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第20話① 勇者集結 前半

 勇者本部。作戦室。


 月夜実が静かに頷いた。


「それでは、勇者の皆さんをお迎えします。」


 左右に立つ鴨依絵と菊理加奈が、重厚な両開きの扉をゆっくりと開く。


「どうぞ。」


 タケルが最初に部屋へ入る。


「失礼します。」


 広い作戦室。巨大モニター。円卓。


 見慣れない設備に目を奪われながら、月夜実に案内された席へ向かう。


 その数秒後。


 雷太が部屋へ入ってきた。何気なく部屋を見渡した瞬間。タケルを見つける。


「よう、タケルやないけ。元気しとったか?」


「雷太!久しぶり!なんかいいことあった?」


「おおありよ。またちょっと強くなったで。ちょっと勝負してみいひん?」


「うわあ、相変わらず脳筋、じゃなくて元気だね。」


「なあ、久しぶりやしええやろ、な、ちょっとだけ!」


「いいけど、また後でね。会議が終わってからやろう。」


「さっすが俺のマブダチやん、話わかるわあ。」


 そう言ってタケルへ勢いよく抱き付く雷太。


 そのすぐ後ろ。


 姫乃も作戦室へ入ってきていた。しかし二人とも全く気付いていない。姫乃を完全に放ったまま、男二人だけで盛り上がっている。依絵は思わず口元を押さえる。菊理も笑いをこらえていた。月夜実だけは静かに腕を組み、成り行きを見守っている。


 姫乃のこめかみに、小さく青筋が浮かぶ。


「ちょっとさっきから男2人でなんなの?気持ち悪いんですけど!」


「なんやお嬢ちゃん、嫉妬したらあかんで。」


「嫉妬なんかしてないわよ!気持ち悪いって言ってんの!」


「そう言うお前さんは誰やねん。まずは自己紹介したらどうなんや?」


「くっ。いいわよ!私は姫乃。市島姫乃よ。タケルの幼馴染。あなたは?」


「俺は雷太や。武見雷太。タケルのマブダチや。な、タケル。」


「マブダチというか、腐れ縁というか。」


「あ?腐れ縁?」


「マブダチマブダチ。マブダチに決まってるじゃないか、やだなあ。」


「だよな。はははははは。」


「なんか無理やり言わせてる気がするんですけど!」


「なんや嫉妬かいな?悪い悪い大事な人とってしもたわ。ほら変わったるから抱きつきや。」


「え、えー、そんなこといきなり言われても、でも推しが弱いのもダメよね、じゃ、じゃあタケル優しくしてね……って何しとるんじゃあい!」


 姫乃が振り向くと、タケルはいつの間にか部屋の隅に置かれた大型装置を興味深そうに眺めていた。


「いや、この機械なんだろうと思って。あ、あっちにも面白そうなの置いてるよ。見に行ってみよっと。」


「もう、タケルったら。」


「なんやタケルに振られたんでっか姫乃はん。タケルは姫乃はんより機械にご執心っと。ぐはああああああ。」


 姫乃のアッパーが雷太のアゴへ綺麗に突き刺さる。


「うっさいわね。その口閉じたら?」


「ゲホ、げほ、やるやないけ、不意打ちとはいえ、この俺に一発入れるやなんて。でもな、もう好きにはさせへんで。」


「何よ、やる気?そういえばさっき勝負がどうだの言ってたわね。なんなら私が勝負してあげるわよ?」


「おう、いいねえ。なら早速勝負や。手加減はなしや。行くで、らいそ──」


次回夜19時更新です。


お読みいただきありがとうございますm(_ _)m


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