裸足の王様
クラスメイト数人が目の前に現れた。
おい、とうとう上履きまで履かなくなっちまったぞ。
ハハハハハハ!!!原人並みじゃん!
自分が裸足でいることを、この声のデカい奴らのせいで、クラス中に知れ渡ってしまった。僕は裸足でいることに急に自信をなくして、消えてしまいたいと思うようになってしまった。あぁ、早く時間が過ぎ去ってくれ!こんなこと校内で考えたのはいつぶりだろうか。いつもは、部活動が嫌で嫌で仕方なく、時よ止まれ!とずっと願いつつ憂鬱な気分で過ごしてたのに、皮肉なものだ。もう動くのも怖くなった。自分の足を見られたらどうしよう。言い訳するのも面倒だ。思えば自分の足の形ってなんか猿みたいだな。女子が裸足ならそれはそれで見応えがあるが僕は男だ。やはり原人並みにしか見られないのかと思うと情けない。トイレとかどうしよう。あの汚い床をこの足で踏みしめるのか?まるで奴隷じゃないか。足の裏を縮こませようにも、後ろの人に足の裏を見られて汚いなんて思われると僕自身が不潔に思われるんじゃないだろうか?あぁ、上履きはどこへ消えてしまったのか?もし見つからなかったら、週末まで上履き買うこともできない。困ったなぁ。
ていうか気づいたらもう授業近いじゃないか。教科書も廊下のロッカーに置きっぱなしだ。仕方ない!早足でピタピタと、なるべく周りを見ず、ロッカーまで一目散に向かう。誰に見られても構わない。途中、足デカいね、なんてヒソヒソ話が聞こえてしまったが。自分の足ってデカいだななんて言葉が頭の中で反響した。廊下へ出るのは一瞬躊躇したが、どうにでもなれと心臓をバクバクさせてタタタっと廊下へ出て、しゃがんで自分のロッカーを開ける。中は体操服とかグチャッと入ってて、こんな時に限って教科書を取るのに苦労した。ええい、いっそのことロッカー整理するか。もしかしたら奥に上履きがあるかもしれない。
心臓がはち切れそうなくらいの鼓動を立て、全身に汗を滲ませ、ゆっくりと正座になる。人が行き来する廊下。そこで、真っ黒な足の裏を指先からカカトまで晒す。行き行く人は、何を思うか知らないが、私の足の裏をチラッとでも覗くだろう。さっきまでとはうってかわり逆に気持ちがいい。ずっとこのままでいたくなってしまう。そんな余韻に浸りつつも、雑にロッカーを整理し、教科書を持ち、授業まで待つ。
教師が来ると真っ先に私の足を見た。私はうろたえたが、そのことになにも触れず、何事もなく授業を終えた。授業中は、むしろ裸足でいることを忘れて逆にリラックスできた。足を組んだり、指を広げたり、逆にギュッと閉じて集中力を高めたり。意外と裸足楽しいじゃん。堂々とペタペタと廊下を歩き、トイレの床なんか、なんのそので逆にひんやりして気持ちいいぐらいに感じて用を済ませて教室へ戻る。
次の授業の準備をしていると一人のクラスメイトか呼んでるので、廊下まで来てみると大きな足跡が白く残っており、ずっと続いていた。僕の足跡か・・・。自分がまるで野生動物のように感じられて、羞恥心がぶり返してしまった。




