小石に名前を付ける男
世の中には、理解できない趣味を持つ人々が存在する。
理解されたいのか。
はたまた、理解されたくないのか。
それとも、ただ見てほしいだけなのか。
ここは——
変わった趣味を持つ者たちが集う場所。
『カワシュミの館』
「司会は私、館主の——」
「黒岩です!」
「そしてアシスタントの——」
「はい!!
** それではぁあ?(川口っd**
ふぼっ!!シュッ!!
ババっ!シュッ!!
** 次のカワシュミはコイツ!」
男が現れる。
胸元に
小さなポーチ。
とても大事そうに
抱えている。
「石守 守男と申します。
** 52歳。」
黒岩、
ポーチを指さす。
「それ何?」
男、
優しく微笑む。
「きへへw家族です。」
沈黙。
……
……
「……はぁ?」
男、
ゆっくりポーチを開ける。
中には——
小石。
丸い。
少し白い。
どこにでもありそう。
男、
愛おしそうに言う。
「この子は」
一拍。
「きへへwタケシです。」
スタジオ、
静まり返る。
「で、こっちが」
別の石を取り出す。
「けっほほwユミ。」
さらにもう一つ。
「ゴンザレス。」
黒岩、
完全に固まる。
「……」
「名前つけてるの?」
「はい」
「毎日話しかけてます」
「何て?」
男、
優しい声で言う。
「今日もいい石だね」
スタジオ、
ざわつく。
「外にも連れて行きます」
「旅行も?」
「はい」
「温泉も?」
「はい」
一拍。
「露天風呂は喜びます。」
黒岩、
天を仰ぐ。
「……」
一拍。
「逃げたりしない?」
「しません」
「文句言わない?」
「言いません」
「飯も食わない?」
「食べません」
黒岩、
ゆっくりカメラを見る。
……
……
「……かはぁーーっ……」
今回は
半分ため息、半分優しさ。
「川口」
「はい」
「つまみ出せ」
「どうぞ!!」
川口が、
カツオ藁焼き
を差し出す。
黒岩、
それを見る。
一拍。
「ワラビーか!おれは!(嬉しくて)意味不明
「つまみだせと……」
「好きだけど今じゃない!!!」
男、
小石を
そっとポーチに戻す。
そして
出口へ向かう。
ドアの前で
立ち止まる。
ポーチに向かって
小さく言う。
「行こう、タケシ。」(タケシじゃないヤツに)
——ここでCMが入る。
*
CM明け。
川口のポケットから
小石が一つ
転がり落ちる。(タケシ)
「えぇ、いかがだったでしょうか?」
黒岩、
少しだけ静かな声。
カンペを見る。
「次回は——」
一拍。(タケシーーー!!!)
「喋る時喉をチョップしながら喋る男」
「おおおお!!」
「楽しみですなーー!!」
「また来週!!」
(タケシーーーー)




