幕末に転生したら近衛家の姫でした。まず屋根を直します 第二十話までの時系列。
●転生設定の確認
糸子の転生前(橘咲)の死亡時は享年28歳。
転生後は近衛糸子として五摂家筆頭の近衛家に生まれ直している。
生年は嘉永二年(一八四九年)。年齢はすべて数え年で表記する。
嘉永二年=一つ/嘉永五年=四つ/嘉永六年=五つ/嘉永七年(安政元年)=六つ/安政二年=七つ/安政三年=八つ/安政五年=十/安政七年=十二
●各話の時系列と糸子の年齢
第一話「雨漏りと算盤と、わたくしの野望」
時期 冒頭は安政七年(一八六〇年)春。本編は嘉永二年(一八四九年)の誕生から嘉永六年(一八五三年)秋まで
糸子の年齢 冒頭は十二歳。本編の終わり(屋根の修繕完了)で五つ
主な出来事
冒頭:江戸城近くの会見室で、天朝外語御用掛として御簾の内からハリスと英語で渡り合う。
本編:転生後の状況確認。生後七ヶ月で言葉を発する。近衛家の財政的な貧困の認識。三つの春(嘉永四年)に父・忠房に申し出て商売の許可を得る。西陣織・京焼・宇治茶・京友禅の販路開拓を始める。五つの秋(嘉永六年秋)に屋根の修繕を完了する。お梅との信頼関係の確認。
※ペリー来航(嘉永六年六月)は、屋根の修繕が終わる秋より前にあたる。
第二話「大坂の虎と、六歳の算盤」
時期 嘉永七年(一八五四年)、初夏から夏
糸子の年齢 六つ
主な出来事
鴻池の番頭・伊右衛門が近衛家を初訪問する(鴻池は十代目の代)。「秩序を乱している」という牽制を糸子が論破する。大坂経路の窓口として鴻池を取り込む(手数料二分五厘で合意)。父から日常の取引の決定権を任される。御所台所方への食材支援(仕入れ資金の立て替え)を開始する。御所御用達の称号は御所の側から下される形を狙い、地ならしを始める。
※日米和親条約(嘉永七年三月)はすでに結ばれている。
第三話「御所の目、と見抜く者」
時期 嘉永七年(一八五四年)、秋
糸子の年齢 六つ
主な出来事
糸子が御所を初訪問する。さとの信頼を獲得する。廊下で村岡と出会い、算術の才能を見出す。村岡を近衛家の手伝いに加える。
第四話「江戸への道と、商家の倅」
時期 嘉永七年(一八五四年)、晩秋
糸子の年齢 六つ
主な出来事
江戸への販路開拓に本腰を入れる。松屋善兵衛・善次郎(十二歳ほど)が近衛家を訪問する。善次郎を近衛家の手伝いに加える。村岡・善次郎・糸子の三人で初めて一緒に帳面確認をする。それぞれの強みが補い合う形が生まれる。
第五話「情報という名の商い」
時期 嘉永七年(一八五四年)、晩秋から初冬(本文に季節の語はなく、第四話と第六話の間として推定)
糸子の年齢 六つ
主な出来事
善次郎が江戸から「大名家奥向きが御所の動きと異国事情の情報を求めている」という書き付けを持参する。情報のつながりが価値を持つ時代の到来を認識する。ただし器が整うまで実行しない方針を確認する。
※すでに黒船は来航し、和親条約も結ばれた後の時期。
第六話「名家の異議と、広橋の青年」
時期 嘉永七年(一八五四年)、初冬(初冬の時雨)
糸子の年齢 六つ
主な出来事
名家・広橋家の権中納言が異議申し立てに来訪する。糸子は、近衛家の商いが御所台所方へのお手伝い、つまり臣下の務めであることを示して論を退ける(御所御用達の称号はまだ下されていない)。幕府の御用商人の中に近衛家を面白く思わない者がいるという情報を得る。広橋実光が有職故実の知識で協力を申し出る。
第七話「田辺屋の影と、最初の牽制」
時期 嘉永七年(一八五四年)、初冬(冬の入り口)
