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変わった趣味を持つ人々を紹介する番組!「カワシュミの館」  作者: 末紀世(まつきよ)


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25/26

話終わると顎を出す男

世の中には、理解できない趣味を持つ人々が存在する。

 理解されたいのか。

 はたまた、理解されたくないのか。

 それとも、ただ見てほしいだけなのか。


 ここは——

 変わった趣味を持つ者たちが集う場所。


 『カワシュミの館』


「司会は私、館主の——」


黒岩ぐろいわです!」


「そしてアシスタントの——」


「はい!!

** それではぁあ?

** 次のカワシュミはコイツ!」


 男が現れる。


 普通の青年。

 姿勢も良い。

 礼儀正しそう。


顎食あごくい 法師のりしと申します。

** 26歳。**」


 黒岩、

 安心したようにうなずく。


「おお」


「若いね」


「んでわぁ?

 あなたのー?

 変わった趣味、ワッツ!?」


 男、

 丁寧に答える。


「はい」


 一拍。


「私は——」


 姿勢を正す。


「会話を終えた後」


 一拍。


「顎を出します。」


 その瞬間——


 スッ


 顎が前に出る。


 静かに。


 しかし確実に。


 スタジオ、

 ざわつく。


 黒岩、

 少し固まる。


「……」


「今」


「出た?」


 男、

 うなずく。


「はい」


 一拍。


「出ました。」


 ——スッ。


 また出る。


 黒岩、

 戸惑う。


「それ」


「どういうこと?」


 男、

 真面目な顔。


「話が一区切りついたとき」


 一拍。


「達成感を込めて」


「顎を出します。」


 ——スッ。


 顎。


 川口、

 黙って見ている。


 黒岩、

 なんとか進行しようとする。


「それ」


「いつから?」


 男、

 落ち着いて答える。


「中学二年生からです」


 ——スッ。


 顎。


 川口、

 ついに口を開く。


「……」


 一拍。


「それ趣味って言えるのか?」


 スタジオ、

 ざわつく。


 黒岩、

 驚く。


 川口、

 さらに続ける。


「癖じゃなくて!?」


 鋭い。


 完全に正論。


 黒岩、

 タジタジ。


「いや」


「まあ」


「そうとも言えるけど……」


 男、

 真剣な顔。


「違います」


 一歩前に出る。


「意識してやっています。」


 一拍。


「これは——」


 胸を張る。


「趣味です。」


 ——スッ。


 顎。


 スタジオ、

 妙に納得しかける。


 黒岩、

 完全に迷子。


「……」


 カメラを見る。


 ……


 ……


「……どうなんだこれ」


 川口、

 腕を組む。


「いや」


 一拍。


「ほぼ癖です。」


 断言。


 スタジオ、

 ざわつく。


 男、

 少しだけショック。


「……」


 一拍。


 しかし——


 すぐ立ち直る。


「では」


 姿勢を正す。


「最後に一言」


 深呼吸。


「本日はありがとうございました。」


 一拍。


 そして——


 最大級に


 グイッ


 顎。


 前に。


 出る。


 スタジオ、

 静まり返る。


 黒岩、

 ゆっくりカメラを見る。川口がすかさずカメラ前に割り込む


 ……


 ……


「……かはぁーーっ……」


 判断不能100%。


「やったwいえたw」




「まあいい、じゃ、川口くん」


「はい」


「つまみ出せ」


「どうぞ!!」


 川口が

 堂々と差し出す。


 鶏とカシューナッツ炒め

** ガーリックソース。**


 香りが立つ。


 黒岩、

 目が少し輝く。


「……」


「うまそうだな」


「つまみだせと……」


「これメイン料理だろ!!!」


 その時——


 男、

 出口の前で振り返る。


「本日は——」


 一拍。


「ありがとうございました。」


 そして——


 スッ


 最後の顎。


 ドアが閉まる。


 沈黙。


 ……


 ……


 黒岩、

 ゆっくり言う。


「……」


「クセだな」


 川口、

 即答。


「クセです。」


 ——ここでCMが入る。


 *


 CM明け。


 川口が

 鏡の前で


 小さく——


 顎を出している。


「えぇ、いかがだったでしょうか?」


 黒岩、

 それを見て固まる。


「次回は——」


 一拍。


「なんでも指尺で測りたがる男」


「おおおお!!」


「楽しみですなーー!!」


「また来週!!」


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