40.モーニングブッフェ
暴れてホテルに軟禁中の夫から連絡が入り…
まだ気持ちも頭も整理がついていなくて、この話題は今はしたくない。そう思ったら
「ホテルはいつもの所?夕飯は済んだの?」
話題を逸らす様にそう話しかけると、珍しく察した夫は
『そういつもの部屋に軟禁されているよ。食事は美味しいけど香里さんの手料理には負けるよ』
そうそう言い、あの後井鷺氏に謝罪した事と、大川氏から小言を沢山言われたと冷静に話した。
そして今は落ち着いている事と、今日は1人寝だから寂しいとぼやいていた。取りあえず落ち着いている様で安心し、他愛もない話をして電話を切る。
夫の話では早ければ明日帰って来れるそうだ。夫には悪いけど一人で考える時間を持てそうだ。
そう思っていたら…
”♪♪~♫”
スマホが鳴り画面を見ると母からだった。一緒出るのを躊躇したが5コールで出ると、母のいつもの明るい声にホッとする。そして
『ごめんね。香里からしたら全て突然で。でもいい機会だと思って』
「う…ん結構衝撃的だったよ」
そう言い苦笑いすると母は言葉を選びながら
『お母さんが香里の事を一番に考える様に、香里は永人の事を優先しなさい。そして子供の事は正親君とちゃんと話し合いなさい』
「うん分かった。先生と娘さんは明日帰るの?」
『えっと…その事なんだけどね…』
母は言いにくそうだ。少し間をおいて
『今日こっちで泊まろと思っているの。それでねここのホテルのモーニングブッフェが有名らしくて、先生が良ければ明日朝食を一緒にしませんかって』
母は不安げに聞いてくる。きっと今日は話す時間がなく、少しでも先生たちの事を知って欲しいのだろう。母の話では先生達は朝食後にチェックアウトし直ぐに帰るそうだ。母は滞在と1日伸ばし明日は私とゆっくり話がしたいと言う。
正直前向きにはなれないけど避けても通れない。何より母が先生と話す時の表情はとても穏やかで幸せそうだ。父が亡くなってからあんな穏やかな顔は見た事がない。その表情だけで母が今満たされているのが分かった。そんな母の幸せに水を差したくない。だから…
「いいよ。ただ夫は今ホテルで謹慎中だから、私と永人だけだけどいい?」
『ありがとう。早いけど8時にこっちに来れる?』
こうしてまた母の再婚相手とその娘に会う事になった。その事を永人に話すと喜び、自分から就寝準備を始め、私も今日は考えるのをやめ早めに休む事にした。
翌朝。一応夫に朝出かける事を連絡し、異常に早く起き準備バッチリの永人と共に先生が泊まるホテルに向かう。そして
「おはようございます。来てくれて嬉しいよ」
「おはようございます。母がお世話になります」
ホテルのレストラン前で先生と娘さんに挨拶すると、永人が不安げな顔をして誰か聞いてくる。なんて紹介するべきか悩むと母が
「おばあちゃんの好きな人とその娘さんだよ」
「!」
ストレートに紹介する母に固まる私。先生と娘さんは母の紹介に頬を緩めながら永人に挨拶している。親として息子の反応を気にすると…
お読みいただき、ありがとうございます。
続きが気になりましたら、ブックマーク登録&評価をよろしくお願いします。
『いいねで応援』もポチしてもらえると嬉しいです。




