第22話① 初作戦会議 前半
翌朝。
瑠璃温泉 ホテルびわ荘団欒室。
琵琶湖を眺めながら三人は朝食を囲んでいた。
「ごちそうさまでした!」
雷太が満足そうに手を合わせる。
「朝から三杯食う人初めて見た。」
姫乃が呆れたように言う。
「しゃあないやん。走ったら腹減るんや。」
タケルが苦笑する。
「朝五時からジョギングして朝風呂まで入ってる人も初めて見たよ。」
「健康第一や。」
雷太は胸を張る。
「タケルも走ろうや。」
「遠慮しとく。」
その時。三人の腕時計が同時に震えた。
ピッ。
画面には一行だけ表示される。
**『作戦会議 午前九時 団欒室』**
「始まるみたい。」
タケルが立ち上がる。
◇
団欒室中央の大型モニターが自動で起動する。画面が明るくなり、勇者本部司令室が映し出された。
「皆さん。」
月夜実だった。
「おはようございます。」
三人も姿勢を正す。
「おはようございます。」
その横から依絵が勢いよく顔を出した。
「聞こえますかあ?おはようございまーす!」
さらに菊理も画面へ入ってくる。
「映像も音声も良好です。」
雷太が思わず笑う。
「ほんま最新鋭やな。」
依絵が胸を張る。
「もちろんです!」
思金子が軽く咳払いをした。
「依絵さん。」
「あ。失礼しました。」
依絵は慌てて椅子へ座り直す。
◇
思金子が立ち上がる。
「それでは第一回作戦会議を始めます。」
画面が切り替わる。
『装備確認』
の文字が映し出された。
「まず腕時計型情報端末。異常ありませんか。」
三人は腕時計を見る。
「問題ありません。」
「大丈夫です。」
「異常なしや。」
思金子は頷く。
「次に耳掛け型通信機を装着してください。」
三人は小さな通信機を耳へ取り付けた。
「通信確認。」
依絵が嬉しそうに呼びかける。
「タケ。」
「聞こえます。」
「姫。」
「聞こえます。」
「ライちゃん。」
「聞こえるけど!その呼び方やめぇ!」
団欒室に笑いが起こる。
依絵も笑いながら答える。
「駄目です。コードネームですから。思さんに怒られます。」
雷太は肩を落とした。
「なんやそれぇ。」
◇
「最後です。」
思金子が黒いケースを持ち上げた。
「モノアイ型パッドを装着してください。」
三人は右目へ小型のモノアイを取り付ける。一瞬で視界いっぱいに青白い光が広がった。
「うわっ!」
雷太が思わず声を上げる。
「びっくりした!」
タケルは周囲を見回す。
「……。すごい。情報が。空中に浮かんでる。」
姫乃も驚いていた。
「地図まで見える。」
画面にはホテルびわ荘。琵琶湖。勇者本部。そして安土城高校。現在位置まで正確に表示されていた。
依絵が得意そうに説明する。
「戦闘中は敵味方の位置。地図。写真。作戦図。全部ここへ表示されます。」
タケルは思わず笑う。
「本当に最新鋭だね。」
雷太はモノアイを何度も触る。
「なんか変身ヒーローみたいやな!」
姫乃も少し嬉しそうだった。
「これなら迷わなくて済みそう。」
思金子は満足そうに頷いた。
「装備確認終了です。それでは本題へ入ります。お互いを見ながら、鑑定!と言ってみてください。」
「鑑定!」と3人。
モノアイに相手のパラメーターが写る。
タケル
HP200 RP1500 攻撃220 防御200 速度300 器用250
姫乃
HP170 RP1800 攻撃180 防御150 速度200 器用300
雷太
HP300 RP1000 攻撃250 防御250 速度200 器用180
「これってどのくらい強いのかな?」
「ちなみにゴブリンとオーク、人間の一般男性の数値がこちらです。」
ゴブリン
HP20 MP100 攻撃18 防御10 速度12 器用10
オーク
HP200 MP1000 攻撃150 防御150 速度150 器用150
一般男性
HP10 RP0 攻撃10 防御10 速度10 器用10
モニターに映し出された数字を見る3人。
「一般男性よりゴブリンの方が強いやん。」
「ええ。しかも魔力も霊力も持たない人間からは、基本的に魔物にダメージを与えることが出来ません。」
「つまり、人間では、ゴブリン1っぴき倒せないってことだね?」
「そうなります。」
「無理ゲーやん。」
「そうよ。どうやって勝てというのよ?」
「幸い、野良魔物はそう多くはいません。信長支配下の魔物は暴行・略奪は行っていないようです。もし、行うようなら、こちらも対策を次のステージに移行させます。」
「なんか方法があるんやな?」
「ありますが、信長が穏便な策を取っている以上、こちらも勇者だけで対策していくことになります。」
「僕らはだいたい今、オークと同じくらいの実力と言うことだね?」
「そうなります。ただし、あなた達は勇者ですので、訓練すればするほど急激に成長します。トレーニングルームの中であれば、バトルスーツで本格的に訓練しても大丈夫ですから、どんどん訓練してください。」
「勇者もののストーリー見てると、だいたい困難を克服するたびに成長していくパターンが多いけど?」
「もちろん強敵と戦えば、それだけ訓練値がたくさん入ります。倒さなくても訓練値が入りますので、はっきり言ってよほど皆さんの方がチートです。トレーニングルームでは、仮想強敵を出現させることも出来ますので、正直何でもありです。」
「うわあ、チートとか何でもありとか言っちゃったよ。」
「そんだけチートで何かデメリットはないんか?」
「あります。トレーニングルームの中は次元が違いますので、外は時間が進んでいません。しかし、皆さんの精神年齢は確実に上がります。ですので、トレーニングルームに入れば入るほど、精神年齢だけ上がってしまいます。」
「それって別にいいことなんじゃないの?」
「そうともいえません。若い間にしか無邪気に遊べないこと、笑えないこと、楽しめないこと、そんな体験が出来なくなるかも知れません。」
「なんか、ピンとこないわね。それだけのデメリットを受け入れれば、どんどん強くなれるって訳ね?」
「そうです。あとは皆さんの努力次第です。」
次回夜19時更新です。
お読みいただきありがとうございますm(_ _)m
皆様に大切なお願いがございます。
読んでみて少しでもいいと思っていただけましたら、、ブックマークと評価を★★★★★にしていただけるととっっっっても嬉しいです。(*´ω`*)
執筆を続ける励みとなりますので是非ともお願いいたします。m(_ _)m




