発見文書 No.037
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発見文書 No.037
種別:夏休み日記
担当:今井千秋
日付:昭和62年8月27日
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【発見された「祢古小学校 夏休み日記」原本より】
これは8月31日の出来事です。でも今日は8月27日です。
未来の記憶が、過去に流れ込んでいます。
8月31日に何が起きるか、わたしは知っています。8月27日のわたしが。時間がもうぐちゃぐちゃです。
——正直に書きます。
8月31日、夏休みが終わるはずでした。カレンダーに9月1日がありました。何か月ぶりかに見る「9月」の文字。
みんな喜びました。「やった、9月が来る」って。
でもちがいました。
8月31日の23時59分59秒。あと1秒で9月。
時計が止まりました。逆回転を始めました。
8月30日、29日、28日……。
今日に戻ってきました。
記憶だけが残ってます。
本当のことを書きます。
カレンダーに9月はありません。最初からなかった。8月31日の次は8月1日に戻ります。円です。8月は円になっています。
永遠にぐるぐる回る8月の輪。
でも今回は輪がねじれてきました。8月27日なのに31日の記憶がある。みんなの時間がバラバラにシャッフルされてます。
これから起きることも知ってます。
8月28日、■■■くんの日記が真っ黒になります。——もうなりました。正志くんの字が消えたように。
8月29日、内田さんが白紙の日記を出します。
8月30日、白井くんも白紙です。
8月31日、北村さんが最後の一文を書きます。
「先生、昭和62年の夏休みは、まだ終わっていません」
——この一文はもう決まっています。何度書いても同じ。何年たっても同じ。
最後の日は最初の日。終わりは始まり。
永遠に8月の中を回り続けます。
それが、わたしたちの——
わたしたちの——
選んだのかどうか、もうわからない。でも、ここにいる。
先生もいる。みんなもいる。
みんながいるから、こわくない。
——ばんごはんは。
ばんごはんは。
なにか、食べた、はずです。
味は——
思い出せません。
でもだいじょうぶ。思い出せなくても、ここにいるから。
また明日
担任教師の赤ペンコメント:
またあした、新しい8月で会いましょう。




