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第十二話 出国の時

 サイレントフォースの副リーダーであるフレイヤがフィルの元を訪れてから一ヶ月。

 フィルはフレイヤの来訪以降、何かあるではと今まで以上に警戒していたが結局それ以降変わった事はなかった。

 しかし、フィルとセラは用心に用心を重ね街を移動しながら生活している。フィルは情報を撹乱する為にフレイヤから受け取ったハンターカードを街を出る時に使ったり、街に入った時に使ったり、はたまた使わずに街を出たりと消息を掴みにくいようにしていた。

 もっとも、フィルからすればサイレントフォースの情報網に対して気休め程度にしか思えなかったが。


 「もうすぐこの国から出るんですね」

 「あぁ」


 フィルとセラはフレイヤの一件もあり、慣れ親しんだノースホルム王国を離れる事を決意していた。

 と言うのも、ノースホルム王国は街は多いが人口が少ない為、居場所が割れると見つかる可能性が高い。

 フィルはフレイヤからハンターカード、そしてお金を受け取った事もあり生活の目処も立つ事からこれをきっかけにノースホルム王国を離れる事にしたのだ。


 「次はサウスカロール共和国ですか。美味しい物ありますかね?」

 「そんな食べ物の話俺が知る訳ないだろ! それよりちゃんと運ぶの手伝え!」

 「はぁーい」

 「なんだその返事は? ごはん抜きだぞ?」

 「頑張るであります隊長!」


 サウスカロール共和国はノースホルム王国から南西に位置する国で人口も多く活気のある国である。

 しかし、街は少なくサウスカロール共和国の首都サマール以外の街は数えるほどしかない。

 首都サマールと街以外は農村がところどころに存在しているのみであり、人口は首都と街に集中している。

 ウィルとセラは人口が多い街でしばらく人に紛れて生活しようとしているのだった。


 そして、今ウィルとセラはサウスカロール共和国へ旅立つ最後の街である程度のお金を稼いでおこうと道中の山で狩りをした物をギルドに運んでいた。

 その量は多く、通り過ぎる人が振り返るほどだがフィル達は気にしない。というのも長居するつもりもないからだ。もっとも多く運んでいるのはフィルでありセラが持っているのは精々五キロ程なのだが。


 慣れ親しんだ国を離れるのは感傷的になるものだが、セラにとってはそれよりも食べ物の心配だった。そんな変わらないセラの姿にフィルは安心する気持ちと苛立つ気持ちが混在するのだった。

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