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暗黒の欲求

一旦落ち着かないか?僕は、彼女と一旦コンクリートの構造物に座り、一つ一つ丁寧に話した。


彼女曰く、ある日、朝早く来たマウラは、機嫌が悪い様子で、ミワの下駄箱から上履きを取り出し、持参のハサミで、切り込みを入れて、引き裂いたそうだ。

マウラから渡された僕の上履きについては、休みの日、渡り廊下側の扉が開いていたからだろうが、全裸で脇の廊下から堂々と歩いてきて、その時は素通りしたが、しばらくたってから、また階段側の廊下からハサミを持って現れて、僕の下駄箱から上履きを取り出し、ジョキジョキと切り裂いた。

マウラはハサミ女の性質を持っていたのか。もしかしたら、僕とミワの濡れ場をまざまざと目に焼き付けたマウラが、何かの気の迷いでハサミで刺し殺してたかもしれないと思うと、背筋が凍る。

マウラに対しては、これでお互い様ということで、問い詰めるのはやめよう。

奏については、ばったりと出会ってしまったまま終わらせるのが勿体なく、続きが見たかったらしい。

しかし、もう一つ気になることがあったので問いかけた。


なぜそんなにカメラを取り付けたんだ?

私の投稿を待ってる人たちが望んだことなんだよ。これは趣味ではなく主義なの。

違うと思うよ。これは、できもしない欲求を、他人に押し付けて、勝手に喜んでるだけだ。

それでもいい。これは私にしかできないことなの。だから私がやらなければならないの。


彼女のこの自己顕示なる欲求は、もはや自分を操るマシーンとなって、とめることができなくなっていると見る。


じゃあ、今はそれでいいのかも知れないが、卒業と同時に破綻するんじゃないのか?

たしかにそうだ。

新しい場所でもやるのか?そういう他人の見られたくない部分を覗くのを。

私は、別に足にしか興味がないから。たとえマウラが恥ずかしいものを晒しながら走り回っても、それを晒すことはしない。

マウラのヌードのような動画は撮っていたじゃないか?

それはネットの人が求めているから仕方ないの。

それじゃあ、自分の本当の欲求ってなんだ?

コントロール、かもね。


金沢さんは真顔で静かに答えた。太陽は静かに沈み、冷たい風が吹き付けた。

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