神話の始まり
常夜灯が着いたリビングへ行った。昨日と変わらない、ソファーとテーブルとカーペットがあるだけの殺風景な部屋。ほかの電気を消し、ソファーの上でお互い対になって、足の裏をなめ回す。
これ昨日思ったけど、トイレも行ったんだよね。
まぁそうだね。
しかし、なぜ聞いたんだと思うほど、そんなことは意に介さず、ペロペロ舐め回した。僕も、彼女の汚れた足を綺麗ツルツルにする勢いで、根気よく舌を舐め回した。
あぁ男の、剣道部の足って、太くて、でっかくて、ゴツくて、いい
マウラはたわしでゴシゴシ擦るような勢いで、顎や頬で僕の硬い分厚い足の裏を擦りまくる。僕も、柔らかいマウラの足の汚れをきれいにしていくほど、逆に僕が汚れを上塗りしてるように思えた。いつの間にか股が十字でクロスして、腰を動かし始めた。足の裏をヌチャヌチャと、腰をグチュグチュと、液と液が絡み合って乳化する。一つの果実を頬張ることで、服を着せるのなら、僕たちは神話の前の世界へとタイムスリップをして、新しい十字架を建て、神話を作り出すのだ。このソファーの上から全てが始まる。
次の瞬間、ガチャリと鍵の開く音がした。昨日と同様に、お互い、ハッと我に返って、力が抜ける。服は玄関にある。そのために状況は最悪だった。恐る恐るマウラの方を見てみると、やはり気が動転していた。
誰が来るんだ?
お父さんか、お母さんか、おねえちゃん
お互い全裸。それに、全身、汗やらなにやらで濡れまくって、辺りに愛液を飛び散らせたままだ。一瞬の沈黙があったあと、扉を閉め、靴を脱ぎ、黙ってドタドタとやってくる。この姿はマズイので、一旦引き抜き、お互いかしこまってソファに姿勢よく座る。リンゴをかじった瞬間だ。
がちゃり!
ドアを空けて入って常夜灯の薄赤から白へとパチっと明かりが広がった。そこにいたのはOL風で髪をきれいに巻いた綺麗な裸足のお姉さんだった。我々の濡れ場を目撃したお姉さんは一瞬軽蔑したような目でこちらを睨み、机においてあった、紙コップを3つ取り出し、持っていた買い物バッグから、サイダーを開け、注いで、そのコップを手渡してくれた。
あ、いただきます・・・。
僕は一気に飲み干して、喉を癒した。
すっきりした?と、お姉さんは優しく問いかけるので、はい、と小さく答えた。
わ、わたしたちアダムとイブはこのエデンで愛を育んでいたところだ!
難しそうなこと言ってるのに、素直な子ね。そんなことより飲みなさいよ。スッキリするよ。
僕もマウラの言っていることが、どこか中二病臭くて、気恥ずかしくなったが、なによりこのお姉さんがくれたサイダー、今まで行ってきたことを一旦リセットできて、清々しかった。この女性も、いろいろやってるのかな?
あまり色々語る気はないけど、今は独身だからね。あなたたちがうらやましいわ。
どことなく言い回しがマウラに似ていて、やはり姉妹なんだなぁと感じさせた。その大人びた雰囲気も似ていた。マウラも数年後こんな感じになるんだろうか。
今日はお邪魔して悪かったね。冷蔵庫に食べ物置いてくから、あとで食べてね。次はちゃんと事前に連絡するからね。妊娠すんなよー!
そう言い残して、リビングの扉をガチャリと閉め、廊下の電気をつけ、ガサガサと、おそらく冷蔵庫に今日持ってきたものを詰めて、ドタドタと玄関に向かって遠ざかり、電気がパチっと消え、ドアから出て、ガチャリと鍵が閉まった。ほんの数分の出来事だった。それなのに、空間自体が一気に凍りつき、時間まで止めてしまった。
マウラの方を見るとムスッとしていた。もう1回常夜灯にして、寝てしまった。なので、さっきの人が姉なのか母親なのかは、聞き出せないが、そんなの姉に決まってる。だいいち独身って言ってたもんな。
枕欲しい
マウラがそういうので、僕も足を伸ばしてやり、そのまま寝た。




