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転生監査機関RAC  作者: ぽんにむ
第二章「輪廻庁」2-1「ゥルル編」
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103/124

CASE.101「はじめての執行」

ご覧いただきありがとうございます。


※本作はカクヨム、noteにも掲載しています。

設定資料をご覧になりたい方はぜひnoteに訪れてみて下さい!!

https://note.com/ponym/m/mc8c9ad24eef6

「大丈夫かしら、アンったら」


 執行宣言――明確な戦闘意思を示したアンに、カイは内心おろおろと心配する。

 そこへ、盛大に2度もコーヒーを噴き出し、白衣を着替えたユリスが隣に立った。


「これは興味深い展開になったね、カイ監査官」

「興味深いも何もないわよ……あの子、初めての戦闘なのよ?」

「それも実に興味深いが――」


 ユリスは眼鏡をちゃきっと調整する。


「――RACの執行官が、ターゲットを守(・)る(・)た(・)め(・)に戦う……これはおそらく、輪廻庁史上初の現象ではないか?」

「……!」


「ハハハ……」


 ユリスの軽い笑い声。

 初めてそれを聞いたミラ、そして久方ぶりに彼の笑い声を耳にしたカイは、勢いよく振り向く。


「いやはや失礼……やはり特殊第六執行部隊(君達)は面白い。本当に……本当にね」


「潰すッ!!」


 バルカンがハンマーを頭上まで振り上げる。

 そして躊躇なく、アンへ振り下ろした。


「アン嬢ちゃん!!」

「アンねーちゃん!!」


 ゥルルとヘロメロスが止めに入る。

 だが、それよりも先にシスターズが動いた。


「トリちゃん、“ぷろてくとモード”!!」

「( ,,ÒωÓ,, )」「( ,,ÒωÓ,, )」「( ,,ÒωÓ,, )」


 アンの声に呼応し、シスターズが瞬時に変形。

 青色のバリアを展開する。


 ガキンッという、金属同士がぶつかるような耳をつんざく音が鳴り響き、大衆は思わず耳を塞いだ。


「んなッ?!」


 全力で振り抜いたにもかかわらず、ハンマーが勢いよく跳ね返ったことで、バルカンは困惑の表情を浮かべる。

 一方、ヘロメロスを含む数人は、奇怪なアンの術でバルカンの強撃を防いだことに、驚きを隠せずにいた。


「クソがッ!!」


 バルカンは再びハンマーを振りかぶる。

 今度は下から振り上げるように強烈な打撃を放つが、それを逃すトリリウム・シスターズではない。


 位置を調整し、下段からの攻撃を完璧に防ぐ。

 またもやガインッという金属音が響くと同時に、ハンマーが跳ね返った。


「ッ!?」


 衝撃が柄から伝わり、手がびりびりと震える。


 間違いなく全力で振った。

 これまでの経験上、どんなモンスターでも直撃すれば骨は砕け、最悪即死。

 少なくとも怯むなり、装甲が割れるなり、何かしらの手応えがあったはずだ。


 だが、2度も全力のフルスイングを防がれ、さすがのバルカンもアンを守る強壁の異質さに気付く。


(堅ぇ……なんだ、ありゃ!! どんなカラクリだ!?)


 青いガラスのような防壁。

 傷1つ付いておらず、途切れる様子もなく、アンの前方を浮遊している。


「やっぱテメエ……モンスターなんだろ!!」

「違います!」

「だったら、なんだそりゃあ!! あぁん?! 呪術かなんかか?!」


 “呪術”という言葉に、ミラが耳をぴくりと動かす。


 どうやらこの世界では、RACのVABO製装備はオーバーテクノロジーであり、バルカンという男は、アンが操るシスターズ諸々を含めて、呪術、もしくはモンスターの何らかの能力だと考えているのだろう。

