第18話② 知恵の神の一手 後半
司令室。
思金子はホワイトボードへ三つ目の項目を書いた。
**対策三**
『神具送迎車』
猿田さんが帽子を取りながら尋ねる。
「普通の送迎では駄目なんですか?」
「駄目です。」
即答だった。
「勇者の加護を得てからは、常に危険です。」
依絵が首を傾げる。
「でも。勇者の皆さん。霊力は隠れてますよね。」
「はい。しかし敵は霊力だけで動くとは限りません。行動。時間。人間関係。何を観察してくるか分かりません。」
「ですから、神聖結界間の移動にも一切の痕跡を残しません。」
思金子は続けた。
「だから送迎は神具で行います。」
月夜実が確認する。
「勇者本人には最新鋭の車と説明ですね?」
「はい。勇者にも余計な情報を持たせてはいけません。」
◇
ホワイトボード。
**対策四**
『コードネーム運用』
依絵が笑う。
「これ好きです。」
「タケ。」
「姫。」
「ライちゃん。」
菊理加奈も笑った。
「ライちゃんは本人が嫌がりそうですね。」
その時、思金子が真顔で答えた。
「嫌でも使います。」
一瞬静まり返る。
依絵が吹き出した。
「そこは譲らないんですね。」
「本名を通信へ流さない。」
「それだけで、敵が得られる情報は大幅に減ります。」
月夜実も頷いた。
「採用します。」
◇
思金子は最後の項目を書く。
**対策五**
『知る者を減らす』
「これは最も重要です。」
全員が真剣な表情になる。
「勇者本人にも、必要以上の情報は知らせません。」
依絵が驚く。
「勇者なのに?」
「はい。悪意がなくても。話してしまうことがあります。知らなければ、漏れることもありません。」
猿田が感心したように頷く。
「なるほど。」
「知らんもんはしゃべれませんからな。」
「その通りです。」
◇
月夜実はゆっくり立ち上がった。
「思さん。一つ確認です。」
「はい。」
「ここまで備えても、信長はさらに別の手を考えると思いますか。」
思金子は少しだけ笑った。
「もちろんです。相手は織田信長です。ここにあげたのは最低限の対策です。私が信長ならもっと考えます。だから私も、それに負けないよう、もっともっと考えます。」
月夜実は満足そうに微笑んだ。
「頼もしいですね。」
◇
会議が終わる。三人は席を立った。
依絵は笑顔で伸びをする。
「じゃあ、明日は勇者さんたちを迎えに行くんですね。」
「はい。」
月夜実は静かに答える。
「いよいよです。」
猿田さんも嬉しそうに笑う。
「どんな子らか楽しみですな。」
司令室の時計が静かに時を刻む。
その頃。
三人の高校生はまだ何も知らず、それぞれの日常を過ごしていた。明日、その日常が大きく変わることも。自分以外にも、同じ運命を背負った仲間がいることも。まだ誰も知らなかった。
**次回 それぞれの決意**
次回はお昼の12時更新です。
お読みいただきありがとうございますm(_ _)m
皆様に大切なお願いがございます。
読んでみて少しでもいいと思っていただけましたら、、ブックマークと評価を★★★★★にしていただけるととっっっっても嬉しいです。(*´ω`*)
執筆を続ける励みとなりますので是非ともお願いいたします。m(_ _)m




