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魔力『1』から始まる異世界ライフ  作者: さぐろ
一章 異世界

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第九話 師匠

 僕が師匠と出会ったのは、魔族の活動が活発になり始めた頃のことだ。


当時、他の国と同盟を結んで魔族に対抗しようと考えたカザールの国王であるタイバール陛下から、僕に命が下りた。クレダナ王国への使者として派遣されることになったのだ。

何週間もかけて、僕はクレダナ王国に向かった


クレダナ王国に着くと、僕はすぐに謁見の間へと案内された。


「我はクレダナ王国の国王、タルフリーヒ・クレダナである。今回は何用で我が国へ来たのだ?」

「私はカザール王国宮廷魔導士のテルと申します。本日伺いましたのは、活発化する魔族への対策と同盟についてでございます」


詳しく話し合った末、タルフリーヒ王は我が国と同盟を結んでくれることとなった。さらに王の計らいにより、僕はクレダナ王国に一ヶ月間滞在することになったのだ。


滞在中、城内を案内されていた僕は、魔法を研究している一室が気になり、中へ入れてもらった。

そこにいたのは、三十代ほどの知的な雰囲気を纏った男性だった。


「失礼します。カザール王国から使者として参りました、宮廷魔導士のテルと申します。魔法の研究をされているとお聞きし、見学に伺いました」

中にいた男性は丁寧に一礼すると、自己紹介をした。

「お初にお目にかかります。王族付き家庭教師の、フィルムス・ゼニスと申します。珍しいものはございませんが、よろしければどうぞご覧ください」

ゼニスさんは、見たこともない複雑な魔法陣を描き始めた。


「この魔法陣は、一体何の魔法陣なのですか?」

「これは、転移の魔法陣にございます」


「転移魔法……?」


転移魔法自体は習得が難しい魔法だが、僕の知る魔法陣とは全く違っていた。数十個もの魔法陣が密に敷き詰められている。


「この転移魔法は、大人数を一度に移動させるためのものです。そのため、通常の個人の転移とは構造が別物になっております」


大人数の転移となれば、普通の転移とは訳が違う。こんな高度な研究をしている人が王族の家庭教師とは、クレダナ王国はなんて凄い国なんだ。


「……ここの部分には、どういう意味があるのですか?」

魔法陣の端に、結界魔法に似つつも少し違う不思議な構成を見つけた。

「ここは、範囲を指定するための構造でございます。結界魔法の理論を応用して作成いたしました」


「そ、そんなことができるのですね……!」

結界魔法を使った位置指定。理論上できなくはないだろうが、実際にそれを構築する発想は見たことがなかった。


「その魔法陣について、もっと教えていただけないでしょうか!」

僕は夢中になって頭を下げた。この人の元で学びたいと、心から思ったのだ。

それから滞在が終わるまで、僕はゼニスさん……いや『師匠』に多くのことを教えてもらった。魔法陣を書き換える知識や、師匠がこれまでに構築した魔法陣の解説を詳しく学んだ。


カザール王国へ帰国したあとも、僕は手紙でよく質問を送っていた。師匠はいつだって、一文一文丁寧に答えを返してくれたものだ。


⭐︎


「最近は手紙を送ることもなくなっちゃったけれどね。それでも師匠は今もなお、魔法の研究を続けていると思うよ」

「そうなんですね……」

テルさんの師匠は、フィルムス・ゼニスっていうのか。覚えておこう。いつか会える日が来るかもしれない。


「それじゃあ、昔話はこのくらいにして次のステップに行こうか!」

「はい! よろしくお願いします!」

お読み頂きありがとうございます!

今回は、テルさんの師匠のお話でしたね。(文字数がちょっと少ないのは気にしないで…)

ゼニス……只者ではなさそうですね。これからの話に出てくるのでしょうか……

ぜひ次回もお読みください!

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