 とはいえ、“呪術”という概念が存在していたこと自体に、ミラは驚いていた。


「降参してください! あと、ゥルルに謝ってください!!」

「チィッ、まだ終わってねえんだよぉ!!」


 バルカンは左右交互に駆けながら、アンとの距離を縮める。

 当然、シスターズはそれを許さない。

 アンとの間へ割り込むように、バルカンの前へ立ちはだかる。


 だが、それこそがバルカンの狙いだった。


 左脚の義足を地面へ叩きつけると、足底からガス状の気体が噴出する。


「!!」

「Σ( ºωº )」「Σ( ºωº )」「Σ( ºωº )」


 ガスの噴出に、アンは思わず腕で視界を遮ってしまう。

 バルカンはその勢いでアンの頭上を飛び越え、背後へ着地した。


 シスターズは意表を突かれ、僅かに反応が遅れる。

 それにより、アンの背後ががら空きとなった。


「アン嬢ちゃん! 後ろだ!」


 明らかな戦闘経験の差。

 装備差は歴然だが、バルカンは持ちうる武器でシスターズの隙を突いたのだ。


 作戦室では、感心と焦りという両極端の感情が入り乱れていた。


「ちょちょちょアンちゃんヤバいッスー!!」

「なかなかやるじゃーん、コイツ」

「このバルカンという男、戦い慣れてんな……」

「馬鹿2人(ヘパー、ルールー)、感心してる場合じゃないでしょうが!」


 すぐさまバルカンはハンマーを振り上げ、アンへ突撃する。

 ハンマーが、アンへ急速に迫る。


「安心しろ。FREYAR(フローラル)は、こんなもんじゃねえ」


「EYE(アイ)ちゃん、お願い!!」

「(`・ω・´)b」


 シスターズのうち1体、EYE(アイ)が分離する。

 青いバリアが消え、残るEAR(イヤ)とKNOWS(ノーズ)に吹き飛ばされる形で、高速射出された。


 高速で射出されたEYE(アイ)は、バルカンの目前で逆噴射し、一時停止。

 単体で青いバリアを展開し、バルカンの攻撃を防ぐ。


「クソが!!」


 千載一遇の好機を逃し、バルカンは吐き捨てるように叫びながら、ハンマーを振り回す。


 まだ、諦めない。


 先ほどより防御壁が小さくなっている。

 だが、もう先ほどの義足による手は通じないだろう。

 ならば、今ここが唯一残された好機だと、長年の戦闘勘が告げていた。


「ウオオオオオオッ!!!」


 バルカンの連撃。

 常人にはハンマーの原形が見えなくなるほど、高速の連撃を繰り出す。


 だが、その一撃一撃を、EYE(アイ)、EAR(イヤ)、KNOWS(ノーズ)が個別に防御する。


 完璧なタイミングと連携による、バリアの展開。

 シスターズは瞬時に打撃点を予測し、防御、解除、予測、移動、防御のサイクルを高速で繰り返す。


「オオオオオオオオ!!!!」


 ガガガガガガガという打撃音。

 バルカンは雄叫びを上げながら、なおも連撃を続ける。


 だが、その全てを六角形のガラス壁のようなものに悉く防がれる。


 大衆の目には、アンがバルカンの打撃に合わせ、ピンポイントで防御壁を繰り出しているように見える。

 その巧みで珍妙な技術に、次第に拍手が増え始めた。


「す、すげえぞ、アンちゃん!!」

「おら、バルカン負けんな!」

「なんだ、ありゃあ?!」

「いけいけバルカン、押せ押せぇッ!!」


 いつの間にか大衆の輪が再び小さくなり、大盛り上がりとなっている。

 中には、どちらが勝つか賭けを始めている者までおり、ちゃっかりヘロメロスも、今持っている全財産をアンに賭けていた。


「アンねーちゃん、スゴイ……」


「フハハハハハ、見ろカイ!! これがFREYAR(フローラル)の自律式防御システムだ!! すげぇだろッ!!」

「それぞれが独立して動いてるから柔軟に対応可能だし。それに知覚機能は共有してるから、超精密な連携も可能ってワ・ケ♡」


 だが、これは決してアン自身の技術ではない。


