第七話 元上司の訪問
「……フレイヤさん」
フィルとセラの前に姿を現したのは黒いスーツと呼ばれる黒の衣装姿の男、サイレントフォースのナンバー2であり、フィルの上司でもあったフレイヤ=オースティンだった。
あまりに突然、自分の上司だったフレイヤが現れフィルは内心驚愕している。
しかも、黒いスーツはエージェントの仕事着だ。
それは何かの命令で来ている事を意味する。
「おう、フィル元気してたか?」
フレイヤはフィルに気安く声をかけるが、フィルの反応はない。
というのもフィルは突如現れたフレイヤに警戒していたからだ。
自分はサイレントフォースを抜けた身、さらにはサイレントフォースの襲撃対象施設にいたセラを連れ無断で組織を離れ逃げていたのだから。
それに、自分が反応出来ないほどのスピードで目の前に移動したフレイヤを相手にうかつに動く事も返答する事も出来ないでいた。
「おいおい、せっかくの再会だってのに。……そっちのお嬢ちゃんは例の……か」
フレイヤは反応のないフィルをよそに、フィルの後ろにいるセラに目を向ける。
「セラと申します! おじさんはどちら様でしょうか?」
「セラ!! 黙って下がってろ!」
セラはフレイヤに自己紹介をしたのだが、フィルはそれを止め下がるように指示する。
「……くくく、俺がおじさんか! こう見えても若いんだけどな!」
「あっ、すいません。気を悪くしたなら謝ります」
セラはそう言ってフィルの後ろで頭を下げる。
フレイヤはフレイヤでまさか自分がおじさん呼ばわりされるとは思っていなかった為、笑い声をあげたのだがこの場は和やかな空気にはならなかった。
なぜなら、そのやりとりを見てもフィルだけはずっと警戒を解かなかったのだ。
「セラ! あの男から目を離すな!」
警戒するフィルをよそにセラの言葉に反応したフレイヤの笑い声が響く中フィルだけは至って真剣な面持ちでフレイヤを見つめる。
セラは危険を察知すれば能力が発動する。
しかし、それにはセラ自身が危険を感じないといけない。
フィルはフレイヤがどういうつもりか分からない以上、何か変な動きがあった時に能力が発動するようセラに目を離すなと命じるのであった。
「あ〜せっかくの再会なのに挨拶もなしにあの男呼ばわりか。ちょっと説教が必要か?」
フレイヤはそう言うと微笑みながら構えた。




