作戦M
今日は学年集会があることに気づいた。その時に、あれをやるのだ。
名付けよう。これを作戦Mと。
とうとうその時が来た。学年全員が廊下の広場に集まるのだが、100人規模も集まればそこは密集地帯となる。群衆というものの嫌気が差す瞬間ではあるが、さらに私は裸足であるので、踏まれないように注意するとともに、別クラスの生徒や剣道部員のからかいに何とか耐えねばならないのであった。
クラスごとに、番号順に並ぶのだが、私は焼里ということもあり、マ行のあの子とかなり近い位置にあり、幸運なことに、あの子は隣のクラスで私よりも後ろだったのである。それでこのM作戦が実行できるというわけだ。要は見せびらかしのMなのだ!私の足の裏を見せ続けることによって、あの子から何かしらコンタクトを得ようという随分と楽観的な作戦ではある。
しかし不幸なことに、なんと隣のクラスに欠員が出て、例の子と隣同士になってしまった。冷や汗が出て動悸が強くなる。初めて裸足で教室へ向かったあの時の感覚と同じだ。確かに、隣には素足で上履きを履くマウラさんがいる。そんな心理状態じゃ、足の裏を見せびらかそうなんてこと到底できやしない。足の裏を見せつけようにも何を思われるのか怖いのだ。ただチラッと素足を突っ込まれてる上履きを見てみると、確かに僕のM、ムツミのMの文字が足の甲にハッキリと書いてあった。マウラも同じMだから大丈夫だと思ったのだろうが、この上履き、きっと取り返してみせる。それとともに、この子のこの、何も身に着けていない裸足を何とか拝んでみせるのだ。
主任の教師がブツブツとダミ声で収支がどうのとか高校生にはどうでもいい話とか、大学進学はどうするんだとか耳の痛い話を聞かされつつも、隣の綺麗な素足が目の前にあり気が散ってしょうがない。この子の上履きの中では、指先や足の裏が何時間も閉じ込められて、さぞかし蒸れていることだろう。きっと、この子は授業の途中で上履きを脱ぐことはしないだろう。なんせ僕の上履きなのだからな。きっと、僕の上履きと自分の足の裏を密着させ続けたいに決まってる。
何はともあれ、学年集会は終わった。思えば僕はずっと裸足だったし、あの子はどう思ってたんだろうな。とりあえず教室に戻る最中、あの子が友達と会話しているところを耳にすることができた。あの子いわく
別に裸足のやつもいるだから、私が靴下履かなくても大丈夫じゃない?
おい、それはお前が原因だぞ。私の中でどうもモヤモヤした感情が浮かんだがそれと同時に、僕の足のこと気にしてたんだって思うと少し照れくさい。ただ、この作戦M、実は相当うまくいってるんじゃないか。さっき聞いた会話の通り、僕の足についてはかなり意識されてることが分かった。僕は思い切って話しかけてみた。




