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ゆい、ちいさくなる⑥

ミニマム唯の珍騒動、最後の回です。いろいろありましたが、小さくなった原因が今回判明!?

視点は唯です。


最後に少しだけR-15の表現がありますのでご注意下さい。

も…戻った…。

よかった、戻ったーーーー!!!!



ふと隣で寝ていた先生を見ると、心底驚いたような表情で私を見ていた。ま、当然だけれども。



なんでかわからないけれど、朝に目が覚めたら小さくなっていた。それだけでも驚きなのに、まさか舌が回らなく、完全に滑舌悪い芸人みたいな喋り方になっていた。あかしゃかしゃかしゅ。


最悪なのがパパ達の反応。まあ…なんとなーく予想はしていたけれど、まさかあんなにテンションが上がるとは思ってもいなかった。特にお兄ちゃんとお姉ちゃんの反響は凄かった。パパはあの時期の私の背格好を知っているから多少なりとも大人しかったけれど、知らない二人は終始テンションが上がりっぱなしだった。

写真撮影と称した、完全に盗撮まがいの撮影会は疲れたの一言に尽きる。まあ、あの頃の姿を見た事が無かったと言われればそれまでなのだが…。



それに、先生の家にお呼ばれしたのはいいのだけれど、呼ばれたのにも関わらず、着いたら私は実家で行われたハイテンションからくる疲労から爆睡していたし。失礼すぎる…。


起きた時、一瞬ここがどこだかわからなかった。

周りはピンクの壁紙が貼られ、寝ていたベッドは姫系もちろんピンクだし、家具も全部が姫系で揃えられていて、ふと視線を隣にやると何故かウサギのぬいぐるみがどーんとその大きい存在感を醸し出していた。

動揺した私が部屋のドアを開けると、たまたまそこにいたメイドさんが満面の笑みでリビングまで手を引いてくれた。そしてまたしても何故かウサギのぬいぐるみを手に持たされた。大きい分、今の私には重いんですが、メイドさん…。あ、置いてっちゃ駄目なんですか…。ううむ…重い。

半ば引きずりながら連れていかれたのは、珠緒さん夫妻がいない遠藤家の面々が集いしリビング。大分慣れたとは言え、この雰囲気ってやっぱり凄い。


薄々気付いていたものの、メイドさん達の表情が明るかったのは雅ちゃんが関わっていたのだとわかったのはお風呂の時。やはりテンションが上がってしまっていた雅ちゃんに、優しい手つきで髪を洗ってもらっているときだった。



「唯ちゃん、痒いところはなーい?」


「ないでしゅ。ごめんなしゃい、みやびちゃんにかみありゃってもりゃって…」


「気にしないでいいのよ!もー、本当に可愛いわね。髪なんて細くてサラサラだわ!」


「…え、えへへー…」


「うちのメイド達も喜んでいたわよ。こんなに可愛い唯ちゃんと遊べ…いいえ、お世話出来るなんて!って言って喜んでたわ。」



…今間違いなく『遊べて』って言いましたよね、雅ちゃん。

まあ確かに、渡瀬さんの反応もどこかウキウキしたものだったし、夕食もお子様ランチだったのには唖然としたけれど、皆がキラキラと私を見ているものだから当然何も言えなかった。先生の家で出されるご飯は文句無しに美味しいし、出されたものに文句付けられる立場でもないので、黙ってその旗がたなびくお子様ランチをもくもくと食べた。まあ、その間も事あるごとに構ってくるメイドさん達御一行との攻防もあったのだけれども…。


広い湯船に使って、ぷあーっと気持ちの良いため息をつく。同時に入ってきた雅ちゃんに抱きかかえられるように向かい合わせになっているのが、堪らなく気恥ずかしい。

だってね、雅ちゃんの裸体ってムッチムチですんごいエロイんだもん!普段は着物で隠されてるからわからないけど、まさに脱いだら凄いんですなおカラダでした…。お姉ちゃんも世間一般では理想的なカラダと言われているけれど、雅ちゃんの場合は年齢を経たお色気が…先生、お母さんがムンムンだよ!!

