第6話:女社長の鋭い視察と、新たな修羅場の幕開け
「おやおや、うちの優秀な総務部長が、最近やけにソワソワしていると思ったら……原因はあなたかしら?」
社畜町の最高級オフィス。
私の前に現れたのは、この街の最高権力者であり、数々の大事業を成功させてきた女社長――【シャチョウ】だった。妖艶な笑みを浮かべ、高級なドレスをまとった彼女の視線は、鋭く私――カフェインを値縦にしている。
ソウム部長の様子がおかしい(仕事中にニヤニヤして、やたらと私にキャラ弁を差し出してくる)ことに気づき、直々に視察へやってきたらしい。
「私はただ、求められた場所でバフをかけているだけですよ、社長」
私がそう言って、彼女に自慢の特製ブラックコーヒーを差し出す。
「ふふ、冷たい男ね。でも、嫌いじゃないわ」
社長はコーヒーを優雅に口に含んだ。その瞬間、彼女の美しい目が見開かれる。
ドクン……!
彼女の体内で、私の『脳内覚醒』の魔力がお腹を駆け巡る。
数々の修羅場をくぐり抜けてきた彼女の天才的な脳が、瞬時に理解してしまった。私の放つ圧倒的なエナジー、そして男としての計り知れないポテンシャルを。
「……素晴らしいわ。こんな極上の男、王都の無能どもによく捨て置かれたものね」
社長は私のネクタイを指先でクイと引き寄せ、顔を至近距離まで近づけた。
「ねえ、カフェインくん。私の専属秘書にならない? もちろん、公私ともに……ね?」
「ちょっと待ちなさいよ、社長!!」
扉をバンと開けて突入してきたのは、顔を真っ赤にしたソウム総務部長だった。
「職権乱用です! カフェインくんは私が最初に見つけた(恋した)んですから!」
「あら、ビジネスの世界では早い者勝ちよ、ソウム?」
大人の女性二人が、私の両腕を掴んで火花を散らす。
そんな修羅場の中心で、私は完全に置いてけぼりだった。
「……お兄ちゃん」
部屋の隅から、地を走るような低い声が聞こえた。
振り返ると、義妹のビタミンが、目に一切の光を宿さない暗黒の笑顔で立っていた。
「お兄ちゃんに、悪い虫が2匹もついたね……。お兄ちゃんの健康を管理できるのは、栄養素である私だけなのに……!!」
「ビ、ビタミン……? 目が怖いぞ……?」
社畜町の発展の裏で、私の身の回りの恋愛ステータスは、完全な大爆発(大修羅場)を迎えようとしていた。




