↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔導学園で孤立していた俺はなぜか後輩に追いかけ回される。そしてやがて、後輩は急に離れていく。  作者: 夜納木ナヤ
魔導決闘祭

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
2/8

魔導決闘祭1回戦

イズルの1回戦の相手はクラスメイトだった。


「なあ、シールドって焦げたりするのか?」

「考えたことないな」


魔導決闘祭では、試合に出る選手はバッジを付ける。


バッジは装着者にシールドを付与し、相手の魔術を受ける度に数値が減っていく。


時間内に数値を0にするか10分経過時点でシールドの値が多い方の勝ちになる。


「Bランクの魔獣には一瞬で破壊されたけどな」


魔物討伐実習では、安全のために全員がバッジをつけていた。だが――現れたBランクの魔物は一瞬でそのシールドを破壊した。


パーティは崩壊し、イズルがパーティメンバーを燃やすきっかけにもなった。


「まあ、今となってはどうでもいいことだ」


イズルはイズルは目立ちたい性格ではなかった。


だから前衛ではなく、後衛――魔術師として1年間過ごした。


魔術師として、パーティメンバーをサポートして来た。


補助魔術は使えなかったから、攻撃や地形操作で敵の足止めをした。


最後の一撃を決めるのは常にパーティメンバーで、イズルは目立たずに済んでいた。


だが今は――嫌でも目立ってしまっている。


イズルがいくら目立ちたくないと願っても、人前に出るだけで声が聞こえてくる。


あいつがパーティメンバーを燃やしたんだ。近づいたら危ないぞと。


「こんな学園、早く出ていくんだ」


イズルが改めて決意を固めた時だった。


「――試合開始」


審判が宣言した。


イズルが手にしているのは杖――だがそれは仮の姿。


普段に握っている部分は鞘になっていて、引き抜くことができる。


イズルは杖を握る手をいつもより強め、一気に鞘を引き抜いた。


すると――黒色の刃が姿を現した。


「うわあああああああ」


悲鳴が上がったのは――刃が見えたのと同時だった。


それは対戦相手からではなく、試合を見ていた生徒たちからだ。


彼らの目に映るのは、戦う二人ではない――壇上を覆いつくす炎だけだ。


その光景は、相手を燃やしたと思わせるには十分すぎた。


「ブーブーブー」


シールド値が0になったことを知らせる音が鳴り響く。


イズルは刃を鞘に納め、炎もすぐに鎮まりかえった。


「大丈夫なのか……?」

「焦げてはなさそうだな」

「これが炎帝か……」


口々に声が聞こえた。


それは勝利を称えるものではない。


恐怖と畏怖の混じった――歓声という名の悲鳴。


この試合を見た生徒は思った。炎帝とは絶対に戦いたくないと。


同じように試合を見ていた――たったひとりを除いては。


「ほら、やっぱり先輩の炎はこんなにも優しいじゃないですか」


試合時間は1分にも満たない。


そんな一瞬で、相手を傷つけることなくシールドだけを破壊するなんて簡単にできることではない。


恐怖を浮かべる生徒たちの中で、少女だけは嬉しそうに笑った。


「絶対に逃がしませんよ、先輩」


その視線はずっとイズルを追っている。


勝者なのに、まるで敗者のように縮こまった体。


そんなのは許せないと思った。


「周りがどれだけ敵になっても、私だけは先輩の味方ですからねっ」


少女は走り出した。イズルに話しかけるためだ。


もうすぐ自分の出番だった気がするが、そんなことはどうでもよかった。


だって今は――話しかける理由がある。


話しかけるためのきっかけを必死に考えて、それでも本当にこれでよかったのか悩みながら、やっとの思いで話しかける必要がない。


1回戦の戦いが凄かった。


そう伝えるだけでいい。伝えればきっと、答えてくれる。


そんな少女の目に飛び込んできたのは、他の女と話すイズルの姿だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。