少してれてれしていると、何を勘違いしたのか雅ちゃんが微笑した。



「唯ちゃん、こんなに小さくなっちゃって…折角私唯ちゃんのためにお洋服揃えてたのに。」


「え。」


「本当はね、着物にしようかと思ったんだけど、どの反物がいいのかすっごい迷っちゃって。あ、なんだったら今からでも贔屓の呉服屋呼ぼうかしら。」


「いえいえいえ!!いいでしゅよ!!わたちにきものって!」


「遠慮しなくてもいいのよ。あ、亨と結婚する時に西陣か友禅で一式揃えてあげるわね!」



にっこりと笑んだ雅ちゃんに結局何も言えずに、唖然としたままお湯に浸かっていると少し逆上せてしまった。お風呂から上がって水を一杯貰って、翼さんが着たという曰く付きのフリフリネグリジェを着せてもらった。「髪は亨に乾かしてもらいなさいな」と言う雅ちゃんの言葉通り、先生の部屋の前までポカポカとしたまま来ていた。

む、ドアの取っ手が届かない…。むーん!!と唸って精一杯背伸びをしていると、どこからともなく現われた渡瀬さんがそっと開けてくれた。さすが、遠藤家執事!!ロマンスグレーが眩しいです、渡瀬さん!と感動しながらお礼を言うと、やっぱり笑んだまま中に入るように促された。


さり気ない優しさに感謝しつつ先生に髪を乾かして貰っていると、先生の優しい手つきに段々と眠くなってきた。先生は髪を乾かすの上手い。と言うか、いつもやってもらっているけれど、毎回眠くなるんだよね。イッツアマジック!

乾いた髪を撫でられるとなんだか嬉しくて、ふにゃっと笑った。その後少し話をしたのだけれど、やっぱり眠くて。そんな私を見兼ねたのか、先生がベッドの布団を捲くって私を入れてくれた。そうしてフカフカの布団に包まれた私はあっさりと眠りに落ちたのだけれど、寝入りばな、先生が抱き寄せてくれた気がして、やっぱりいつものようにくっ付いた。



先生の胸に顔を埋めながら、見た夢。それは…。




「どうだったー?小さくなった感想はー。」


「…お…おか…おか…っ!」


「丘?」


「お母さん!!」


「やっほー、元気してた、唯。」



まさかのお母さん登場。

えー!?



「あらやだ、そんなに驚かないでよー。傷付いちゃうでしょう?」


「驚くよ!あれ、これ夢?夢だよね?」


「そうよ、ここは夢の中。だから私と話が出来るんでしょう?あ、こら、泣かないの。」


「うぇっ…ひっ…おがーざーん!!」



タックル紛いの突進で、ぐえっ!とお母さんが苦しそうな声を出したのはスルーして。どうして、一体全体どうしてお母さんが私の夢に出てきたんだろう。こんな事は今までに無かったのに。

懐かしいお母さん身体に抱きついたままでいると、頭を撫でてくれる感触がしたので咄嗟に上を見上げた。そこにあったのは、やっぱり見間違えなんかじゃなくお母さんだった。…私の記憶にある時よりも若い。なんでそんなににやーっと笑って、わっるい顔してるのよ。



「あのね、秀人君も美奈ちゃんも亨君も。みーんな唯の二歳から四歳くらいの頃って知らないでしょう?」


「え?あー…うん。そうだね。」


「パパが唯一知ってるけど、あの人じゃ唯の可愛さを伝えきれなかったでしょう?案の定、秀人君達第絶賛だったじゃない。やっぱり百聞は一見にしかずってよく言ったものよねぇ。」


「…うん?」


「だからー、お母さんが頑張りました!唯の二歳から四歳くらいの背格好にして、皆にお披露目しようの巻!!あ、ちなみに唯が目覚めたら身体は元に戻ってるから。」


「はあ!?何それ!!じゃあ今日一日、全部お母さんの差し金だったの!?」


「うん!」



えー!?お母さん死んでるのに、何その現世への影響力!!て言うか、お母さんそっち系の力あったっけ!?



