第十話 セフィリアからの伝言
「ほへぇ!? 私ですか!?」
まさかフレイヤが自分に話して来る事はないだろうと思っていたセラは何とも形容し難い声を発して反応する。
その反応にはサイレントフォースの副リーダーであるフレイヤも頬を緩めざる得なかった。
そして、フィルはというと無言で首を左右に振っていた。
「くくっ、そうだ。お嬢さんにだ。いいかな?」
「は、はい! 私で良ければ!」
「おい、セラ……」
普通であれば初めて見る相手、しかも先ほどまでフィルと戦っていた相手だ。
警戒しないといけないだろう相手に対してセラは無警戒に返答する。
その無警戒さにフィルは軽い眩暈を覚えそうだったが、セラを思えば仕方ないと思うのであった。
それに、幸いフレイヤから殺気が消えていたので大事にはならないだろうと思っていた。
しかし、フィルは自分だけは警戒を解いてはダメだと思い警戒したまま二人のやりとりを見守る。
「そんな警戒しなくても大丈夫だ、フィル。……まぁ二人で生きていくならそれくらいの警戒は必要だろうが。それより、お嬢さんお話いいかな?」
「はい! お話って何ですか?」
フィルはフレイヤの言う事を信用していない訳ではないがそのまま警戒を解く事なく二人のやりとりを見守る。
しかし、セラはフィルの心配をよそにフレイヤと話をしようとする。
「じゃあ少しお話を……。お嬢さんは自分の小さい時を覚えているかい?」
セラはフレイヤから質問に対してはそのまま答えようと思っていたが、フレイヤから出た質問に対して悲しそうな表情を浮かべ首を左右に振る。
そして、その表情とは裏腹に銀色の髪は光に照らされ綺麗になびく。
セラは自分の記憶としては、フィルと一緒にいたところからしかない。
自分の親も過去もすべては自分の記憶になく想像できない物だった。
「そうか……じゃあ自分の能力については」
「能力……? あんまりよく分かりませんが自分が危ないと思ったら光の膜が私を守ってくれます」
「……それ以外は?」
「んー……自分ではそれくらいしか……」
「誰かを傷つけたりは?」
「そんな事しません! だってみんなと仲良くしたいから……」
セラはフレイヤの質問に対して自分の知っている事を正直に答えた。
フレイヤもサイレントフォースという組織に所属しているので、人が嘘をついているかどうかというのはたいてい分かる。
だから、セラが言っている事には嘘がないという判断になっていた。
「そっか……悪いな、変な事を聞いて」
「いえ、こちらこそなんか……すいません」
「いや、お嬢ちゃんは悪くないさ。おい、フィル」
「……なんですか?」
フレイヤはセラとの会話を終えるとフィルに向き直った。
フィルは予想外の問い掛けに一瞬身体に緊張を走らせながらフレイヤに言葉を返した。
「セフィ姐からの伝言だ。『二人で生きていくのなら何も負けない心が必要。二人で心を強く持ちなさい』だそうだ。……ここからは俺たちとおまえ達は無関係。次に会う時は敵か味方かわからない。……じゃあな、元気でな」
フレイヤはそう言うとフィルとセラの前から姿を消した。
フィルはフレイヤの姿を追ったがセラは全く分からず周りをキョロキョロと見回している。
フレイヤが去った後、しばらくフィルはフレイヤの去った方角を見ていた。




