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転生監査機関RAC  作者: ぽんにむ
第二章「輪廻庁」2-1「ゥルル編」
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CASE.098「秘密のお話」

ご覧いただきありがとうございます。


※本作はカクヨム、noteにも掲載しています。

設定資料をご覧になりたい方はぜひnoteに訪れてみて下さい!!

https://note.com/ponym/m/mc8c9ad24eef6

【……起きなさい、アン】

「うむぅ……」

【コラ、起きなさい、アン】

「もう食べれにゃい……むにゃむにゃ……」


【起きなさい! 腹ペコ娘!!】

「ひゃ、ひゃいいっ?!?!?」


 耳元で怒号が鳴り、アンはバネのように飛び起きる。

 すると頭の上には、スライム姿のゥルルが乗っかっており、びょいんびょいんと身体を伸び縮みさせている。


「おはよ、アンねーちゃん!」

「お、おはよう、ゥルル……」

「どうしたの?」


 ゥルル曰く、アンは眠っている間、ずっと誰かと会話するように寝言を呟いていたらしい。

 アン自身、昨晩の不思議な体験は、まだ夢の名残のようにぼんやりとしている。

 もしや本当に夢だったのでは――そう思いかけた、その時だった。


「実はね、イシ――」

【お黙りなさいッッ】

「ひゃいい?!?!」


 再び怒号が鳴り響き、アンはまたもや肩をびくつかせる。

 ゥルルもびっくりしたのか、その身体がまるでハリネズミのように逆立った。


 どうやら声は、頭上のゥルルを介して届いているらしい。


【もしかして、昨晩のことは忘れたのですか?】

「え……あ、覚えてます!!」

【しっ! 馬鹿の一つ覚えみたいに口へ出さないの!! 頭の中で念じるだけでも聞こえますから!!】

(あ、すみません……えへへ)

【全く……こんな子が執行官とは……RACはよほどの人材不足なのですか?】


「アンねーちゃん? 誰と喋ってるの~?」

「え?!」


 さすがのゥルルも、アンの挙動不審ぶりが気になったらしい。

 というか、誰が見ても今のアンは乱心したかのようである。


【言っておきますが、私と喋れるということは、ゥルルには伏せてくださいね】

(は、はい~!!)

【バレたら、あなたは明日からブタとして生きていただきます。大食いのあなたにはぴったりでしょう】

(ぴ、ぴぃ~~っ!!)


 イシスの脅し文句に、アンは心の底から悲鳴を上げる。

 もちろん心の中でだが、イシスには丸聞こえだ。

 

「な、なんでもないよ! それより、朝ごはん食べたいな~なんて……」

「朝ごはん? だったら昨日のところで食べられるよ!」

「ほんと! やった~」

「アンねーちゃんは、ホント食いしん坊だねぇ~」

「え、えへへ~」

「豚さんになっちゃうよ」

「えへへ…………う……」

 

(ちょ、ちょっと控えよう……)


 さすがにここまで食いしん坊扱いされると、一応は年頃の女の子なので、アンも気にし始めた。

 それはそうと、次第に食堂から良い匂いが漂い始め、アンは今しがた心に決めたことを、すっかり忘れてしまうのであった。


 


 ——————


 


「あら、おはよう、アンちゃん」

「あ! おはほうほはっはふ(おはようございます)、はほーにふはん(サポーニスさん)」

「今日もいい食べっぷりね。よく眠れたかしら?(改めて見ると、すごい食いっぷりね……ウチの男たちも見習ってほしいわ)」


 サポーニスは袴姿で、次々と食卓へ料理を配膳していた。

 アンはすでにお茶碗を五杯分おかわりしており、彩り豊かな食卓を謳歌していた。


「アンねーちゃん、寝言凄いんだよ」

「あら、そうなの? 何の夢を見ていたのかしら? ごはん?」

「だからお腹、いつも減ってるの~?」

「うむ?」


 ごはんに夢中で、話を半分しか聞いていなかったアン。

 食事のことになると、さらに子供っぽくなる彼女を見て、サポーニスとゥルルはやれやれと笑いながら肩をすくめた。


(そういえばイシスさんは昨日、みんなと何を喋ってたんだろー)

【……あなた、寝ていましたものね】

「ぶふぅっ!!」


 急にイシスの声が頭へ流れ込み、アンは思わず口に入っていたものを、目の前の狩人(スレイヤー)らしき人物へ盛大にぶちまけてしまう。

 アンは即座に「ごめんなさい」と連呼するが、幸いにも寛容な人物だったため、すぐに許してくれた。


(きゅ、急に話しかけないでください~!)

