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能ある夫は爪を隠す  作者: 神月いろは


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51.副担任

学校行事で思いもよらない事が起きて…

「ママ。遠足のプリントもらってきたよ。明日ね俊くんとおやつ買いに行っていい?」

「モーそんな時期なんだ。お弁当はおにぎり?海苔巻き?それともサンドイッチ?」


希望を聞くとおにぎりがいいという永人。遠足を楽しみにしている永人に学校を辞める話をするのは辛い。そう思いながらプリントを貰い案内を読み持ち物を確認する。永人の学校の1年生の遠足は水族館らしい。水族館は幼稚園に入る前に行ったきりだから喜ぶだろう。そう思いながら永人の話を聞きながらゆったりとした時間が過ぎていく。そして永人が自室に行き、入れ替わりで夫がおやつを取りに来た。そして遠足のプリントを見つけ読んで…


「僕も水族館行きたい。それに学校での永人も知りたいし…ねー香里さんこっそりついて行こうか?」

「はぁ?」


夫の提案に『バカな事を』と思ったがクラストカに行ったら学校は無く、王族は皆家庭教師から学ぶそうだ。残り少ない学校生活を見たみたい夫の気持もよく分かる。少し考えて絶対バレない様にする事を条件に私達も遠足に付いていく事にした。


遠足を楽しみにしている永人に、1年生が終わったら学校を辞める事を話す事が出来なかった。いつ話すか夫と相談し、遠足が終わってから話す事を決める。そして翌日永人が学校に行ったら二人でおやつを買いに近くの駄菓子屋に向かった。いい大人が平日に駄菓子を買っているのはとても目立ち少し恥ずかしかった。


こうして週末いつもより早く永人を送り出し、夫と私は1時間遅れで水族館に向かった。車で行った方が早いし楽だが、子供達と同じ様に電車とバスを使い水族館に向かった。現地に着くと子供立ちの方が先に館内に入っており、私達もチケットを購入し館内へ。子供達と距離を取りつつ水族館を楽しむ。夫はこんな時完全に子供になり純粋に楽しむので、夫というより息子になる。


ゆっくり見て回ていたら永人のクラスの先生が見えた。少しペースを落とさないと追いついてしまう。そう思い夫の袖を引っ張り館内に設置されているベンチに座って、距離を取ろうとしたら夫は一点を注視し動かない。何を見ているのか気になり夫の視線を追うと、背の高い男性が子供達に手を引っ張られている。


『初めて見る先生だ』


子供達は永人のクラスの子で見覚えがある。そう以前永人に聞いた新しい副担の先生だ。遠目だが永人が言っていた通りイケメンなのが分かる。夫が何故副担を見ているのか分からず戸惑うと


「何故、ク…」


そう言い自分の手で口を塞いだ。そして私を見て驚く事を言った。


「あの男…クラストスカで俺の補佐をしていた男だ」

「はぁ?そっくりさんじゃないの?」


そう言ったが間違いないと言い、副担を睨んでいる。訳が分からない私は棒立ちし目立っている夫を、取りあえず移動させるために夫の背後に立ち力いっぱい押して順路の奥へ移動した。


お読みいただき、ありがとうございます。

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