回想
暗い夜道を自転車で走ってると、ポツポツと自分のモヤモヤを言葉にできるものだ。感情を揺さぶられることのないだだっ広い畑の中の平坦な道を、ペダルをリズムよく漕ぐという行為そのものが僕を現実から脳内へ誘う。
それにしても、なぜ僕の上履きを履いていたのだろうか?あの子が?
何の目的で?さすがに集団で僕をいじめてるわけではあるまいな。それに、しっかりと素足で上履きを履いていた。これが何より、あの子自身が、あの子のフェティシズムで僕の上履きを履いていたということにほかならない。
ペダルを踏みしめるたびに、ローファーの中に直接触れている素足の裏からジワァッと汗が滲み出てくる。そして、ローファーに形成された足型にしっかりフィットしてペッタリとくっついている足の裏がヌルヌルとローファーのソールと擦れ合う。指先をヌルッヌルっと動かして、性感帯を刺激する。ギュッと閉じ込められた指の間がくっついてモゾモゾとぎこちない。そのたびに、足の甲がベタベタとローファにくっついたり離れたりする。その後、駅のホームでローファをズルっと脱いで、裸足を露わにし、踏みつけたローファーの上で指をグワッと広げ、精一杯の解放を味わうのは言うまでもないことだ。
とりあえず明日、自分の上履きを本当に履いているのか確かめなければならない。そして、ちゃんとその事を話さなければならない。それがきっかけとなって、僕は初めて女子と仲良くできる千載一遇のチャンスなのだ。きっかけは何であれ構わない。たとえこの汚い足でもな。人に見られながら裸足で廊下を歩くときの興奮とはまた別種の、何かをギュッと抱きしめたいほどの気持ちの高鳴りが、僕を支配していった。




