第16話② 勇者本部始動準備 後半
送信者。
**アマテラス**
『準備、ご苦労様です。』
全員が自然と背筋を伸ばした。
続けて文章が表示される。
『勇者たちは順調に育っています。予定どおり進めてください。勇者本部始動まで、あと僅かです。』
短い文章だった。しかし、それだけで十分だった。月夜実は静かにスマートフォンを閉じる。
「いよいよですね。」
思金子も頷く。
「作戦立案も最終段階へ入ります。」
依絵は少し緊張したように息を吐いた。
「勇者さんってどんな人なんでしょうねぇ。」
猿田さんは笑う。
「三人ともええ子やと思いますよ。」
「まだ会ってないでしょう?」
「何となくです。勘です。」
思金子が苦笑した。
「相変わらずですね。」
◇
月夜実は司令室をゆっくり見渡した。
「通信正常。」「作戦卓正常。」「神域通信正常。」「神力残量九八%。」
依絵がすぐ答える。
「問題ありません。」
「では補充しておきましょう。」
猿田さんが通信機を手に取る。そっと両手で包む。
数秒後。
依絵が画面を見る。
「百%。補充完了です。」
猿田さんは笑顔で返した。
「これで安心ですな。」
◇
月夜実は作戦卓へ近付く。滋賀県全域の地図が映し出される。赤い点。青い点。結界。避難所。全て静かに表示されていた。
「思さん。」
「はい。」
「勇者三人がそろったら、最初に説明する内容を最終確認してください。」
「承知しました。」
「依絵さん。通信訓練を。」
「はい!」
「菊理さん。資料を。」
「はい。」
「猿田さん。温泉旅館との連絡をお願いします。」
「任せといてください。」
全員が持ち場へ散っていく。静かだった司令室が、一気に活気づいた。
◇
月夜実は誰もいなくなった司令室で、小さく呟く。
「勇者の皆さん。安心してください。皆さんが戦うのは前線です。後ろは私たちが守ります。」
地下深く。まだ誰も知らない勇者本部では、勇者たちを迎える準備が、着々と進んでいた。
**次回 魔王軍組織完成**
次回お昼の12時更新です。
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