凝ったイタズラ電話をする女
世の中には、理解できない趣味を持つ人々が存在する。
理解されたいのか。
はたまた、理解されたくないのか。
それとも、ただ見てほしいだけなのか。
ここは——
変わった趣味を持つ者たちが集う場所。
『カワシュミの館』
「司会は私、館主の——」
「黒岩です!」
「そしてアシスタントの——」
「はい!!
** それではぁあ?(川っ…ふふふ、すべてよけるぞ!**
がふっ!!
** 次のカワシュミはコイツ!」
女性が現れる。
服装はおしゃれ。
笑顔が妙に自信満々。
「花咲崎 イロエ
** 32歳 独身。
** 彼氏募集中です♪**」
黒岩、
すでに嫌な顔。
「……」
「ここで募集しないでよw…嫌な予感しかしねぇな」
「んでわぁ?
あなたのー?
変わった趣味、ワッツ!?」
女性、
嬉しそうに言う。
「凝ったイタズラ電話です♪」
スタジオ、
静まる。
「……」
黒岩、
真顔。
「ダメでしょ」
一拍。
「イタズラ電話は」
「子供かw」
「子供でもやらねーぞ」
女性、
ニコニコしている。
「だから良いんですよ♪」
黒岩、
眉をひそめる。
「何が?」
「競争率少ないので
** 狙い目ですよ**」
沈黙。
……
……
黒岩、
カメラを見る。
「ちょっと何言ってるかわかんない」
スタジオ、
ざわつく。
女性、
楽しそうに続ける。
「かなり凝ってますよ?」
「BGM流して」
「効果音入れて」
「クイズ出すんです」
「正解したら——」
一拍。
「1万円もらえます!」
黒岩、
少し身を乗り出す。
「へぇ」
「で?」
女性、
満面の笑み。
「正解した瞬間——」
手で電話を切るジェスチャー。
「ガチャ切り♪」
スタジオ、
沈黙。
黒岩、
ゆっくり目を閉じる。
「……」
一拍。
そして——
「ちょっと何言ってるかわかんない」
今回は
少し強め。
女性、
さらに嬉しそう。
「それが楽しいんですよ♪」
黒岩、
腕を組む。
「ダメだと思いますよ」
白い目。
女性、
少し首をかしげる。
「え?」
「ちゃんと準備してますよ?」
「BGMも著作権フリーですし」
黒岩、
完全に疲れた顔。
「……」
一拍。
カメラを見る。
……
……
「……かはぁーーっ……」
呆れ100%。
「川口」
「はい」
「つまみ出せ」
「どうぞ!!」
川口が、
もろきゅう
を差し出す。
味噌が添えてある。
黒岩、
それを見る。
一拍。
「……」
「さっぱりしてんな」
「つまみだせと……」
「野菜は好きだが今じゃない!!!」
女性、
スタジオの隅で
電話を取り出す。
「もしもし?」
「突然ですが問題です!」
「この番組の司会者の名前は?」
一拍。
黒岩、
警戒する。
「……」
女性、
ニヤリ。
「正解は——」
ガチャ。
電話を切る。
——ここでCMが入る。
*
CM明け。
川口の口にキュウリが5本ねじ込まれている。
「えぇ、いかがだったでしょうか?」
黒岩、
かなり疲れた顔。
カンペを見る。
「次回は——」
一拍。
「自分のくしゃみに拍手する男」
「おおおお!!」
「楽しみですなーー!!」
「また来週!!」
何これwwww