【あなたが頭の中で念じたからでしょう】


 昨晩からなんだか様子のおかしいアンに、ゥルルは怪訝な顔を浮かべる。


【ちなみに、先ほどの疑問の答えとしては“同盟”です】

(同盟、ですか?)

【詳しくは後で……ほら、ゥルルの相手もしてくださいまし】

(は、はい……)


「アンねーちゃん、大丈夫~?」

「だ、大丈夫、大丈夫! ちょっとかき込みすぎたみたい」

「も~、いっぱい食べるのは良いけど、お行儀良くしないとダメなんだよ~?」

「え、えへへへ……」


 見た目が二回りも幼い子に諭され、アンはちょっとだけ自信を失ってしまう。


 するとそこへ、一際ひょうきんな声が、軽い足音と共に近づいてきた。


「お、アンちゃん! 今日も良い食いっぷりだなぁ」

「ヘロメロスさん! おはようございます!」

「ん、おはようさん」


 ふかふかのベッドで十分に睡眠を取れたようで、彼の顔色は昨日と比べ、随分と健康的になっていた。

 ぼさぼさだった金髪は丁寧にモヒカンのように整えられ、昨日ほど頬もこけて見えない。


「フン、アンちゃんに感謝するのね」

「おうおう! 良いベッドだったぜ、あ・ね・ご♪ もうちょっと俺は枕高い方が――ぶべらッ!!」


 お盆を顔面へ投げつけられ、ヘロメロスが盛大にずっこける。


「タダなわけないでしょうが。アンタも配膳手伝いなさい」

「えー、俺一応は客だぜぇ~??」


 ギロリとサポーニスが睨みつけると、ヘロメロスは瞬時に起き上がり、食べ終わった食器を回収し始めた。

 相変わらずの俊足で、次々と散らかったテーブルを片付けていく。


「全く……あ、そうだ。アンちゃん、ウル坊」

「「?」」

「せっかくなら、アンタらギルドに行ってきなさい。ちょうど今頃、開き始めるわ」


「ハッ、たしかに!!」


 「はて、ギルドとな?」と首を傾げるアン。

 片やゥルルは大興奮しており、アンのローブをぶんぶんと上下に振り回す。

 まるで今から某テーマパークへ行こうと、親から提案された子供のようなはしゃぎっぷりである。

 子供ではあるのだが。


「早く行こ、アンねーちゃん!! 早く早く!」

「うええ、ぎ、ギルドって何ぃ~? あばばばば」

「早めの方がいいわね~。あそこ昼近くになるとごった返して、あなた達擦り潰されちゃうわよ」

「アンねーちゃん~~!! 早くぅ~~!!」

「んむむむ~……あと一口だけ……」


 そのままアンは、無理やりゥルルに連れられ、食事処を後にする。

 アンはとりあえず、おにぎりを二つほど辛うじて回収し、サポーニスへ軽くお辞儀をした。


 サポーニスは満面の笑みで手を振ると、奥の方でこそこそ逃げようとしていたヘロメロスを捕まえた。


「ヘーロー」

「ひ、ひい! ちゃんと働いたぜ?!(まさか、つまみ食いがバレたのか??)」

「アンタ。ちょっと心配だから、あの二人の後を追いなさい」


 すぐにヘロメロスは、露骨に嫌そうな顔をする。


「え~、ガキの子守りは勘弁だぜ。報酬出るならまだしも」

「報酬はもう払ったでしょ。つまみ食いした分、働きなさい」

「げっ!(チキショウ、やっぱバレてんじゃねえか!!)」


 サポーニスがヘロメロスの尻を思い切りお盆で叩くと、ヘロメロスは渋々、二人の後を追い始めた。

【今回の用語まとめ】


■イシスとの思念会話

アンの『|あなたの物語を聞かせて《ユア・テイル》』を介して成立している、イシスとの直接的な意思疎通。

アンは声に出さず、頭の中で念じるだけでもイシスと会話できる。一方、その内容はゥルルには伏せられている。


■イシス神との“同盟”

特殊第六執行部隊に対し、イシス側から持ちかけられた協力関係。

アン本人は作戦室で行われた交渉をほとんど把握しておらず、詳細についてはまだ知らされていない。


■ギルド

サポーニスがアンとゥルルへ行くよう勧めた、骸都クルキブリ内の施設。

ゥルルが大喜びするほど馴染み深い場所らしいが、その詳細は現時点ではまだ不明。



――――――――――――――――――――――――――――



ここまでお読みいただきありがとうございます('ω')ノ



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※AIの利用について:

・本作ではChatGPTとclaudeを、誤字脱字の確認、前話との整合性確認、アイデア整理、世界観管理の補助として一部使用しています。

・作品本文および物語の主要構成は、すべて作者自身が執筆・最終決定しています。

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