「ないけどー。まあ、頑張ったのよ。誉めて誉めて!」


「そんなの頑張らなくていいよ!何やってるのよ!」


「だってねー。亨君だって小さかった唯を置いて日本に帰るのは忍びなかったはずだし。だったら、その頃の唯にしてあげたら亨君も喜ぶんじゃないかなーって思ったの。喜んでたでしょ?」


「…微妙に…」


「ほーら見なさい!やっぱり私のした事は皆の琴線に触れたはずだわ!」



嬉しそう。ものすっごい嬉しそうだよ、お母さん…。あれ、起きたら戻ってるって…。



「うん。一日だけの特別デーだったから。まあ、唯も小さいままじゃ学校にも行けなくなるでしょ?だから休みの日、つまりは昨日一日だけって事よ。安心しなさい。」


「……力の使いどころ間違ってない?」


「間違ってないわよ。それにほら、小さくなっても唯は唯だったでしょう?皆から愛されてるって言う事を再確認出来たかしら?」


「う…うん。出来たよ。」


「そう。良かったわね。」



にっこりと笑ったお母さんにふわっと抱き締められて、そこで目が覚めた。



起きたらまだ全然暗くて、時計を確認すると三時半。いくらカーテンを閉めているとはいえ、道理で暗いわけだ。

隣を見ると先生が寝ていて、相変わらず綺麗な顔をしているのが見えた。先生を起こさないようにそっと身体を起こしてライトの光量を加減して点けた。今見た夢の内容を思い出そうとしたのだけれど、靄がかかったように何も思い出せない。何だかすごく嬉しいような、それでいてどこか物悲しいような感じの夢だった感じがする。


なおもその夢を思い出そうとしていて、ふと胸元が窮屈に感じてそこを見ると、そこにはいつも見慣れた胸があった。ぎょっとして、胸元以外に目をやるとやっぱり見慣れた身体がそこにはあった。



そして、現在に至る。



「……なんでいきなりそうなった…」


「わかんない。起きたら戻ってた…。ね、先生。服小さいんだけど…なんか変わりになるものってないかなぁ…」


「あー…子供用だもんな、それ…。…とりあえず脱げ。」


「やだっ!」


「やだじゃねーだろ…。どっからどう見ても小さいし、お前も窮屈だろう。…それに俺まだ眠いんだよ…でかい声だすな。皆もまだ寝てるだろうし。」


「ぬぅぅ…………脱いでも良いけど、見ないって約束する?」


「見ない。触るけど。」


「っ!ばかー!!」


「はいはい、さっさと脱げ。んで、もう一度寝るぞ。」


「ちょ…っ!先生!脱がさないでよ!」


「んー…小さい唯も可愛かったけど、やっぱこっちの方がいいな。触り応えがあるし。」


「せんっ…!ちょっ…!…ふぁ…んっ!」


「声、出すなよ。」




結局。

元に戻った私だけど、朝から着る服が無く雅ちゃんの渾身の一品であるメイド服で帰る事になった。

機嫌?そんなもの、勿論悪かったに決まってる。


これって結局なんだったのか。

相変わらず謎のままだ。




二ヵ月後。



「…遠藤グループのチャイルドシートがグッドデザイン賞…」


「さすが父さん…転んでもタダじゃ起きないな。」



結局得したのは蒼偉パパだけだったって事?

いやいや…。



「やっぱり唯は小さくなっても可愛い~!!もう一回小さくならないかしら!」


「美奈、これも可愛いぞ!でも急ごしらえだったとは言え、本当によく似合ってるよねー。僕、子供服のブランド立ちあげようかなー。」


「お、なかなかいいアイディアだな。秀人、高橋の子供の服作ってみるか?それで反応が良かったら一ブランド好きにしていいやつ譲るぞ。」



お兄ちゃんの立ちあげた子供服ブランドが世界的に有名になるのは、また別の話…。





ちゃんちゃん☆

これにてちいさくなるの巻は終了です。ありがとうございました。


次回のパラレル編はどうしようかなーと考えている最中です。シンデレラにしようかなと思っているところでもあります。

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