38 お別れ
卒業式を迎えた。
中学校の卒業式より感極まってしまう。時々遊ぼうねと話しているものの、さりちゃんは就職組だし、杏樹は小樽だからみんなバラバラになる。
大介とたまたま会う機会があり、少し話をした。大介は地元の専門学校なので、家から通うらしい。
亮太と一緒にいられる時間も残り2週間くらい。この2週間はとても濃い時間を過ごした。
札幌へ行くまでの間に、祖父の家から持ってきたものを更に振り分けることにした。一人暮らしでそんなに広くない札幌の部屋に持って行くにも限りがある。
ユウとどれがいいか話しながら決めることに。ユウとはまだ距離を取っているが、何かと話しかけられるとついつい答えてしまう。
ユウはダンボールの中を指差して、必要なものを教えてくれる。
引越しの荷造りがほぼ終わった。4月の頭、専門学校の入学式直前に札幌へ引っ越す。祖父の四十九日を一緒に行いたかったからだ。四十九日まではこの世にいてくれるらしい祖父の幽霊とはまだ喋れていない。
亮太は3月末に新千歳空港から東京へ発つ事になっている。
千歳までは電車でも行ける距離だが、お母さんに送ってもらえないか聞いたところ、承諾してくれた。
そのことを亮太に連絡すると、亮太の両親がどうせなら私も乗せてみんなで行こうと話しているらしいことが分かり戸惑っている。
亮太を見送りに車で行って、帰りは? 亮太がいない空間でご両親と私の3人で帰ってくるの気まずくない?
絶対泣くと思うし、気まずくない?
とりあえず母の車で行くことを伝えた。何処かへ遊びに行きたがってた六花もついてくる事になった。
新千歳空港では思ってた以上に泣いてしまった。亮太が泣いているところも初めて見た。
道中で食べてもらおうと作ってきたクッキーとお守りと、4月の誕生日を前倒して、用意していたプレゼントを渡した。
荷物になるものは事前に渡しておけば良かったと後悔してしているが、亮太は「全然大丈夫」と言った。
亮太は人目を憚らずギュッと抱きしめてくれた。近くで親も見ているんだが……。
由利家に一緒に昼食はどうかと誘われた。
連れて行かれたのはお寿司屋さんで、回ってない寿司屋だった。そんなに寿司を食べる家じゃないので何を頼めばいいかわからず、お任せにしてもらう。
品定めでもされるのかなと邪心を持ってしまっていたが、お二人は終始気さくな人だった。こちらの憶測が恥ずかしくなるくらい。
由利ママは「うちは男の子しかいないので、女の子も良かったなと思うんです」と話している。
「うちは2人とも女の子なんで」
「そうなんですか」
「由利君のお母さんに採血してもらった事があります」と話すと驚いていた。
由利父に「亮太を好きでいてくれてありがとう」と言われてまた涙が出てきてしまった。私を見て何故か六花も泣いている。
ご両親は亮太の不良時代をとても心配していたらしかった。一時期は作り置きの晩御飯にも一切手をつけなかったらしい。進学もほぼ諦めていたそうで、急に直談判してきた亮太に驚いていたそうだ。
どこで知り合ったのかという流れになって、家出のことを話して良いものかと動揺した。
「家出を、した時に、綾香ちゃんの友達の亮太さんが助けてくれまして……怪我もしていたので介抱してくれました」
「うちも色々ありまして」とうちの母が話す。
「そうでしたか」と由利親子。
ここに父がいなくて本当に良かった。
お会計はすでに済ませていたらしく、いらないと言われた。どうやら、トイレに立った時にサラッと済ませていたらしい。由利父スマートでカッコいい。亮太と同じ雰囲気だなと思った。
亮太にメールでご両親とご飯を食べたことを伝えると驚いていた。
無事に羽田に着いたらしい。
『何それ、聞いてない。俺もいたかった』と返信が来て『何か変なこと言ってなかった?』と心配していた。
ユウは「寂しくなるね」と言った。
「うん」
続くかな。遠距離。
「君たち次第だよ」
いつでも会える距離から、すぐには会えない距離へ。心が押しつぶされそうになる。もうすでに会いたくてたまらない。
こうゆうときはラブソングでも聴いて泣きまくってやろう。ロックな曲で弾けるのもいいかも。




