表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/40

16 変な夢


 荒廃した灰色の砂利道を歩く。

 私は道に迷っている。何処を歩いているのか分からない。どの場所にいるのかも。


 誰もいないゴーストタウンで真っ黒い大きな人に出会った。

 その真っ黒い人はもの凄い勢いでこちらに向かってくる。

 怖くて逃げた。逃げても追ってくる。角を曲がってやっと真っ黒い人から逃げられたと思った。でもまたどんどん近づいてくる。逃げても逃げても前に進んでなかった。足がどんどん床に埋もれて沈んでいく。全然前に進めない。早く逃げなくては追いつかれてしまう。

 黒い物体はついに追いついて、覆い被さってきた。押しつぶすつもりらしい。怖い、誰か助けて、息が出来ない、誰かーーーーー

 きっとこのまま死ぬのかもと思った時、黒い物体が煙のように姿を消した。

 その隙に逃げた。今度はちゃんと走れる。

 建物の中なのに、トンネルを見つけた。


 大きなトンネルの先が光っている。

 美しい光に誘われて、トンネルを進む。だんだんと光は強くなり眩しくなってきた。目を覆話なければ直視できないほど、光輝いている。

 トンネルの先は息を呑むほど美しい世界だった。

 山で囲まれた峠のようなその場所は、木や緑でいっぱいで、花々が咲き乱れていた。身体が浮き上がるほど心地よくてとても暖かい。空に太陽はない。山々や木々や色とりどりの花が個々に光を放っているようだった。

 トンネルから続く一本道は、空に浮いているような道だった。道の下も緑と花でいっぱいだ。まるで花束の中にいるみたい。

 道の先は山に隠れていて、ずっと先までは見えない。

 もっと先を見てみたい。

 進もうとすると、

「そっちに行ってはダメ」と女の子の声がした。

 後ろを振り向くと、白いレースのドレスを見に纏った少女が立っている。


「まだそっちに行くのは早いのよ、戻って」

「でもこっちの暖かいほうへ行きたい」

「ダメ、戻って、お願い」

「どうして?」

「まだやり残している事があるでしょう?」


 そう言われて、急に怖くなってきた。

 そうだ、まだやる事があった。

 急いでトンネルに引き返す。


 トンネルに戻った途端、当たりが暗くなった。

 振り返ると、トンネルの向こう側が壁に塞がれて無くなってしまっている。最初からそんな場所なんてなかったかのように。冷たいコンクリートの塊になってしまった。

 さっきまで光に満ち溢れていた場所が急に恐ろしくなった。急いでトンネルを出なければならない。背後から真っ暗闇が迫ってくる。

 トンネルを抜けて、また灰色の砂利道を歩いて行く。


 砂利道の先に開けた場所を見つけた。

 開けた場所だけ色づいて見える。


 ゆるゆるふわふわな女の子が花を摘んでいる。木や草花に話しかけながら水を撒き、植物菜園を楽しんでいる姿も見える。髪は栗色ウェーブ、目は海のように真っ青、少しもっちりしているような、とても健康そうな子。レースのようなヒラヒラした服を着て、後ろは帯のようなレースの紐で蝶々結びにしている。


 急に場面が変わった。

 打ちっぱなしの剥き出しのコンクリート。銃撃戦でもあったのだろうか。あちこちに攻撃の跡や穴が残っている。崩れた階段と天井。剥き出しの鉄の骨組みが見える。水が滴る音、人の叫び声、ゴォオォンという大きな音が響く。

 汚いコンクリートの上に、裸足の少女が倒れている。苦悶に満ちた表情をして。先ほど見かけた少女に似ているが、髪の毛は無造作に切られていて短くなっている。真っ青な蒼い瞳に光はなく、目が虚で窪んでいる。随分痩せたのか頬もコケてしまい、げっそりしている。


 そこへ少年が駆け寄る。

 騎士のような格好をした金髪の少年は少女を見つけると、跪いて剣を床に置いた。

 少年が女の子を抱きかかえようとする。


 苦しくて息が出来ない。

「喋らなくていい」

「……待っ……て、待って」

 少年は耳を傾ける。

「話を聞いて、」

 話をーーーーー


「必ず見つける。僕達は必ずお互いを見つけ出せる。君に見つけてもらえるようにいつも歌ってる。だから大丈夫だよ」

「か……ならず、見つけるわ……必ず」


 息が出来ない。苦しい。口の中が鉄の味がする。

息が、息がーーーーー


 目を覚ましたら、いつもの部屋の天井だった。隣でツルツル頭の青いたぬきが、目覚ましの時間を待っている。

 全身汗だくだった。歯を食いしばりすぎたのか口の中が血の味がする。呼吸が苦しかったのは喘息のせいみたいだ。

 背中も痛い。つったのかなと思っていたが、一日中、肩甲骨のあたりがズキズキと痛かった。


 夜、お風呂に入ろうと服を脱ぎ、キャミソールでリビングをウロついていると、「おねえちゃん、背中どーしたの?」と六花に呼び止められた。

 アイスを加えたままの六花が駆け寄って背中を触る。

「凄い傷ができてるよ」

 洗面所の鏡で背中を見に行くと、肩甲骨あたりに引っ掻き傷があった。

「なんか生えてきそうじゃね?」とジロジロ見ながら六花が言った。

「なにこれ」

「てゆーか、どうやったらこんな傷つくの?」

「寝てて、朝起きたら痛かったんだよね」

「いくら寝相悪くても、こんな風にならなくない?」

ぶつけたのかなと思ったが、そうゆう傷じゃない。何だろう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