17 六花
休日に家族で出かけた大きなショッピングモール。
CDショップに寄った時はいつも必ず、試し聞きをする。ヘッドホンを耳に当てて、初めて聴く曲にドキドキ。日本の曲も聴くけれど、基本的には洋楽ばかり。映画のサントラも大好物だ。
特に洋楽はジャケ買いしてみるのも好き。失敗することもあるけれど、思わぬ出会いがあったりして、そこからまた違う世界が広がるような気がする。今日も1枚買ってみる。帰るまでの道のりが楽しくて心がウキウキする。
本屋ではユウが話していた双子の魂とかツインソウルだかツインレイだかという本を探してみることにした。
幽霊には少し詳しいとは思っていたが、オカルトとかスピリチュアルってやつは専門外だ。その辺りを探してみる。
「読んでもいいけど、参考程度に」とユウに呼び止められた。
「僕らの事は僕らにしかわからないから、他と比べる必要がない」のだと言う。
「かなり珍しい体験をしようと計画を組んだから、同じ体験をしている人はいないよ」
「え?」
「他の魂もチャレンジしていたと思うけど……あんまり聞いた事ないな……やろうと思ってもなかなか出来ないんだよ」
「なんで」
「どちらにも繋がる意志と能力と訓練をしていないと出来ないからだよ」
訓練してたんか?
「何度も生まれ変わって訓練してきたんだよ、お互いにね」
「はあ、そうなの」
「それとキッカケ、縁や、偶然も必要なのかも」
「ふぅーん」
ユウとあれこれ話していると、ワクワクした笑顔の六花が、分厚いの本を持って歩いてきた。
「何の本?」
「ヘイリー•ポッターだよ!」と言って表紙を見せてきた。
「映画になってたやつ?」
「そうそう。原作がおもしろいんだー。図書室で読んでハマっちゃっさー」
「珍しいね、全然本なんて読まないのに」
「自分でもビックリしてる。めっちゃ面白いから騙されたと思って読んでみなよ」
六花は自分の好きな事になると、大興奮で早口で喋る。
「見るからに長そうだよね、私は映画でいいかな」
「えー超面白いのにーもったいない。ねーちゃん魔法使いの話とか好きじゃん!」
「え?そんなイメージ?」
「うん」と当たり前のように六花は言った。
「ねーちゃんは何探してんの?」
「あーーちょっと気になる事があってね」
「精神世界?スピリチュアル?ほら、好きだよねそうゆうの」と言って、下に陳列されている占いの本を手に取っている。
「そんな好きじゃないよ」
「ほんとにー?この本にも幽霊とか出てくるよ」
「そうなんだ」
「ねーちゃん見える人だし、絶対楽しめるって!」
え?最近その手の話しはしてないぞ。当然のように話す六花にビビっていると、
「そういえば、じーちゃんも見えるよねー」と言った。どうやらおじいちゃんにも勧めようと考えているらしい。
「あたしは見えないし、幽霊とかわかんないけどさ、誰から電話がかかってくるかは分かるんだよね」と言った。
「え?」
え?えええ?
「どうゆう事?」突然の告白に動揺を隠しきれず、あわあわしてしまった。
「うーんと、あたしさ、家電かかってきたらさ、かかってきてる人に電話出なよって言ってんだけどさ、みんな近くにいる人が出ろって言うでしょ」
「電話に近い人が出るってルールだしね」
「そう、それさ、ずーーっと疑問だったのね。だってさ、最初から誰宛の電話かわかってんのに、何でわざわざ別の人が出る必要があるのって話じゃん?」
「うんうん確かに」
「その話をさ、友達にしたら、普通はわかんないよって言われてさー、自分だけなんだって思ったんだ」
「それ、すごくね?」
「凄いかもだけど、全く使い道のない能力だよね」と言ってケラケラ笑っていた。
「だからさー、自分はわからないだけで、見える人はほんとに見えてる世界があるのかなって思ったのよね」
しゃがみ込んで、今度は他の違う占いの本をパラパラとめくっている。
六花は友達の影響もあって、最近色んな占い本を読んでいるらしい。誕生日占いとか占星術とか四柱推命とか。私も興味があるし、友達の女の子も占いが好きだから(特に運命の相手系)借りて読んだりはしている。
「不思議な能力もあるんだね、面白い」
「因みに怖がらせるわけじゃないけど……あの無言電話さ、ねーちゃん宛だよ」
「こえーよ」
「だから、ねーちゃんは出ないで。あたし出るから」
誰から電話がかかってくるのか、そこまでは分からないらしい。六花的には、嫌〜な感じがするのだとか。おそらくアイツなのだろう。
ということでこれから検証を始める。
かかってくる電話を六花がどんどん言い当てていく。基本的には父か母宛の電話、
自分の時は「あ、あたしだ」と言って電話に出ていた。
百発百中だった。やっぱ凄いって。
「出来れば使える能力が良かったなー。あーーあたしも魔法使えないかなー」
恐らく一生懸命読み進めている、六花一推しの魔法使いの本だろう。世界的に大ヒットしているわけだけど、本より映画で観たい派な私はまだ未読だ。
「影響されすぎじゃない?」
「ねーちゃんはさ、最近見えてんの?」
「ん?」
これよこれと言って、手を前に出してだらんとさせた。幽霊の真似らしい。
「いやーあんまり」と少しばかり嘘をついた。
「昔さ、めっちゃ夜起こされたよね」
「ごめんごめん、ほんと」
「幽霊がいるとか言ってさー」
夜、1人でトイレに行くのが怖くて六花を起こしてまで連れて行ってた事を言われている。
「眠いのに迷惑だったわー」
「ほんとごめんて」
「じゃあ、お詫びにこの本読んで」
「えーそうゆうこと?」
絶対面白いと太鼓判を押す六花。渋々読み始めたら、思いっきりハマった。私も魔法使いになりたい。




