CASE.102「一難去ってまた一難?」
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「!!」
「隊”長”ーッ」
三爪傷の残る2人が、バルカンの吹き飛んだ方向へ走り去る。
問題児が消え、その場に残ったのは、KNOWSが放った小型レーザーの名残である桃色の粒子と、口をあんぐりと開けて佇む観衆だった。
「わぁーKNOWS、やりすぎだよぉ~! ちょっと吹き飛ばすだけでよかったの~」
「( ・∇・)?」
「“?”じゃないよ!」
想定よりもバルカンが大きく吹き飛んだため、アンはおろおろと慌てている。
するとそこへ、1人分の拍手が聞こえてきた。
「アンねーちゃん、すご~い!!」
ゥルルであった。
両手をぶんぶんと大きく打ち鳴らしながら、全力の拍手でアンを称えている。
観衆は互いに顔を見合わせると、ゥルルにつられるように拍手を始めた。
「すごいぞ、アンちゃーん!」
「やるじゃねーか嬢ちゃん!! 後で俺の店に寄ってくれよな!!」
「あ、テメエずるいぞ!? アンちゃん、俺の店にも来てくれや!」
拍手の中へ歓声や指笛も混じり始め、やがて昨晩と同じ規模の人だかりから、アンを称える声が一斉に上がる。
アンは頬を赤くし、「えへへ……」と照れの混じった笑顔を浮かべた。
頃合いと見たのか、先ほどまですっかり引っ込んでいたヘロメロスが、ここぞとばかりにアンへすり寄り始める。
「いやー参った。まさかアンちゃんが、ここまで強ぇーとは……! へへへ……」
「強いのは、わ、私じゃなくてシスターズです……」
「(✧≖‿ゝ≖)」「(✧≖‿ゝ≖)」「(✧≖‿ゝ≖)」
シスターズはドヤ顔で、アンの周囲を浮遊する。
その3体を、ゥルルや、特に鍛冶師などの技術職人たちが、興味津々に目で追っていた。
「いやいや、お見それしました! んでよ、アンちゃん」
「?」
「ここだけの話、俺と組まねえか?」
「???」
ヘロメロスは、周囲に聞こえないようアンへ囁く。
だが近くでシスターズを眺めていた大衆の1人が、それを聞きつけた。
「おい、ヘロメロス!! お前、アンちゃんを使ってなんか企んでんだろ!」
「チッ、地獄耳が……べ、別に何もねーよ!!」
「嬢ちゃん、これアンタの使い魔かい?」
「こんなモンスター、見たことねぇ。というか、生き物かコレ?」
「(¯•ω•¯)」「(¯•ω•¯)」「(¯•ω•¯)」
「ふ、ふええ……?!」
次々と、シスターズと彼女らが見せたバリアやビームについて、クルキブリの職人たちが矢継ぎ早に尋ね始める。
アンは四方を人に囲まれ、たまらずSOSのハンドサインを作戦室へ送った。
「アンちゃん、一応言っておきますけど、こっちの装備の詳細とか言っちゃダメッスからねぇ~」
「……」
アンはこくこくと顔を縦に振り、了解の意を示す。
とはいえ、これまでにも何度か口を滑らせている。
そもそも戦闘前に、自分が「基底界人」であることを、勢いに任せて口走ってしまったばかりなので、全く信用できない。
ミラは少々アンが心配になり、それと同時に、自分よりもポンコツな人物がいたことで、少しだけ先輩らしく振る舞えていることに満足していた。
「アンねーちゃん、そろそろ行こ~」
「あ、そうだった。“ギルド”に行くんだった……」
「そうか、2人はギルドに行く途中だったのか……そりゃ、えらい面倒事に巻き込まれたな。どれどれ……せっかくなら、俺が案内を――」
「――その必要はない、ヘロメロス」
聞き慣れぬ、胸の内にまで響くような低い声。
甲冑越しに発しているかのように、やや籠もっていながらも、確かな貫禄を宿した声だった。
ヘロメロスは表情を一変させ、ばっと振り返る。
「げっ、オメエは!」
「フン……随分と今日は稼いだようだな。相変わらず惚れ惚れする金魚の糞っぷりだ」
大衆が道を開ける。
