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暗躍

ブックマーク件数が60を突破していました!


これも偏に読者の皆様のお陰です!


何時も読んで頂いて本当にありがとうございます。


これからも暇潰しにでも読んで頂ければと思います。




月が上り陽が沈んだ頃。赤髪の壮年の男は、屋敷の中に居た。



赤髪の男はしっかりとした足取りで廊下を歩く。体は程よく引き締まり、些かも衰えていないように思える。また、鋭い眼光からは気品の高さも伺えた。


男は豪華絢爛と言い表すのが相応しい程の部屋に入り、椅子に深く腰掛ける。





暫くの間、男は眼を閉じていた。


やがて考えが纏まったのか、眼を開けると手元に置いてあったベルを鳴らす。



何時の間にか、男の前には黒装束に身を包んだ者が現れ、片膝を着き頭を垂れる。



「…お呼びに預かり参上致しました。…本日は如何様でございましょうか。」



「ふむ。まずは、素晴らしい隠密であった。大儀である。これからも精進せよ。」



「至上の悦びでございます。」



「…我が子の所在は掴めたのか?」



「…はい。掴むことが出来ました。」



「そうか。ならば明日より、我が娘の奪還に動くのだ。表立って行動はするな。分かったな?」


「御意。…失礼致します。」




黒装束は風景に溶けるかの如き隠密で姿、気配を消した。


赤髪の男は、満足そうに頷くと寝室に向かう。



「我が家にあの娘が来れば……。一族の悲願に一歩近づく…。」


男は厭らしい笑みを浮かべ呟くが、何事もなかったかの様に夜は更けていく。






☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆





「アリシア。俺の相棒を紹介するよ。俺の召喚獣、セイントドラゴンだ。」



悠はセイントドラゴンを召喚しアリシアに見せる。


アリシアには初め、驚きや戸惑いも見えたが、やがてセイントドラゴンの可愛さに心を奪われたのか、今では真剣に名前を考えている。



「ユウ! この子の名前は私が決めても良いかしら?」


「全然大丈夫だよ! むしろ、名前が決まらなくて困ってたからありがたいよ!」



アリシアは、うーん。などと5分くらい考え込んでいる。


(…美女は考え込む姿も絵になるな。)



それから更に数分経った後、アリシアは名前を決めたのか顔を上げる。



「決めたわ。貴方の名前はソルスよ!」



ソルスは嬉しそうに鳴き、アリシアの頬をペロペロ舐める。アリシアはくすぐったそうにしているが、楽しいのだろう頬が緩みきっている。



「それと、もう一つ。俺には特殊なスキルがある。それは仲間を強化する物だ。」



「へぇ。凄いじゃない! 私にも使ってくれるの?」



「そうだけど、一応許可は取らないとダメだと思ってね。それに、このスキルは相手との親愛度が高い程、より効果を発揮するからね。」



悠は『金蘭之契』を発動させる。アリシアの親愛度は中々高かったのか3つのスキルを共有出来る。


(やっぱり、窮地を助けたのが響いたのかな。何を共有させれば良いだろう。)






[ステータス]



名前 一条 悠


種族 人族


年齢 17



レベル36




HP 1182/1182

MP 1364/1364


AT 1073+634

DF 938+68

AGI 1048+15

INT 1164



[固有スキル]



金蘭之契



[スキル]


特殊系スキル


・成長速度 特大UP

・スキル熟練度 特大UP

・スキル取得条件 解放

・全属性適合

・鑑定

・飛び道具命中率 特大UP

・精密魔力操作

・暗視 ←New

・魔力感知 ←New


魔法スキル


・重力魔法Lv9

・回復魔法LvMAX

・召喚魔法Lv8

・光魔法Lv7

・空間魔法Lv5

・治癒魔法Lv2 ←New



戦闘系スキル


・魔剣術Lv MAX

・剣聖術Lv1 ←New





[装備]


無銘 金重 : AT+634


漆黒の軽鎧 :DF+68

特殊効果:隠密


ワイルドベアーのブーツ : AGI+15



[加護]


