第27話② 柴田勝家の一撃 後半
勝家は大槍を軽く構えた。
「参る。」
その一言だけだった。
次の瞬間。
勝家の姿が消える。
「えっ!」
タケルの目が見開かれる。
依絵が叫ぶ。
「速い!」
ガギィィィィン!!
雷太の槍と勝家の大槍が激突する。しかし。
「ぐああっ!」
雷太は十数メートル吹き飛ばされ、地面を何度も転がった。モノアイへ赤い警告が表示される。
**HP 100% → 63%**
依絵が悲鳴を上げる。
「雷太さん!HP三七%減少!」
雷太は痛みに顔を歪めながらも立ち上がる。
「なんや……。この力。」
勝家は感心したように頷いた。
「ほう、今ので立つか。まともに食らったであろう?若いのに大したものじゃ。」
そこへ勝家の横へ回り込んでいたタケルが斬りかかった。
「はあっ!」
しかし、勝家は身体を少し捻っただけで剣をかわす。
「おう、早いな。だが浅い。」
槍の石突がタケルの腹へ軽く当たる。
ドンッ!
「ぐっ!」
タケルはとっさに突かれる方向に身をかわしたが、それでも数メートル吹き飛ばされた。
**HP 100% → 88%**
すでに姫乃が引き絞った矢を放っていた。水矢が一直線に飛ぶ。
シュッ!
今度は勝家も避けきれず、矢が勝家の肩へ命中した。
依絵が期待を込めて叫ぶ。
「命中!」
全員が勝家を見る。勝家は肩へ刺さった水矢を見下ろし、静かに引き抜いた。
「悪くない。」
その一言だけ。モノアイの表示。
**HP 99%**
菊理が静かに読み上げる。
「ダメージ、一%。」
三人は言葉を失った。
「そんな……。」
姫乃の顔から血の気が引く。勝家は槍を肩へ担ぎ直した。
「勇者よ。腕は見せてもらった。どうする?まだやるか?」
雷太は歯を食いしばる。
「まだや!」
雷太が勝家に向かおうとした、その時。通信機から思金子の声が響いた。
「撤退してください。」
三人が驚く。
「撤退させてくれるかな?」
タケルが小さく話す。
「撤退です。」
思金子の声は静かだった。
「今回の目的は、勝家の戦力を知ること。そして、生きて帰ることです。」
一瞬の沈黙。タケルはもう少し観察したそうにしていたが。
「……撤退!」
三人は後退を始めた。しかし勝家は追わない。魔馬へ近づき、静かに跨る。
「勇者、もっと強くなれ。そうすれば、次はもう少し本気で相手をしてやろう。」
そう言い残し、夕焼けの彼方へ去っていった。
◇
ホテルびわ荘へ戻る車内。
誰も一言も話さなかった。雷太は拳を握ったまま窓の外を見ている。姫乃は水弓を見つめ、静かに俯いた。そこへ、タケルだけが小さく呟く。
(ボソッ)「勝家さん、強かったね……。今の僕たちじゃ、まだ全然届かないや。サインもらえなかったなあ。」
勇者本部も静まり返っていた。思金子が画面越しに口を開く。
「ええ。だから皆さんは、もっと強くなれます。」
三人は何も答えなかった。だがその瞳には、悔しさと決意が静かに燃えていた。約一名むしろサインもらえなかったのを残念がっているが。
次回はお昼12時更新です。
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