第10話:決戦! 24時間戦える社畜連合 vs 1歩目で詰む無能軍勢
ついに、しりとり国正規軍と、我が「社畜町・ホワイト組合連合軍」が、国境の荒野で激突した。
「カフェイン――ッ!! 出てきて俺に土下座しろォォォッ!!」
軍勢の先頭で、血走った目のゴリラが棍棒を振り回して叫んでいる。
超高層魔導司令タワーからその姿を見下ろし、俺は静かにインカムのスイッチを入れた。
「ソウム部長、シャチョウ。迎撃体制は?」
『バッチリよ、カフェインくん! あなたのために、総務部の予算を全部つぎ込んで最新の魔導重機関銃を三千丁買い占めておいたわ!』(ソウム)
『ふふ、ホワイト組合の流通網を使って、弾薬の補給線も24時間完璧よ。さあ、ビジネス(戦争)を始めましょうか』(シャチョウ)
「よし。ビタミン、一発カマしてやれ」
隣に立つ義妹に合図を送る。彼女は暗黒のヤンデレ笑顔を浮かべ、両手を天に掲げた。
「みんなー! 今回のタスク(防衛戦)を定時までに終わらせたら、お兄ちゃんから特別ボーナス(有給休暇と特製コーヒー)が支給されるよ!
スキル――【超・聖女の慈愛】!!」
極彩色の神聖な光が、社畜町の防衛隊(労働者たち)を包み込む。
その瞬間、労働者たちの目がバキバキに輝き、血の気が引くほどの全能感が戦場を支配した。
「「「うおおおおおおッ! 特別ボーナスだァァァァッ!! 残業代(命)を削ってでも、定時(一瞬)で片付けるぞォォォッ!!」」」
「よし、俺も行くぞ。スキル――【超・全脳覚醒】!!」
俺から放たれた漆黒のオーラが労働者たちの脳のブレーキを完全に破壊する。
「残業手当」という名の最強のバフを得た社畜たちの突撃が始まった。
「な、なんだあいつらのスピードは!? ひぃっ、目が、目が狂気に満ちている!」
しりとり軍の兵たちが恐怖に慄く。
彼らは慢性的な栄養失調のせいで、足がもつれてまともに走ることもできない。
「うろたえるな! 連携だ!」
ゴリラが必死に叫ぶ。
「いくぞ! 【ゴリラ】!」
「続け! 【ラッパ】!」
「ギルドの命令だ! 【パンツ】!」
美しいしりとりコンボ。だが、彼らが誇るローカルルールは、現代科学の前には無力だった。
「はい、『ツ』で終わりー。ターン強制終了でーす」
俺が冷たく言い放つ。
「あ……」
コンボが途切れ、硬直するしりとり軍。
そこへ、脳が最高にキマった社畜たちが、超高速で魔導重機関銃を乱射しながら突っ込んできた。
ドドドドドドドドドドドドドンッ!!
「ぎゃあああああああッ!? 事務処理(物理)が早すぎるゥゥゥッ!!」
「納期(弾丸)がッ! 大量の納期が押し寄せてくるゥゥゥッ!!」
戦いですらなかった。それは、ただの圧倒的な「タスク処理」だった。
数時間後、荒野には、バキバキの笑顔で書類を片付けるように武器を磨く社畜たちと、全員が脚気でひっくり返って泡を吹いているしりとり軍の残骸だけが残っていた。
「な、なぜだ……俺は、王都最強の、しりとり……ゴリラ……ラッパ……パ……」
地面に這いつくばり、ピクピクと震えるゴリラ。
その前に、俺とビタミンは静かに歩み寄った。
「ゴリラ。お前たちの世界では、俺たちは敗北者だった少なくないかもしれない」
俺は哀れみの目を向け、冷たく言い放つ。
「だけど、現代社会じゃ、お前たちのその中身のない言葉遊びなんて、一文の価値もないんだよ。……今さら『戻ってきてくれ』と言われても、もう手遅れ(摂取目安量オーバー)だ」
「ひっ……あ、あ、あああああ……!」
ゴリラは絶望の絶叫を上げながら失神した。
この日を境に、しりとり国は経済的にも武力的にも完全に崩壊。利権をすべて失ったパンツギルド長は失脚し、リンゴは社畜町のハローワークの列に並ぶことになったという。
一方、俺とビタミン、環境、そしてソウム部長にシャチョウを加えた「社畜町・ホワイト組合連合」は、世界中の労働者を救う『サプリメント帝国』として、永遠の発展を遂げるのだった。
(完)