転生神ジュリアの加護




●暗視・・・暗い場所でも鮮明に見える様になる。


●治癒魔法・・・回復魔法の上位互換。魔力までも回復対象にする事が出来る。だが、魔力を回復させるには、回復させる量の2倍魔力を使用する。



●剣聖術・・・剣を極めた者が使う術。歴史に名を残した剣豪等は、殆どがこのスキルを持っていたと言われている。剣を扱う時にAGIとATが上昇する。





暗視と魔力感知は、ダンジョンを踏破して行く内に勝手に覚えていた。


また、魔法はステータスをチェックしていなかったら、思ったよりも上がっていた。剣聖術も同じく無我夢中で刀を振るっていたら、何時の間にかなっていた。



これこそ真のチート野郎だ。




(うん? 俺ってまだDランク冒険者だよな?…何でBランクを圧倒してるんだよ…。それは置いといて。普通に成長速度UP系統を共有するのが一番無難だよな。)





結局。


成長速度 特大UPと、スキル熟練度 特大UPと、空間魔法にしておいた。


空間魔法があれば、もしもの時に身を護ることくらいは出来ると踏んだからだ。それに、アリシアなら使いこなせると、見越してなのもある。



「それじゃあ40層に向けて出発するか!」


「うん! ソルスは私と一緒に戦おうね?」

「ガウ!!」


ソルスはすっかりアリシアに懐いていて、まるでアリシアの召喚獣みたいだ。





……肉串あげた恩を忘れたのかっっ!!



そう心で叫びながらも一行は進んでいく。




40層まで来ると、悠とアリシアは転移魔法陣を使って外に出た。また、ソルスは悠が送還しておいた。







外は薄ら寒く、辺りは暗くなっている。


こんな日には紅蓮の泉亭の激辛鍋が食べたくなってくる。


アリシアを街の外れにある家まで送り届け、紅蓮の泉亭に向かう。

何時もの肉串を買って宿に着いた頃には、悠もヘトヘトなのか疲れが顔に滲み出ている。


そのまま夕食を済ませ、ソルスに肉串をあげて魔力を注ぐと眠りについた。








☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆







翌日。



アリシアと朝からダンジョンに潜る約束をしていたから、早めに起床して朝食を摂る。顔を洗い気合を入れながら、アリシアの家に向かって歩いていく。


歩いて暫くすると、アリシアの家に到着した。




家はレンガ造りで、歴史を感じさせる。だが、それがまた味が出ていて良いと思う。


少し大きな声で、家に向かって呼びかける。


すると、少しドアが開き、その隙間からアリシアの顔が覗いている。




「おはよう。今日はポニーテールか。良く似合っているよ」


「…あっありがとうございます!! ………そんな…可愛いだなんて……。」



アリシアの顔が茹でタコの様に赤く染まり、ドアの向こうに引っ込む。それを微笑ましく見ながら、アリシアが身支度を済ませるのを待つ。



「…お、お待たせしました。行きましょう。」



「そんな急がなくても大丈夫だよ。後、今日の帰り、お母さんに挨拶しておいてもいいかな?」



「そ、そんな!? お、お、お義母さんだなんて!? ユウは気が早すぎるよ!! まだまだ付き合いも浅いし、お母さんには新しいパーティメンバーとしか話してないし、そ、それに‥『どうしてそんなに慌てるのか不思議だけど、新しいパーティメンバーになったんだから挨拶くらいはするのが当然だろ。』



アリシアが盛大に勘違いしていると、悠が疑問に思い訂正する。


「…はいはい。私はタダのパーティメンバーですよーだ。」


何故かアリシアはいじけているが、ダンジョンでは後衛を頑張ってもらわなくてはならないので、フォローを入れておく。


「アリシアはタダのパーティメンバーじゃなくて、俺の大切なパートナーだよ? だから、もうそんな事は言わないでね!約束だよ?」



「………。」



またも顔を俯け耳の先まで真っ赤にするアリシア。赤髪と相まってとても美しい。


思わず見惚れてしまう。




「…そんなジロジロ見られたら…恥ずかしいよぅ…。」



上目遣いでモジモジしながらの、この言葉は、凄まじい破壊力を秘めていた。


「…………。……アリシアは本当可愛い奴だな」


悠はそう言いながら、アリシアの手を取りダンジョンへ向かう。アリシアは先程からずっと、顔を真っ赤に蕩けさせている。






☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆






悠達が通り過ぎた道の路地裏に、黒装束の者が数名いた。何時からそこにいたのかすら分からないほどの存在の薄さは、横を通ったとしても気付くのは難しいだろう。



「…あの男は誰だ?」


「…ハッ!…最近出来たパーティメンバーの様でございます。」



「…アリシア様に変な虫が付いているのは拙い。即刻排除するようにお館様に進言しよう。……行くぞ。」



「「「……ハッ!!!」」」



黒装束が消えた後には、彼等がいた形跡は全く残されていなかった。



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