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第20話② 勇者集結 後半

「おう、いいねえ。なら早速勝負や。手加減はなしや。行くで、らいそ──」


 ゴチーン!


 ゴチーン!


「イッテエエエ!何すんねん月夜はん!」


「いったーーーーーい!なんで私まで!」


 雷太は頭を押さえ、姫乃は涙目で月夜実を見上げる。


 月夜実は二人を静かに見渡した。


「二人とも。ここは作戦室です。暴れたら許しません。ましてや能力を使うなんてもってのほかです。」


 姫乃は両手を広げる。


「私まだ能力使ってないのにいいい。」


 雷太は頭をさすりながら立ち上がる。


「月夜はんって容赦ないわぁ……。」


 タケルは苦笑しながらため息をついた。


「あーあ。もう先が思いやられるよ。」


 その一言で、部屋に小さな笑いが広がる。


 月夜実も表情を少しだけ緩めた。


「改めまして。名前は早速名札で覚えてくれたようですね。本部長の月夜です。勇者本部へようこそ。」


 三人は席へ着く。雷太はまだ頭をさすっている。姫乃は腕を組み、雷太を睨んでいる。タケルは部屋中の機械が気になって仕方ない。


 思金子が静かに前へ出た。


「私は勇者本部作戦参謀、思金子です。今後の作戦立案を担当します。」


 依絵も元気よく一礼する。


「オペレーターの鴨依絵です。通信や情報伝達を担当しますねぇ。」


 菊理加奈も微笑んだ。


「菊理加奈です。依絵さんと一緒に皆さんをサポートします!」


 最後に猿田さんが帽子を取る。


「猿田です。送迎と温泉旅館のお世話を担当します。」


 雷太が嬉しそうに身を乗り出した。


「温泉あるん!?」


 猿田さんはにっこり笑う。


「ありますよ。露天風呂もあります。」


「うおお!最高や!」


 姫乃が呆れたように言う。


「まだ説明も始まってないのに。温泉で喜ばないでよ。」


「いや。温泉は大事やろ。」


 雷太は真剣だった。


 思金子は咳払いを一つする。


「おほん。では、現時点で判明している事項を説明します。」


 部屋の照明がゆっくり落ちる。巨大モニターに安土城高校が映し出された。


「まず一つ目。魔王は織田信長です。」


「「「ええええええ」」」


「信長って、あの信長のことかな?」


「そんなの勝てるの?」


「あかん、帰りとうなってきた」


「静かに。」


「次に。信長の背後には、神に匹敵するほど強大な存在がいます。勇者本部では仮に**真魔王EX**と呼称しています。」


 もう3人とも驚きすぎて声が出なかった。放心状態である。ようやく気を取り戻したタケルが静かに尋ねる。


「・・・。はっ!そ、そうだ、正体は分かっているんですか?」


「いいえ。現時点では不明です。」


 思金子は続ける。


「3つ目。野良魔物が存在します。全てが信長の支配下ではありません。」


 モニターには各地で確認された野良魔物の分布が映る。


「4つ目。魔物は地球には存在しない魔力を持っています。代わりに霊力は持ちません。」


 姫乃が首を傾げる。


「霊力と魔力は違うんですか?」


「はい。全く別の力です。」


「5つ目。勇者の武器で倒した魔物は、魔力を奪われ、真魔王EXのもとへ送還されます。さらに。倒された魔物には睡眠の呪いが掛かります。これは神級の存在でなければ解除できません。」


 雷太が頭をかく。


「つまり。倒したら敵は死なんけど、再起不能ってことやな?」


「現時点では、その認識で構いません。」


 思金子は再びモニターを切り替える。安土城高校全体を覆う巨大な結界。


「6つ目。敵の総数は不明。結界内部の状況も不明。取り残された人々の安否も不明です。」


 部屋が静まり返る。タケルがゆっくり口を開いた。


「……つまり、分からないことだらけなんですね。」


 思金子は静かに頷いた。


「はい。だからこそ、推測ではなく、事実を一つずつ積み重ねます。焦って動けば、敵の思う壺です。」


 雷太は腕を組んだ。


「ほな、まずは情報集めからやな。」


「そのとおりです。」


 思金子は頷く。


「皆さんには、まず生き残っていただきます。生きてさえいれば、撤退しても負けではありません。これは肝に銘じておいてください。死んではいけません。」


3人は静かにうなずく。


「勝つ方法は、その後、一緒に考えましょう。」


 三人は真剣な表情でモニターを見つめた。笑いに包まれて始まった初顔合わせは、いつの間にか静かな決意へと変わっていた。こうして、三人の勇者としての第一歩が、静かに始まった。


次回はお昼12時更新です。


お読みいただきありがとうございますm(_ _)m


皆様に大切なお願いがございます。


読んでみて少しでもいいと思っていただけましたら、、ブックマークと評価を★★★★★にしていただけるととっっっっても嬉しいです。(*´ω`*)


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