接触
始業式、マウラ、ミワ、僕、3人の糸が引き合った足は、整列した人混みのなかでハッキリと晒されていた。少なくとも周りで裸足でいるのはこの3人だけだった。それぞれが指を動かしたり足先を伸ばしたり、後ろにグリグリとしわを寄せながら回したりして、教師らの説教ばなしを何とかこらえた。
彼らの言うことは、要は進路はどうするのか、一辺倒だ。つまらないことのために、つまらないことをする。そしてつまらない飾り物に一時の興奮を得るわけだ。そんなものはエデンで満たされる興奮と何ら変わりのないものなのだ。それなのに、一生を捧げても、得られるどころか権力者に引き離されていき、自分の一生では手にはいらない高価なものと吐き捨ててしまうのだ。本当は一番近くにあるのに、なぜそれが気づかぬというのだ。
教師らの説教よりも長い説教話が心のなかで次々に湧き出て、自分自身がその考えに夢中になっていると、いつのまにか始業式は終わっていた。ぞろぞろと足を踏まれないように教室へ向かうと、1年生側に裸足で歩いている子が見えた。奏だった。奏は純粋に上履きを忘れたのだろうか。恥ずかしげもなくペタペタと廊下を歩き去った。
始業の日というのもあって、いつにもまして、教師らやクラスメイトに、いつになったら上履き履くんだよと、しつこくどやされたり、なぶられたりするのを耐えた。マウラやミワも同じ目に遭ってるのだろうか?少なくともミワに関しては、僕からもちゃんとローファーを履いてほしいと願う。
放課後になり、今日は部活を休むと言って屋上へ向かった。ドアの先には、金沢が無表情で真正面に立ち、夕日に照らされて、影を伸ばしていた。