その先には、重厚なフルプレートを纏った集団が並んでいた。
そして中央には、ひときわ異質な存在感を放つ者が立っている。
ヘロメロスは、先ほどのアンとバルカンの決闘で勝ち取った掛け金を、いそいそとポケットへ詰め込んだ。
「ク、『クストーディス』……なんでこんなところにいやがるんだ。オメエはドクの旦那のお付きだろうが」
「お前に説明する筋合いはない。そして、“ドクの旦那”ではない。ギルド長と呼べ」
「ケッ!!」
ヘロメロスは、クストーディスの足元へ唾を吐く。
一方、彼は意にも介さず、ヘロメロスの横を何事もなかったかのように通り過ぎ、歩を進める。
向かう先は、アンとゥルル。
改めて見ると、傷だらけのフルプレートであり、身体のあちこちに装備や武器を、幾重にも巻いたベルトで携帯している。
まさに、狩人を象徴するかのような姿である。
「ほわわ……」
「あー、クストーディスさん!」
その巨体と装いによる威圧感に、アンは怖気づいてしまう。
一方、ゥルルはぴょんぴょんと跳ねながら、クストーディスの方へ走っていった。
「息災で何よりだ、ゥルル殿」
「元気だよー!! わあ、また武器増えたね!」
「フ……これもクルキブリを守るためだ」
重装備の大男と、小さな子供。
見た目のあまりの温度差に風邪を引きそうになるが、2人は他愛のない世間話を交わしている。
「あ、そうだそうだ。紹介するね。この人はアンねーちゃんだよ!」
「ほう……」
「あ、あああアンですゥ!! 特殊第六執行部隊のアンです!!」
「ほ、ほう……?」
「(´-ω-`)」「(´-ω-`)」「(´-ω-`)」
「アンちゃん~~~~ッッ!!」
アンは敬礼し、びしっと姿勢を正す。
盛大に身分を暴露され、作戦室では全員が、漫才のようにどっとずっこけた。
「貴殿か。バルカンを吹き飛ばしたのは……」
「えっ!? ごごごごめんなさい!!」
「いや、案ずるな。あの程度の落下で死ぬほど、我ら狩人は軟ではない」
クストーディスが指を差す。
その方向には、彼が率いてきた団員の2人が、バルカンを抱えていた。
すっかりぐったりと伸びており、おろおろと三爪傷の残る2人が治療に当たっている。
「アンねーちゃんにも紹介するね! この人はクストーディスさん。クルキブリで、ロンおじちゃんの次に強い狩人だよ!!」
「ほへぇ……は、初めまして……」
「うむ……いずれ私も、ロンショウ殿と肩を並べたいものだな。精進あるのみだ」
クストーディスは顎を擦り、照れているのか悔しがっているのか、よく分からない仕草を見せる。
そこへ、団員の1人が近づいてきた。
「団長、そろそろ……」
「ああ、そうだな。ご苦労」
団員が去ると、「ン”ン”」とクストーディスが咳払いする。
そして、モードが切り替わったかのように、低く響く声で宣言した。
「アン殿」
「は、はい!」
「ギルド長、及び長老がお呼びだ。ご同行願おうか」
ちょうど良かったと喜ぶゥルル。
ヘロメロスも案内役のお株まで奪われ、大きくため息をついた。
周囲の人々も、アンがギルドの最高位に呼ばれたことに、良い意味で驚いているようだ。
だがアンは、少しだけこの展開に不安を覚える。
なぜなら彼女の異能が、クストーディスの心中に潜む――“野心”にも似た、妙に熱を帯びた感情を拾っていたからだ。
【今回の用語まとめ】
■クストーディス
重厚なフルプレートと多数の武装を身につけた狩人。
クルキブリではロンショウに次ぐ実力者とされ、部下からは「団長」と呼ばれている。ゥルルとも旧知の仲。
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・本作ではChatGPTとclaudeを、誤字脱字の確認、前話との整合性確認、アイデア整理、世界観管理の補助として一部使用しています。
・作品本文および物語の主要構成は、すべて作者自身が執筆・最終決定しています。