糸子の年齢 六つ
主な出来事
善次郎が、京の出店で田辺屋に近衛家のことを探られたと報告する。田辺屋儀兵衛が近衛家を初訪問する。探り合いで終わる。さとから、田辺屋が御所台所方との関係を失った経緯(品質問題と対応の遅さ)を入手する。これを切り札として保持する。
〔史実〕嘉永七年十一月四日・五日 東海地震・南海地震(いわゆる安政東海・安政南海地震)
〔史実〕嘉永七年十一月二十七日 安政に改元
第八話「御門様の御前にて」
時期 安政元年(一八五四年)、冬(十一月の大地震と改元の後)
糸子の年齢 六つ
主な出来事
冒頭で十一月の大地震に触れる。さとから、御門様が近衛家の姫君に会いたいという文が届く。実光に御前での礼法を習う。冬の澄んだ朝に参内し、御門様(二十代半ば)との初めての謁見が実現する。南蛮の国々についての情報提供を約束する。御門様は和親条約を幕府が勅許なく結んだことに触れ、「この国の形が変わるようなことは望まぬ」と仰る。御所御用達の称号が大きく近づく。
第九話「有力商人の文書と、四人の夜」
時期 安政元年(一八五四年)、冬
糸子の年齢 六つ
主な出来事
御前から三日後、御所御用達の称号が正式に下される。同じ日に、田辺屋が幕府の御用商人として六商家連名の懸念文書を送ってくる。糸子・実光・村岡・善次郎の四人で夜の対策会議を開く。返答文の方針を決定する(御所御用達を盾にし、組合との調整には触れない)。天朝物産会所は、胸の内で決めていた名として、表に出す日も遠くない段階(構想段階)。善次郎は大地震で江戸へ下るのを日延べしていた。
第十話「老中の影と、広橋の決断」
時期 安政元年(一八五四年)、冬
糸子の年齢 六つ
主な出来事
返答文を送った翌日、広橋権中納言が直接来訪し、老中の関与の可能性を伝える(名前は伏せる)。幕府が御所の独自行動を警戒していることが判明する。実光が法度の解釈の文書を準備する。善次郎は江戸へ向かっている。
第十一話「御所の水面下と、村岡の決断」
時期 安政元年(一八五四年)、冬
糸子の年齢 六つ
主な出来事
村岡が御所内の情報漏洩を発見する。装束担当の商家を通じて、御所の女官長が田辺屋に内情を伝えている経路を特定する。台所方を預かるさとが、半年ほど前から知りながら一人で抱えていたことが判明する。御門様の御前での話も外に漏れていた可能性が浮上する。
第十二話「御門様との密談、そして決断」
時期 安政元年(一八五四年)、冬(十二月)
糸子の年齢 六つ
主な出来事
御門様との非公式の密談が実現する。田辺屋・老中の関与・御所内の情報漏洩を報告する。御門様も長年、情報漏洩を感じていたが動けなかったことが判明する。「(近衛家が独自に動くことを)許す」「朕の名前は使うな」「さとを守れ」という三つのお言葉をいただく。帰り道で、装束担当の部署に別の商家を紹介し、御所の側から取引先を変えてもらう方針を村岡に示す。実光から、父・広橋権中納言に幕府筋から文が届き、「近衛家のことは当分関わるな」と命じられたことが判明する。実光は父の命に反し、独自の判断で協力を続けると決める。
第十三話「田辺屋、再来」
時期 安政元年(一八五四年)、師走(冬の冷たい雨)
糸子の年齢 六つ
主な出来事
さとが装束担当の商家の取引先変更に動き始めて五日。その動きが田辺屋に察知される。田辺屋儀兵衛が明確な圧力を持って近衛家を再訪し、「幕府として看過できない」という言葉を使う。糸子のスイッチが入る。糸子は、圧力を正式な問題として取り上げるか、商売の問題として処理するかを田辺屋に突きつける。田辺屋が引き下がる(ただし完全ではない)。善次郎の書き付けに「老中久世様」の名が出る。