 EYE(アイ)、EAR(イヤ)、KNOWS(ノーズ)。

 それぞれが独立して思考し、連携して打撃を完璧にいなしている。


 その光景に、ヘパーとルールーは自慢げに解説する。

 それを見たカイの頭の中では、アンが無事であることへの安堵と、アンを半ば実験台として扱った2人への怒りという、正反対の感情が渦巻いていた。


「フン……(ドヤァ)」

「フンッ!(ドヤァ)」

「あなた達はあとで説教ね」

「「なんで!?」」


「クソがああああああ!!」


 位置を調整しながら、1点ではなく四方から攻撃を繰り出すバルカン。

 それでもシスターズの防御は強固であり、何1つアンへ届くことはなかった。


「ク……ハァ……クソ……ッ!」


 さすがに体力の限界か、次第にバルカンの振りの勢いが弱まっていく。

 それを確認したアンが、次なる一手に出た。


「EAR(イヤ)ちゃん!」

「( ✧Д✧)」


 するとシスターズの1体、EAR(イヤ)が突撃し、バリアを展開したままバルカンのハンマーへ激突する。


 突然前進してきたEAR(イヤ)に、バルカンは思わずハンマーを手放した。


「やべッ!!」


 ハンマーが地面へ転がる。

 拾っている暇はないと断じたバルカンは、負けじとアンへ飛びかかった。


「このガキッッ――」

「KNOWS(ノーズ)ちゃん!!」


 バルカンの目の前にKNOWS(ノーズ)が立ちはだかる。


「“せんめつモード”、あ、一番弱いのでお願いね!!」

「(◣д◢)→→→( ・∇・)b」


 KNOWS(ノーズ)が、花の蕾のような形へ変形。

 その中央の射出口から、桃色の淡い光の粒子が凝縮され、その異様な現象にバルカンは思わず足を止めた。


「んなッ?!」

「いっけー、KNOWS(ノーズ)ちゃん!!」


 パウッ!という音。

 その瞬間、桃色の収束光が、衝撃波を伴ってバルカンへ炸裂する。。


「ンバアアアアアアアアァァァァァァ…………ァ…………」


 威力はユグドラシル上で撃った、あの極太レーザーの僅か0.05%。

 だが、大の男1人を吹き飛ばすには十分だった。


 バルカンの絶叫が、どんどん遠のいていく。

 彼は通りの向こうまで勢いよく吹き飛ばされ、やがてズシンッという鈍い音が遠くで響いた。


【今回の用語まとめ】


■FREYAR(フローラル)・ぷろてくとモード

《トリリウムシスターズ》が防壁を展開し、アンへの攻撃を自律的に迎撃する防御形態。

3機が独立して行動しながら知覚情報を共有することで、複数方向からの連撃にも対応できる。


■《トリリウムシスターズ》自律式防御システム

EYE(アイ)、EAR(イヤ)、KNOWS(ノーズ)がそれぞれ独立して攻撃位置を予測し、防御・移動・再展開を繰り返す機能。

戦闘経験の乏しいアン本人に代わり、装備側が高度な防御判断を担っている。


■FREYAR(フローラル)・せんめつモード

《トリリウムシスターズ》による攻撃形態。

今回はKNOWS(ノーズ)が最低出力で使用し、本来の極太レーザーの約0.05%という威力でバルカンを吹き飛ばした。



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ここまでお読みいただきありがとうございます('ω')ノ



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※AIの利用について:

・本作ではChatGPTとclaudeを、誤字脱字の確認、前話との整合性確認、アイデア整理、世界観管理の補助として一部使用しています。

・作品本文および物語の主要構成は、すべて作者自身が執筆・最終決定しています。

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