第7話:敗北者の執念と、歪んだ追放の真実(ゴリラ視点)
「クソが……! なんであいつばかりが、いつもあんなに目立ちやがるんだ……!」
王都の裏路地。俺――【ゴリラ】は、壁を思い切り殴りつけていた。拳から血が滲むが、今の俺にはその痛みすら心地いいほど、胸の中の嫉妬の炎が燃え盛っていた。
昔からそうだった。学校でもギルドでも、カフェインはいつも中心にいた。
大した戦闘力もないくせに、あいつが『脳内覚醒』の魔術をちょっと使えば、誰もが「やる気が出た!」とあいつを神のように慕った。
何より許せなかったのは、俺がずっと片思いしていた幼馴染の【リンゴ】まで、あいつと付き合い始めたことだ。
(あいつさえいなければ、俺が一番になれるのに……!)
だから俺は、ギルド長の【パンツ】を巻き込んで、あいつをハメる計画を練った。この国で絶対的な『しりとりルール』を利用し、「名前に『ン』がつく奴は一発アウトの無能」という風評被害を流したのだ。
計画は完璧だった。リンゴは俺の羽振りの良さに騙されてあいつを捨て、俺の腕に飛び込んできた。
人生の絶頂。あいつを底辺に叩き落として、俺が勝者になったはずだった。
それなのに――どうして今、俺の体はこんなにボロボロなんだ?
「はぁ、はぁ……足の先が、痺れて冷てえ……」
カフェインを追い出してからというもの、何をやっても上手くいかない。新しく入れたラッパのコンボも「ツ」で止まって使い物にならない。リンゴの肌はカサカサになり、最近じゃ俺を見る目が完全にゴミを見るそれだ。
そんな中、耳に飛び込んできたのは、あいつが辺境の「社畜」という街で大富豪になり、女たちに囲まれて無双しているという噂だった。
「ふざけるな……! 追放されたゴミのくせに、俺より上にいくなァァァッ!!」
あいつがいなくなったせいで俺たちの調子が悪いんじゃない。あいつが何か呪いをかけたに決まっている。
ゴリラとしてのプライドが、バキバキに砕け散る音がした。俺の憎悪は、すでに限界を突破していた。