第十四話「水面下の連鎖」
時期 安政元年(一八五四年)、師走(冬の晴れ間)
糸子の年齢 六つ
主な出来事
翌日、実光が来訪し、父を通じて老中の名が久世広周で間違いないことを確認する。善次郎への返書で情報収集を依頼する。村岡を通じて、女官長がさとの前で泣いて告白した経緯(息子の借財を使った田辺屋の工作)が判明する。三日後、さとの取り計らいで御前に参り、報告を終える。御門様から「朕の名は使えないかもしれないが、朕の気持ちは使えるかもしれない」というお言葉をいただく。女官長の息子の借財は三十二両、貸主は田辺屋と取引の深い大坂の両替商・堺屋忠兵衛と判明する。借財を買い取って田辺屋の情報源を断つ方針を決定する。
第十五話「三年先の地図」
時期 安政二年(一八五五年)、夏
糸子の年齢 七つ
主な出来事
年が明けて春が過ぎ、女官長の息子の借財は、松屋を通じて堺屋から買い取る段取りが進んでいる。安政五年の通商条約交渉から逆算し、必要なことを四つ書き出す(四つ目が外国語、方法は後で考える)。善次郎の情報で、久世広周が御所に出入りする複数の商家を情報網に組み込んでいることが分かる。実光から阿部正弘の健康の話を聞く。父・忠房から「一人でするな」と言われる。四冊目の帳面「天朝物産会所 三年計画」を作る。御門様に清朝の例を伝え、条件を持って勅許に臨むことを進言する。御門様から「朕の言葉を、南蛮の言葉に変えて伝える役」を示され、「三年、待つ」というお言葉をいただく。
第十六話「守護を求む」
時期 安政二年(一八五五年)、晩夏から秋
糸子の年齢 七つ
主な出来事
御前から十日ほどで、近衛家と取引のある商家が見知らぬ武士に因縁をつけられ、御所近くの辻に見慣れない者が立つようになる。糸子は試衛館の近藤勇らを守護に召し抱えることを決め、善次郎に調査を、実光に名目の相談をする。秋、近藤・土方・沖田・山南が上洛する(沖田はまだ十四、五にもならない若さに見える)。糸子が頭を下げて守護を頼み、四人が承知する。表向きは剣術師範と家務補佐、給金は一人月三両。三年以内に武士の格式を得られるよう尽力すると約束する。秋が深まる頃、四人が守護として機能し始める。
第十七話「血と沙汰」
時期 安政二年(一八五五年)、秋
糸子の年齢 七つ
主な出来事
前回の御前から季節が一つ移り、土方・沖田を荷物持ちとして参内する。御門様に三つの条件の骨組みを伝え、「三年、待つと申したな」というお言葉をいただく。帰り道、顔に刀傷のある男ら三人に襲われ、土方・沖田が撃退する。三人はその日のうちに町奉行所へ引き渡される。翌日、さとを通じて御門様の耳に入り、「相応の沙汰」のお言葉が下る。半月ほどで阿部正弘が動き、ひと月ほどで近藤らの処遇の調整(京都警衛補佐)が始まる。
第十八話「それぞれの覚悟」
時期 安政二年(一八五五年)、晩秋(秋が深まった頃)
糸子の年齢 七つ
主な出来事
近藤ら四人に、京都所司代配下・京都警衛補佐として武士に準じる格式が正式に与えられる。近藤が、試衛館の京都道場の設立と、近衛家の家人としての非公式な守護集団の形成を提案し、糸子が了承する(費用は近衛家と天朝物産会所が負担)。永倉新八の名が候補に挙がる。山南が、道場の目的を守護に限ることを確認する。糸子は帳面に「わたしは一人ではない」と書く。
〔史実〕安政二年十月二日 安政江戸地震(藤田東湖死去)
