発見文書 No.069
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発見文書 No.069
種別:原稿用紙断片(出所不明)
日付:昭和4X年8月13日(推定)
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【段ボール箱の底、カセットテープの束の下から発見された原稿用紙の断片。4枚。 用紙は昭和40〜50年代に流通していた小学校用400字詰め原稿用紙と同型。
「祢古小学校 夏休み日記」の原稿用紙(昭和62年)とは紙質が異なる。 いつ書かれたものか、誰が書いたものか、確認できていない】
【断片一】
(上部破損)
……きょうは、やまのおやしろに行きました。みんなで、ぜったいにいかないとやくそくしていたのに、どうしていったのかおぼえていません。気がついたら、おやしろのまえにいました。
(中央破損)
……あかいふうりんが、ありました。いとがきれていて、おちそうでした。わたしは( )して、もういちどならしました。
【断片二】
(全体に水濡れの跡。一部のみ判読可能)
……ふうりんを、もう一度ならしました……
……そのあと、よくおぼえていません……
……せんせいが、ないていました……
【断片三】
きょうは8月13日です。
ぼくたちは、
(中間破損)
……ひとりだけ、さきにかえってしまった。
……だから、むかえに行く。
……8がつ13にちに、むかえに行く。
(以降破損)
【断片三・補片】
……あの子を、一人にしないって、やくそくした。
……かえるときは、みんないっしょって、やくそくした。
【断片四】
……もう、かえれないとおもいます。
でも、かえります。かならず、かえります。
そのためには、だれかに読んでもらわなければなりません。
この日記を。
【浅川静・編集注】
この断片は1987年よりも古い紙に書かれている。昭和40年代か50年代。つまり1987年の「祢古小学校 夏休み日記」よりも前に、同じ場所で、同じような日記が書かれていた可能性がある。
断片三の「ひとりだけ、さきにかえってしまった」。これは白い水着の子のことだろうか。いちばん最初に帰れなくなった子。帰ろうとして——帰れなくなった。
断片四の「だれかに読んでもらわなければなりません」。
読んでもらうこと。読まれること。それが——帰るための条件。
読む者が「次の人」になる。次の人が記録を引き継ぐ。引き継がれた記録がまた読まれる。
円。




