打開策
教室で、金沢とミワをどういうカタチで引き合わせるのがいいか考えた。単純にミワが金沢の目の前であなたのフェチは何ですか?と旅番組のように質問しても、帰ってくるのは一般的なフェチズムの定義だけだろう。だから、もっとそれとなく、ミワが金沢に何か温かみを与えてやれれば、いろいろと話してくれるだろうか。僕はミワに、金沢と仲良くして、それとなくフェチなこと聞き出してみて、とメッセージを送った。すぐに既読がつき、了解!というスタンプが届いた。なんともスムーズな会話で爽快だった。ただ黙ってミワがうまいこと聞き出してくれるのを祈るだけってわけにもいかないので、僕も金沢に話しかけてみた。
金沢ってさ。やっぱり納得のいく1枚が撮れるまで粘るタイプだよね。
急に何の話なのかな。
メガネをいじりながら目をそらしてしまった。あぁ失敗してしまった。これだと何を話しても会話が繋がらないだろうと思い、今日も授業めんどいよな、とか当たり障りのないことを話して、いったん自分の席へ戻った。やはり、僕の場合DMで会話するのが一番だろうと思い直し、彼女にメッセージを送った。
僕の写真で良ければ、いくらでも撮っていいよ。
すると、すぐにメッセージが来た。
あなたではあまり価値を見いだせそうにない。私の足のほうがマシ。
この返答には、ショックを受けた。一番裸足で歩き回っているのは僕なのだから。では誰だったらよいのか、ということを考えた時、マウラを召喚するのはまだ早いだろうと考え、生贄のようで申し訳ないと感じつつも、ミワに白羽の矢を立てた。
ミワはどうかな?
OK
一瞬で帰ってきたこの返答は、僕に上履きを履かせるのに十分なくらいのインパクトを与えた。フェチズムを喚起するには、女子を出すのが手っ取り早いというのが、ここでハッキリと示されてしまったからだ。僕がこれまで過ごしてきた裸足の時間を、野蛮人の出現に過ぎないと矮小化する人が圧倒的多数だと受け入れなければならないのである。この事実を知ったことは、上履きを盗まれてから今に至るまででは、一番ショックが大きかった。
だが、僕らの絆は、マウラが持つ上履きで紡がれているのだから、簡単に裸足をやめるわけには行かない。上履きは当分履かないと心に誓い、ミワにDMのスクショを送った。おそらく彼女は彼女で別の人が憧れのアカウントとDMでやりとりしてるのを目の当たりにするのはショックだろうが、それよりも金沢を引き込むほうが重要だった。




