI 1048+15
INT 1164
[固有スキル]
金蘭之契
[スキル]
特殊系スキル
・成長速度 特大UP
・スキル熟練度 特大UP
・スキル取得条件 解放
・全属性適合
・鑑定
・飛び道具命中率 特大UP
・精密魔力操作
・暗視 ←New
・魔力感知 ←New
魔法スキル
・重力魔法Lv9
・回復魔法LvMAX
・召喚魔法Lv8
・光魔法Lv7
・空間魔法Lv5
・治癒魔法Lv2 ←New
戦闘系スキル
・魔剣術Lv MAX
・剣聖術Lv1 ←New
[装備]
無銘 金重 : AT+634
漆黒の軽鎧 :DF+68
特殊効果:隠密
ワイルドベアーのブーツ : AGI+15
[加護]
転生神ジュリアの加護
●暗視・・・暗い場所でも鮮明に見える様になる。
●治癒魔法・・・回復魔法の上位互換。魔力までも回復対象にする事が出来る。だが、魔力を回復させるには、回復させる量の2倍魔力を使用する。
●剣聖術・・・剣を極めた者が使う術。歴史に名を残した剣豪等は、殆どがこのスキルを持っていたと言われている。剣を扱う時にAGIとATが上昇する。
暗視と魔力感知は、ダンジョンを踏破して行く内に勝手に覚えていた。
また、魔法はステータスをチェックしていなかったら、思ったよりも上がっていた。剣聖術も同じく無我夢中で刀を振るっていたら、何時の間にかなっていた。
これこそ真のチート野郎だ。
(うん? 俺ってまだDランク冒険者だよな?…何でBランクを圧倒してるんだよ…。それは置いといて。普通に成長速度UP系統を共有するのが一番無難だよな。)
結局。
成長速度 特大UPと、スキル熟練度 特大UPと、空間魔法にしておいた。
空間魔法があれば、もしもの時に身を護ることくらいは出来ると踏んだからだ。それに、アリシアなら使いこなせると、見越してなのもある。
「それじゃあ40層に向けて出発するか!」
「うん! ソルスは私と一緒に戦おうね?」
「ガウ!!」
ソルスはすっかりアリシアに懐いていて、まるでアリシアの召喚獣みたいだ。
……肉串あげた恩を忘れたのかっっ!!
そう心で叫びながらも一行は進んでいく。
40層まで来ると、悠とアリシアは転移魔法陣を使って外に出た。また、ソルスは悠が送還しておいた。
外は薄ら寒く、辺りは暗くなっている。
こんな日には紅蓮の泉亭の激辛鍋が食べたくなってくる。
アリシアを街の外れにある家まで送り届け、紅蓮の泉亭に向かう。
何時もの肉串を買って宿に着いた頃には、悠もヘトヘトなのか疲れが顔に滲み出ている。
そのまま夕食を済ませ、ソルスに肉串をあげて魔力を注ぐと眠りについた。
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翌日。
アリシアと朝からダンジョンに潜る約束をしていたから、早めに起床して朝食を摂る。顔を洗い気合を入れながら、アリシアの家に向かって歩いていく。
歩いて暫くすると、アリシアの家に到着した。
家はレンガ造りで、歴史を感じさせる。だが、それがまた味が出ていて良いと思う。
少し大きな声で、家に向かって呼びかける。
すると、少しドアが開き、その隙間からアリシアの顔が覗いている。
「おはよう。今日はポニーテールか。良く似合っているよ」
「…あっありがとうございます!! ………そんな…可愛いだなんて……。」
アリシアの顔が茹でタコの様に赤く染まり、ドアの向こうに引っ込む。それを微笑ましく見ながら、アリシアが身支度を済ませるのを待つ。
「…お、お待たせしました。行きましょう。」
「そんな急がなくても大丈夫だよ。後、今日の帰り、お母さんに挨拶しておいてもいいかな?」
「そ、そんな!? お、お、お義母さんだなんて!? ユウは気が早すぎるよ!! まだまだ付き合いも浅いし、お母さんには新しいパーティメンバーとしか話してないし、そ、それに‥『どうしてそんなに慌てるのか不思議だけど、新しいパーティメンバーになったんだから挨拶くらいはするのが当然だろ。』
アリシアが盛大に勘違いしていると、悠が疑問に思い訂正する。
「…はいはい。私はタダのパーティメンバーですよーだ。」
何故かアリシアはいじけているが、ダンジョンでは後衛を頑張ってもらわなくてはならないので、フォローを入れておく。
「アリシアはタダのパーティメンバーじゃなくて、俺の大切なパートナーだよ? だから、もうそんな事は言わないでね!約束だよ?」
「………。」
またも顔を俯け耳の先まで真っ赤にするアリシア。赤髪と相まってとても美しい。
思わず見惚れてしまう。
「…そんなジロジロ見られたら…恥ずかしいよぅ…。」
上目遣いでモジモジしながらの、この言葉は、凄まじい破壊力を秘めていた。
「…………。……アリシアは本当可愛い奴だな」
悠はそう言いながら、アリシアの手を取りダンジョンへ向かう。アリシアは先程からずっと、顔を真っ赤に蕩けさせている。
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悠達が通り過ぎた道の路地裏に、黒装束の者が数名いた。何時からそこにいたのかすら分からないほどの存在の薄さは、横を通ったとしても気付くのは難しいだろう。
「…あの男は誰だ?」
「…ハッ!…最近出来たパーティメンバーの様でございます。」
「…アリシア様に変な虫が付いているのは拙い。即刻排除するようにお館様に進言しよう。……行くぞ。」
「「「……ハッ!!!」」」
黒装束が消えた後には、彼等がいた形跡は全く残されていなかった。
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