サイレント・ラブ
昨日と続けて、今日、今の今まで目まぐるしいことばかりだった。さらに、さっき起きたばかりのできごとが僕の中で反響し、何度も何度も生々しく映した。それはマウラも同じかもしれない。だから、僕の指先をギュッと掴んで離さない。
眠れないの?
そうに決まってるでしょ?
裸を見られたことか?
・・・
僕は爪で足の裏を引っ掻かれた。やはりそれを気にしていたのか。おねえちゃんと言うけど、実の姉なのだろうか?そのへんはよく分からない。ただ年はかなり離れてるように見えた。30歳ぐらいなのかな。でもそれくらいの年齢になると、男女の裸なんて当たり前の光景なのだろうか?
私ね、親戚なんだけどね、おねえちゃんの前では優等生で大人しい子って通っていたんだよ。ま、小さい頃は面倒な子って言われたかもしれない。でも、私の中のおねえちゃんが私を見る目は、もう普通の青春をする女の子に成り下がっちゃったのかもね。フフ。
言ってることがまどろっこしいな。
私一人が裸を見られるなんて、大したことないけれども、私の隣には、獣臭いオス。
僕が?
なんだか、私も大人の仲間入りをしたような気がするの。こういう普通のことが普通にできる喜びを知ってしまったという罪。その時点で、何かが腐っていくと思わない?
あぁ、オトナはつまらないってやつか。
そう。だから私は、もっと狂っていたいのよ。あなたの上履きを盗んだ変態的なマウラとして。
そんな姿を、オトナたちに見せるのか?
それをあなたとだけ共有することで、わたしたちは子どものままでいられるんでしょ?
ずいぶんと、凝った思想だな。
やはり、たとえ語気強められても、理解するのが面倒な話だな。眠くなってきた。
わたしたちはずっとこのままいられるのかな。
大丈夫さ、きっと・・・
愛とかいう、つまらない言葉ならいいよ。それよりも、前に行ったと思うけど、私たちの関係は足の裏で紡がれてるの。その絆が強くなれば、いずれ子どもも産めるでしょ?
え?
あんたとは言ってないよ。ただ、肩書なんて必要ないってこと。
なんとなく、その言葉は腑に落ちた。腑に落ちたことで、動揺めいたものもかなり落ち着いてきた。彼女の哲学話には、癒しの効果があるのかもしれない。
もう寝るね。
まだ、言い足りないことあるけど・・・。
だめだ、疲れた。
まぁ仕方ないか。お休み。
今日もこのマンションで一夜を過ごした。