〔史実〕安政二年十月 堀田正睦が老中に再任され、阿部正弘から首座を譲られる(日付は要確認)
第十九話「英語と、時間と、準備の重さ」
時期 安政二年(一八五五年)、秋の終わりから初冬
糸子の年齢 七つ
主な出来事
帳面の第一年の目標を点検する(女官長の借財の処理は年内に完了の見通し、道場の候補地は三か所)。善次郎に英語・オランダ語の教師探しを依頼し、十二日後の返書で、長崎の通詞は京へ上れないこと、伊予宇和島の伊達家に仕える村田蔵六がいることを知る。ひと月あまり後に村田蔵六から返書が届き、翌月中旬の初冬に村田が来訪する。情報の交換を条件に教授を引き受け、翌日から毎日の授業が始まる。三週間で糸子が日米和親条約の英文を読み、第十一条(領事を置く定め)の英文と和文の食い違いを確かめる。契約の争いの三つの型を、条約の起草技術に置き換える。
第二十話「積み重なるもの」
時期 安政二年(一八五五年)十一月から安政三年(一八五六年)春
糸子の年齢 七つ。安政三年の正月から八つ
主な出来事
十一月、村田蔵六が、異人と話す実践の場として長崎の蘭人医師に文を送ると申し出る。村田と軍事・経済の順序を語り合う。実光から、阿部正弘の病状の悪化と、堀田正睦が首座を譲られたことを聞き、堀田への接触を頼む。その一週間後、女官長の息子の借財三十二両の買い取りが完了する。十二月、京都道場の場所が近衛家のすぐ近くに決まり、名を「京の試衛館」とする。安政三年の正月、父から天朝物産会所を正式に表に立てる許しを得る。正月の三日後、近藤・山南を供に参内し、英語の習得と第十一条の食い違いを報告する。二月、京の試衛館が開く。長崎の蘭人医師から、公儀の許しがあれば上方へ参るという返書が届く。広橋権中納言を通じて堀田正睦との間接的な接触が始まる。三月、模擬条約文の練習を行う。春、授業は週三度となり、江戸から永倉新八が来る予定となる。
●重要な歴史的事件との対照
嘉永六年(一八五三年)六月
ペリー来航 ← 第一話の終盤(屋根の修繕が終わる秋より前)。第二話以降は来航済み
嘉永七年(一八五四年)三月
日米和親条約締結 ← 第一話と第二話の間(第二話の初夏より前)
嘉永七年(一八五四年)十一月四日・五日
東海地震・南海地震(いわゆる安政東海・安政南海地震) ← 第七話と第八話の間(第八話の冒頭で言及)
嘉永七年(一八五四年)十一月二十七日
安政に改元 ← 第七話と第八話の間
安政二年(一八五五年)十月二日
安政江戸地震(藤田東湖死去) ← 第十八話から第十九話の頃
安政二年(一八五五年)十月
堀田正睦が老中首座となる(日付は要確認) ← 第十九話から第二十話の頃(第二十話で言及)
安政三年(一八五六年)七月
ハリスが下田に着任 ← 第二十話より後
安政四年(一八五七年)六月
阿部正弘死去 ← まだ先
安政五年(一八五八年)
日米修好通商条約・安政の大獄 ← まだ先
安政七年(一八六〇年)春
第一話冒頭の会見場面(糸子十二歳)
●現在の糸子の状況まとめ(第二十話終了時)
年齢 八つ(安政三年・一八五六年の春)
天朝物産会所の状況 御用達を賜った後に立ち上げが決まり、内々に準備・稼働している。安政三年の正月に父・忠房から正式に表へ立てる許しを得た。書類と組織の形式化は実光が担当。看板はまだ掲げておらず、時期は堀田正睦との接触の進み具合を見て決める。
最後まで読んでいただきありがとうございましたm(_ _)m
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