足の裏の宇宙
僕は宇宙を飛んでいた。高速飛行をして、無数の星々が閃光のように流れていった。すると、地球のような青い天体にだんだんと近づいて、大気圏に突入した。しばらく空を飛んだ後、なんとか海へ着水した。すると、日本人の顔をしたセーラー服を着た女の子たちが現れて、僕を救い出し、学校に案内した。
学校では全員裸足で、みんな和気あいあいと恥ずかしげもなく、校舎を歩いていた。パイロットスーツの僕は、全裸にされて、学校中を歩いた。しかし、誰も僕を奇怪な目で見ない。むしろ受け入れてくれるようだった。
その後、ふわふわと教室を移動し続けた。みんな裸足だった。裸の子もチラホラいた。それが恥ずかしいという感覚は一切なかったのだ。むしろ、僕の裸をみんなペタペタ触り、手も引かれて、勉強しようとかゲームしようとか、色々と引っ張りだこだった。こんなにたくさん裸足の子がいたんじゃ選べない。僕は深い悩みの無限ループに陥った。みんな裸足なら僕は誰も選べない。裸足という個性が完全に消えてしまっていて、誰かを選ぼうと思っても、僕は何も判断材料を持てなくなってしまったのだ。次第に、僕の周りからは人が消えてしまった。
そうなのだ。人から個性を奪ってしまったら、それは単なる風景に埋没されてしまう。そうなってしまうと、素足で上履きだった頃の、単なる剣道青年として、僕の青春は思い出の中に消えてしまう。それはあまりにも面白くない。僕は裸のまま教室を飛び出て、隣の教室に入った。すると、さっきまでのパステルカラーが一変し、床、窓だけのオブジェクトを残し、剣道着姿の足立、全裸のマウラ、スカートだけ履いて上半身を露わにしてる金沢、制服姿でエレキギターを持っている音楽室前の廊下ですれ違った女の子、みんな僕に足を向けている。一人一人の足の裏を見ると、それが増強されて宇宙のように広がった。
まずは、足立だ。剣道にひたむきに頑張ってる姿がよく見えた。しかし、僕の姿は見えない。次はギター少女、同じく僕がボーカルをやろうなんてイメージは出てこない。次に、金沢。SNS凶ではあるが、薄っすらと僕を調教するような姿が見えるが、フォロワーは少ない。最後、マウラだ。彼女とは、一緒の大学に進み、それぞれオトナになっていく姿が見て取れた。
だが、僕自身の心は?彼女らの行く先はなんとなく現実味を帯びている。それが怖い。現実味を帯びた人生は、死を非現実的なものとして、吐き捨てるからだ。だから、延命だとか、不老不死、火星移民のような、バカげた話が出てくるんだ。資本主義などという過去の遺物を踏み台にして永遠を夢想するのは、実にみっともないことなんだ。
宇宙はもっと広いはず。僕は、僕自身の未来にかけてみる。すると、僕は世界から引っ張り出されるように、すべての空間が闇に閉じた。そこから無限の宇宙が広がり続け、目まぐるしく、とてつもなく眩しくてその激しさに驚いて目が覚めた。
もう朝だった。僕はかなり冷や汗をかいていた。




